風の帰る場所 続

著者 :
  • ロッキング・オン
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本棚登録 : 314
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860521172

作品紹介・あらすじ

『崖の上のポニョ』から最後の長編監督作品『風立ちぬ』まで、スタジオジブリ作品と変わりゆく時代、そして自分自身を語った4本のロング・インタビュー。監督としてのスタート地点に立った初演出作品『未来少年コナン』と長編監督デビュー以前のキャリアを語った2本も同時収録した宮崎駿の決定版インタビュー集、第2弾!

感想・レビュー・書評

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  • 非常に才能のあるひねくれ者の物語作家が、自分の作品や社会状況、映画を取り巻く環境などについて語っている。とても面白い。

    インタビュアーとしての渋谷陽一が、宮崎駿と非常に相性が良いように感じれられる。ちゃんと宮崎駿が気持ち良いように褒めるところを褒め(しっかり自分の言葉で)、突っ込むところを突っ込んでいる。

    特に興味深かったのは、「最近の若い人はロケハンに行っても写真しか撮らない」というくだり。自分の目で見た自然の色ではなく、写真や映像を通して見た色しか再現できなくなっているらしい。

    確かに、肉眼で見る自然と写真で見る自然とは色味が異なる。ロケハンで画を描くことの是非はともかくとして、絵で描くことでしか表せない(写真や映像では再現できない)情景というものが実は数多くあるのだ、と気づかされた。

  • インタビュー6本のうち、2本が長編監督後、2本が監督作でない作品、残りの2本は別媒体のものを再掲載という内容で、前作に比べると物足りない。
    制作体制や宮﨑駿の年齢のこともあり、長編を出す間隔が長くなったのでインタビューの本数が少なくなるのは仕方がないとは理解できるけど、だからといってアニメ黎明期の話を載せる必要があったのかは疑問だ。業界を志す人には参考になったであろうがほとんどの人に分かりにくい内容だったと思う。
    『風立ちぬ』のインタビューはめちゃくちゃ面白かった。この心境からさらに進んで『君たちはどう生きるか』を作ったのだと思うと胸にグッとくるものがある。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/64140

  • 本音炸裂。隠しているところもあるだろうが。

    〇ポニョ
    抽象度を上げてシンプルかつ力強く。
    今度こそ子供たちのために映画をつくろうと思った。
    肯定的なメッセージ
    女性は異界から平気な顔してくる。
    東日本大震災で津波が来て、現実に追いつかれた。
    〇ハウル
    分からない奴はとことん分からないことが分かった

    〇アリエッティ
    米林監督にやらせた。今の時代は人間の方が小人になったなと思ったからこの企画を出した。
    少年の存在っていうのは、悲劇にならざるを得ない。女性は元気。何も持っていないんです、少年っていうのは。少年が冒険に出ていけたのは戦後の10年間だけ。
    ジブリの高齢従業員を養わなければならない。
    〇トトロ
    トトロは美術的なピーク。

    〇風立ちぬ
    本当に何かやろうとする人間は、でかい声で叫ばない。
    堀越二郎は兵器を作っているという自覚、なかったと思う。
    庵野の悲劇は、自分がコピーのコピーのコピーだってことを自覚していること。
    僕は自分のことを描いたんじゃない。堀越二郎を描いたんだ。
    二郎を取り戻したんです。僕流に取り戻したんです。

  • ロッキング・オンからの発行なので、「CUT」からのインタビューを中心に構成。
    著者の世界観を知ることができたのは、巻末にある徳間書店の刊行物からの転載。面白かった。

    作品を見てきてなんとなく感じていた、理想の女性のイメージもよくわかる。「僕らはみんなジムシィ」--、男性読者はすごく納得したはずだ。

  • 宮崎駿の口から魁男塾の名前が(笑)

    自分が描いてきたものに現実が追いついてしまったという焦りが震災後のインタビューに見て取れる。
    実に雄弁で、現代社会への憎悪が激しくて、宮崎駿らしい。

  • 大阪樟蔭女子大学図書館OPACへのリンク
    https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/623424

  • 上巻の方が圧倒的に面白い。
    特にアリエッティの監督を過大評価して人が育っていることを捏造するような投げかけをしたり、ゲド戦記などについてはプロモーション上の都合なのか宮﨑駿に気をつかっているのか知らないが、不可侵領域が暗黙に感じられて読んでいて不快にさえなってしまう。これはよろしくない。こんな褒められ方をされて喜ぶ人でも無かろうにと思うのだが。
    未来少年コナンなど、今さら観直すことも無さそうな作品について語られるインタビューも収録するのであれば、何らかそれらのデータを並べても良かったのではないかと思う。前提の欠落したインタビューは空虚に感じる。一応、ウィキで調べながら読んだが、正直煩わしい。
    なんとなく読み終えてしまう構成も含めて、編集上工夫の余地があったのではないかと思わせるという意味で、凡作。
    宮﨑駿の話は、前作に引き続き興味深い。

  • 駿節。人もなげな。
    耳障りの良いことなんて言ってなくて、突っ走る、代わりのいななさに、ざわざわする。
    この人の言うことを、えんえんと聴いてたいと思う。飽きないのは、枯れずに何かあるから。

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    所在記号:778.77||ミヤ||2
    資料番号:10228178
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著者プロフィール

アニメーション映画監督。1941年東京都生まれ。学習院大学政治経済学部卒業後、東映動画(現・東映アニメーション)入社。「ルパン三世 カリオストロの城」(1979)で劇場作品を初監督。1984年には「風の谷のナウシカ」を発表。1985年にスタジオジブリの設立に参加。「天空の城ラピュタ」(1986)、「となりのトトロ」(1988)、「魔女の宅急便」(1989)、「紅の豚」(1992)、「もののけ姫」(1997)、「千と千尋の神隠し」(2001)、「ハウルの動く城」(2004)、「崖の上のポニョ」(2008)、「風立ちぬ」(2013)を監督。現在は新作長編「君たちはどう生きるか」を制作中。著書に『シュナの旅』『出発点』『虫眼とアニ眼』(養老孟司氏との対談集)(以上、徳間書店)、『折り返し点』『トトロの住む家増補改訂版』『本へのとびら』(以上、岩波書店)『半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義』(文春ジブリ文庫)などがある。

「2021年 『小説 となりのトトロ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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