「食品の科学」が一冊でまるごとわかる

著者 :
  • ベレ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860645939

作品紹介・あらすじ

肉を加熱すると硬さが変化します。60℃までは温度が高くなるにつれてやわらかくなります。しかし60℃を越えると急激に硬くなり、75℃を越えると再びやわらかくなります。お肉をやわらかい状態で食べたいときは焼き過ぎないのがコツのようです。これにはもちろん理由があります。肉を形成している3種のタンパク質の熱変性の違いによるものです。このように、普段なにげなく、経験的に知っているような食品にまつわる特徴も、すべて科学で説明できるのです。本書は、すべての食材に含まれる「水」の説明からはじまり、さまざまな食品にまつわる科学について、易しく解説した入門書です。

感想・レビュー・書評

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  • 水は、温度と気圧で沸点、融解温度が変わる。
    気圧が低い中で温度を上昇させると、氷は直接水蒸気になる=昇華。フリーズドライの原理。
    ドライアイスが二酸化炭素になる、タンスの防虫剤、など。
    富士山の山頂では85度で沸点を迎える。それ以上の熱は、蒸発エネルギーとなって蒸発する。
    圧力をかけると沸点は120度になる。
    ウォーターオーブンは、高温の水蒸気で調理する。水は100度にしかならないが水蒸気は加熱できる。これが液体(水)に戻るとき、凝縮熱(気化熱の反対)で加熱する。

    似たものは溶ける。砂糖と水は分子構造が似ているので溶ける。融けるは、氷が水になるように同じものの場合をいう。溶けるは、分子構造がバラバラになって取り込まれる。
    小麦粉を水に溶かしても、水和はしない。溶液ではない。

    塩基とは、アルカリの総称。水酸化イオンOHーを出すもの。酸は、H+を出すもの。

    無菌豚とは研究用のもの。一般に無菌豚はSPF豚のこと。無菌ではない。
    羊肉は1歳未満はラム、それ以上はマトン。
    昔ウサギはトリと納得させて食べた。ウサギは一羽二羽と数えるのはそのため。
    肉は、60度を超えると筋形質たんぱく質が凝固して堅くなる。65度を超えるとコラーゲンも堅くなる。75度を超えて煮込むとコラーゲンの分解が進行しやわらかくなる。長く煮るとコラーゲンがなくなって繊維だけが残る。

    生ハムは豚のおもも肉の塩蔵品。もも肉そのもの。
    ハムは、肉をゆでて完走したもの。
    ソーセージは、肉塊ではなく細かくした肉を使ったもの。
    コンビーフは塩漬け牛肉。日本と外国では違うもの。和製洋食品。

    マグロカツオなどが赤身魚。青魚ともいう。
    白身魚はサケ、マスも含む。

    動物性油は固体=脂、植物性は液体=油。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違い。
    液体の油に水素を結合させると飽和結合になり固体になる。マーガリン、ショートニング、セッケンなど。接触還元という。
    天ぷらの温度は180度。250度になると煙が出て匂いがする。340度になると自然発火する。

    肥料は窒素、リン、カリウム、が3大栄養素。窒素はハーバー・ボッシュ法で空気中から作れるようになった。この方法で爆薬も作れるようになった。

    βでんぷんを水と一緒に加熱すると、らせん構造が崩れて柔らかくなる=α化。このまま冷却するとβでんぷんに戻る。水分を飛ばすとαデンプンのまま。フリーズドライや焼き飯。

    エジプトではパンを水につけておくとビールになった。パンの中のイースト菌が発酵する。現代では高温で加熱するためイースト菌は死んでいる。

    ポストハーベスト農薬=収穫後農薬。防カビ剤、殺菌剤など。日本では食品添加物になる。

    ポン酢はオランダ語のポンスから。最初はポンズ醤油だった。
    甘酒と白酒は全く違うもの。白酒はアルコール。

    ミルクと卵は完全栄養食品。ミルクは種によって多少違うだけ。
    ミルクに脂肪があるのは、溶けているのではなくコロイド溶液だから。
    コロイドは溶けてはいないが、粒子は沈まない(分離しない)親水コロイドと疎水コロイドがある。牛乳は疎水性。
    化粧品の乳液、血液、魚の白子、マヨネーズはコロイド。
    湯気は気体コロイド。
    バター、パンは固体コロイド。
    流動性があるコロイドをゾル、固体のものをゲル。シリカゲルは、二酸化ケイ素と気泡の固体コロイド。

    成分無調整牛乳とは、牛乳の季節ごとの成分を調整しないもの。

    黄身の凝固温度は70度、白身は80度。65~68度のお湯に30分漬けると温泉卵ができる。

    薄力粉、中力粉、強力粉はたんぱく質の量の違い。
    ケーキ天ぷらには薄力粉、うどん、お好み焼きには中力粉、パン、中華麺には強力粉。

    びっくり水は、麺の表面からのデンプンの溶けだしを防止して、中まで煮えるようにするため。
    冷水でしめるのは表面を冷やし、内部は熱が残るためやわらかくなるため。
    伊勢うどんは、1時間ゆで続ける。小麦はたんぱく質が少ないものを使う。

    緑茶は、葉を蒸して揉んだもの。
    甜茶は、葉を蒸して揉まないもの。臼で引くと抹茶。
    ウーロン茶は、蒸さないで揉んで途中まで発酵させたもの
    紅茶は、蒸さないで揉んで、最後まで発酵させたもの。

    ブドウ糖を発酵させるとアルコールになる。
    体積%がアルコールの度数。アルコールの比重は0.8なので重量%ば2割程度小さくなる。
    醸造酒を蒸留して蒸留酒が作られる。蒸留の精度を下げるほうが、お酒として味がでる。純粋な蒸留はエタノールになるだけ。制度の低い蒸留、アルコール以外の成分を残す。
    甲類焼酎は連続蒸留法で作られる。乙類は蒸留は一回だけ。

    加熱しないで水分を蒸発させるには、気圧を下げる。フリーズドライの原理。

  • 学生の頃、理科が苦手であった私としては少し難しい部分もあったが、それでも私のような人にも出来るだけ分かりやすく書かれていたように思う。

    科学的視点で食を考えることで、普段の生活にも取り入れられるお話も多々あったと思います
    再度、読み直すことで理解が深まりそうとも感じました。

  • ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00551496

  • マツモト

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1335193

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著者プロフィール

齋藤 勝裕(さいとう かつひろ)
1945年5月3日生まれ。1974年、東北大学大学院理学研究科博士課程修了、現在は名古屋工業大学名誉教授。理学博士。専門分野は有機化学、物理化学、光化学、超分子化学。
主な著書として、「絶対わかる化学シリーズ」全18冊(講談社)、「わかる化学シリーズ」全16冊(東京化学同人)、「わかる× わかった! 化学シリーズ」全14冊(オーム社)、『マンガでわかる有機化学』『料理の科学』(以上、SB クリエイティブ)、『「量子化学」のことが一冊でまるごとわかる』『「発酵」のことが一冊でまるごとわかる』『「食品の科学」が一冊でまるごとわかる』『「毒と薬」のことが一冊でまるごとわかる』『身のまわりの「危険物の科学」が一冊でまるごとわかる』(以上、ベレ出版)など200冊以上。

「2023年 『「原子力」のことが一冊でまるごとわかる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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