ポストモダンの自由管理教育: スキゾ・キッズからマルチ・キッズへ

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  • 春風社
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861102417

作品紹介・あらすじ

戦後から現在にいたる子ども像の変容と教育システムの変遷を探究。ポストモダン思想によって現実の諸問題を読み解き、ありうべき理想の教育を模索する。

感想・レビュー・書評

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  • ポストモダンに興味があって読み始めたが、いわゆる1980年代に流行したポストモダンではなく、1990年代以降の社会状況を見据えたポストモダンの教育論であった。
    ゆとり教育がポストモダン現象の一つであり、そこから生じた学力低下や生徒指導上の問題を克服すべく、自由と管理を統合した教育制度が構築されたとする点には、基本的に同意できる。ただし、この点はもっと事実に基づく論証の余地があるだろうが…。1980年代の新自由主義が1990年代の保守主義と結び付いて自由管理教育の改革を推進したという点は、なかなかユニークだ。
    子ども論としては、1980年代に流行したスキゾ・キッズが1990年代からマルチ・キッズに変容したという見解が面白かった。これも今後、精神医学や心理学なども踏まえて、もっと念入りに検討する必要があるだろう。多重化し乖離するマルチ化した子ども像には興味が引かれるものがあった。

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著者プロフィール

1969年、福島県生まれ。岐阜大学大学院教育学研究科准教授。
2002年、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。早稲田大学文学部助手、山形短期大学専任講師を経て現職。
主な著者は、単著に『プラグマティズムと教育―デューイからローティへ』(八千代出版、2002年)、『問題解決型の道徳授業―プラグマティック・アプローチ』(明治図書、2006年)、『ローティの教育論―ネオ・プラグマティズムからの提言』(八千代出版、2008年)、『ポストモダンの自由管理教育―スキゾ・キッズからマルチ・キッズへ』(春風社、2010年)。
共著に『教育の可能性を読む』(情況出版、2001年)、『経験の意味世界をひらく―教育にとって経験とは何か』(東信堂、2003年)『教育の臨界―教育的理性批判』(情況出版、2005年)、『道徳教育入門―その授業を中心として』(教育開発研究所、2008年)、『学校教育と道徳教育の創造』(学文社、2010年)、日本デューイ学会編『日本のデューイ研究と21世紀の課題』(世界思想社、2010年)。
翻訳に、トーマス・リコーナ、マシュー・デイビッドソン著『優秀で善良な学校―新しい人格教育の手引き』(慶應義塾大学出版会、2012年)。

「2012年 『「生きる力」を育む道徳教育 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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