昭和ちびっこ未来画報 ぼくらの21世紀 (青幻舎ビジュアル文庫シリーズ)

著者 :
  • 青幻舎
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861523151

作品紹介・あらすじ

「地球大脱出」「二〇六一年の東京」「夜のないせかい 人工たいよう」「コンピューターが人間製造」…、
本書には一九五〇~七〇年代の間に、さまざまな子供向けのメディアに掲載された《未来予想図》が収録されています。
当時、21世紀を図解した記事はその大半が空想、夢想、妄想に基づいた荒唐無稽のトンデモ未来観のオンパレードでした。

本書は、小松崎茂、石原豪人をはじめとする空想科学イラストの巨匠たちが描いた未来画を
暮らし、交通、ロボット、コンピューター、宇宙、終末の六項目に分けて紹介。
当時の少年少女たちに大人気の定番コンテンツだった「21世紀はこうなるっ!」を図解した記事は、
媒体である雑誌そのものが大量消費とともに破棄されたこともあり、
その殆どは当時の読者の記憶の中だけで生きつづけてきました。

現実の21世紀に暮らす「未来人」となった今、
当時の大人たちが心血注いで創造した「消えてしまった21世紀」—夢や希望に満ちたユートピアもあれば、絶望的な光景が描きだされるデストピアも—をめぐる時間旅行に出かけましょう。

当時の少年少女にとって最大の関心ごとであり、わくわくの源でもあった「未来」。
ぎっしりと詰まった想像遺産の数々をお楽しみ下さい。

感想・レビュー・書評

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  • 「科学道100冊2021」の1冊。

    昭和30年代から50年代、子供向けの雑誌などを賑わせたのは、「未来予想図」。
    21世紀はどうなるのか、妄想満開のトンデモ未来世界が、あたかも見てきたように語られた。
    「たのしい〇年生」「小学〇年生」「少年マガジン」「少年サンデー」「なぜなに学習図鑑」といった雑誌や本には、小松崎茂、石原豪人ら、著名イラストレーターたちが描く、夢の21世紀の世界が繰り広げられた。

    暮らし。交通。ロボット。コンピュータ。宇宙。終末。
    何だか便利そうである一方、どことなくディストピア感も漂う。
    今、昭和の子供たちが胸を躍らせたその21世紀となった。
    彼らが夢見た世界はどのくらい実現したのか。あるいはしなかったのか。
    そんなあたりを当時の紙面を見ながら、つらつらと追ってみようという本。

    残念ながら、文庫本サイズであるため、元の記事よりも一回り小さい。また、貴重な資料を傷つけないようスキャンして採録しているため、記事中の説明文は一部判読不明である。主に、イラストを鑑賞し、当時の雰囲気を味わうといった読み方になる。

    空飛ぶ自動車や、空中都市などというのは、実現していないがなかなか夢がある。
    台風を消滅させる薬剤とか人工太陽などという大発明もすごい。
    ロボットが大活躍。荷物を運んでくれたり、お母さん代わりになってくれたり、地底探検もしたりする。変わり種では体内で病原体と闘うロボットも(「ミクロの決死圏」の影響?)
    コンピュータももちろんものすごく発展しているのだが、ちょっと行き過ぎ。人間の等級付けをコンピュータが行ったり、死刑判決を出したりと、このあたりはディストピア風味。学校もコンピュータ化されていて、ふざけているとロボットが折檻しに来る(!)
    現実とはかけ離れているものばかりでもなく、マジックハンドを使って遠隔操作で手術、なんていうのは、実際にそのうち珍しくなくなるんじゃないですかねぇ・・・?

    宇宙への夢も膨らんだ。アポロ11号で有人月面着陸が成功したのが1969年(昭和44年)のこと。月から火星、木星、土星と人類はどんどんと進出していくのだ! すっかり人が住み着いた月では謎に大きい農作物が栽培されたりする。

    そして昭和のこの頃、流行ったのが「終末」説。ノストラダムスの大予言がブームになり、地球は滅ぶと盛んに喧伝された。
    滅び方もいろいろで、やれ火山の爆発だ、やれ小惑星の衝突だ、やれ氷河期だ、やれ大洪水だと空怖ろしい。
    ・・・とはいえ、「地球が滅んで宇宙船で脱出」だの「TOKYO大火山・世界大終末」なんて記事の下に、しれっとフーセンガムの広告が出ていたりするのだ。くちゃくちゃガムを噛みながら、「お前、これ読んだかよ!?」「怖ぇぇなー」と言い合ってる少年たちが目に浮かぶ。なんだかんだと、彼らはちゃっかり終末思想のスリルを楽しんでいたのではないだろうか。

    今の子供たちも「夢の22世紀」を思うのだろうか?
    何だかこんなわくわくすると同時にぞっとするような「未来像」はこの頃に特異なものであったような気がする。
    過去への未来旅行、なかなか乙である。

  • ロボットやらロケットやら、昭和のちびっこだった私がどこかで見ていたイラストが満載。すみからすみまでなめるように読んでいたら、あるページに思いがけず、私をSF界に誘ってくれた野田宏一郎の名前を発見。
    こういうことがあるから読書って楽しい。

  • 昭和30年から50年代の子供達には、夢のような未来があった。大人達が考えた未来の姿を、絵やイラストにして雑誌や本で紹介した。でもその夢は徐々に小さくなり、現在では子供達から「こんな世界は有り得ない」と一蹴される状況になってしまう。 昭和の子供や大人達がどんな世界を想像していたのか、当時の挿絵や空想画を集めたのがこの本。過去の記憶が蘇ってきて、大変面白かった。
    自分も昭和世代の子供だったので、この本の未来画を一度は目にしたことがある。21世紀には、月面基地があり火星に進出、仕事は楽になって平和な世界が訪れ、コンピューターやロボットが活躍し、人間は遊ぶ時間がたっぷりある。移動はエアカー、リニアモーターカーや超音速機が飛び交うような世界になると本気で思っていた。でもそれから50年経って、現状は一部実現しているものもあるがほとんど夢のまま。 今となっては空想していた子供の頃が懐かしく思われてしまう。夢を実現するのは、大変難しかった。
    この本に収められている絵はとても楽しい。 色々な機器が描かれているが、スマホ的なものは登場しない。ある意味、スマホは当時の誰も想像できなかったツールなのだ。この本の著者も、なぜかスマホには全く言及していない。 変だなと思って発行年を見たら2012年だった。スマホが普及し始めた頃の本。未来に住んでいる著者も、スマホがこれほど凄い勢いで全世界に普及するとは思っていなかったのかもしれない。

  • 昭和のちびっこたちをわくわくさせた傑作イラスト集です。テーマ毎に集められた未来図は勢いが凄まじく煽り文句も力強い。形こそ変わっていますがいくつかは実現しているのも面白い。昭和を懐かしむ人だけでなく今の人も楽しめる本です。

  • #科学道100冊/つながる地球

    金沢大学附属図書館所在情報
    ▼▼▼▼▼
    https://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BB08758051?caller=xc-search

  • 小銃と軍馬で戦った太平洋戦争従軍の大正生まれ世代の父親の子等に戦車、ジープ、バズーカ砲など近代兵器を見せつけた朝鮮戦争に始まる少年雑誌の図解。ベトナム戦争ではヘリコプター、暗視眼鏡、スマート爆弾など(それでも勝てなかった)。未来人はやはり金権教を信じているだろうか、ホーチミンの“我が民族は英雄”プロパガンダに騙され“英雄は悲劇的に死ぬ”ことを知らなかった社会主義国国民…国民主権とは生命の価値は無限大と想定して始まるのだが/ちょっと多く雨が降っただけでも文明人に死者が出る。最終章の地球の終末図解は説得力ある

  • 昭和中後期の子供達が熱読していた未来予想図。
    荒唐無稽のように見えて実現しているものもある。
    しかし原爆落とされたってのに、原子力に頼るアイテムが多く戦慄した。
    時代とともに関心事の移り変わりが読み取れて面白い。
    文庫サイズのこの本でも絵の熱量が凄まじく、小松崎茂のイラストが特に素晴らしい。
    著者のコメント(ツッコミ)も秀逸。

  • サブカルチャー

  • 配置場所:2F手動式書架
    請求記号:384.5||H 42
    資料ID:W0166796

  • 「こうならなかった21世紀」への時間旅行を楽しめる一冊。ヘリコプターや動く歩道、モノレールやネットワーク社会が未来のものとして扱われているのがびっくり。一方で当時未来実現するであろうと思われていたもののほとんどが、意外と今も実現していない。こういうところから何か新しい商品の開発アイデアに結びつきそう。

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著者プロフィール

1967年、東京生まれ。主に1960~70年のお菓子やおもちゃ、キッズカルチャーについての話題など、レトロな戯言をネタに活動中。主な著書に文庫『まだある。』シリーズ全9巻、単行本『まだある。大百科』『まだある。こども歳時記』『ぼくらの昭和オカルト大百科』、『昭和こども図書館』(大空出版)、『昭和ちびっこ未来画報』『昭和ちびっこ怪奇画報』(青幻舎)、『小学生歳時記』(ダイヤモンド社)、『子どもの遊び 黄金時代』(光文社新書)など。

「2020年 『まだある。おやつ編 改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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