嘘は刻む (海外ミステリGem Collection 4)

  • 長崎出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860951863

作品紹介・あらすじ

とあるイギリスの田舎町。狂った時計が溢れかえった部屋で有名な家具デザイナーが射殺される。周囲の人々は嘘の鎧で身を固め、決して本音を明かそうとしない。絡み合う嘘の糸が解かれ、浮かびくる非情な結末とは…。

感想・レビュー・書評

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  • 6年ぶりにイギリスへ帰ってきたエマリー・ジャスティンは、田舎町で殺人事件に巻き込まれる。家具デザイナーのアーノルド・サインが時計ばかりで装飾された部屋で銃殺されたのだ。それらの時計は正確な時間を示しておらず、全て狂っていた。


    エリザベス・フェラーズの代表作とも言える本書は、私のような現代の日本社会でしか生きていない若者には、少々理解し難いものかもしれない。
    というのも、フェラーズの心理描写が素晴らしく深く、それらが本書の題名にも現れる「嘘」と絡み合い、西洋人の思考や心境に苦慮しながら頁を捲らなければならないからである。

    しかしながら、そんな理解力乏しい私でも、フェラーズの人間心理を熟知した優れた洞察力に感服すると共に、限りなく深い闇を存分に味わうことができた。このような作品を生み出したフェラーズに感謝したい。

    最後に、「嘘」は「つく」もの。決して「刻む」ものではない。【The Lying Voices】を【嘘は刻む】と訳す辺り、本書の鍵となる時計の刻む時間を思わせるのは、何とも意味深長であり、ユーモアに富んだものだと感じさせる。

  • 意図しようとすまいと、結局すべては自分のため。
    意識して行えばそれは必ずしも悪いものではないけれど。

    「そうなってしまう」と「そうする」は限りなく近い。

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著者プロフィール

本名モーナ・ドリス・マクタガート。別名義にE.X.フェラーズ。1907年、ミャンマー、ヤンゴン生まれ。6歳の頃、英国へ移住し、ロンドン大学でジャーナリズムを専攻。1930年代にモーナ・マクタガート名義の普通小説で作家デビューし、ミステリ作家としては、「その死者の名は」(40)が処女作となる。英国推理作家協会(CWA)の創設メンバーとしてミステリの普及に尽力し、1977年にはCWA会長を務めた。代表作に「猿来たりなば」(42)、「カクテルパーティー」(55)など。95年死去。

「2020年 『亀は死を招く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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