- Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861824807
作品紹介・あらすじ
失意と苦悩のなかで書き継がれたフィッツジェラルドの最後の長篇!附:森慎一郎編訳「小説『夜はやさし』の舞台裏-作者とその周辺の人々の書簡より」小説の執筆が始まった1925年から作者が没する1940年までの『夜はやさし』に関わる書簡を抜粋・選録。
感想・レビュー・書評
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初フィッツジェラルド。前情報全然なしで読んだのだが、快活で誰からも憧れられる、魅力的な紳士である精神科医ディックが、ことの成り行きで結婚した患者であり、財閥の令嬢、ニコルとの恋愛事情を描いた(自分にとっては)ちょっと“オトナ”な小説。とにかく、感情の機微がすごい。恋愛中、または結婚中の男女の感情の仔細な変化はまだ自分の人生経験では補いきれず、「そういうものなのか…」と想像するに留まる、というところはあるけれど、「人生」について書かれた小説でもあると思うので、これからの生き方を模索している人、とにかく海外文学に触れてみたい、という人には激おすすめ!
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第一部のむせかえるような陽光とビーチでの出会い、今が盛りの少女の傲慢さと可憐さ、華やかな社交、そしてその影にうごめく不穏感はさすがの手腕といった感でかなり読まされた。が、第二部から一転、ゼルダ・フィッツジェラルドを彷彿とさせるような精神分析の世界、そして転落していく主人公といったかなり暗鬱とした内容続きで、どうもその落差というか、第一部の期待感を超えてくるものがないように感じられて少し残念だった。とはいえ、やはりフィッツジェラルドには唯一無二の輝きを感じるので、いずれまた読みたい小説ではある。
それにしても、解説にあったこの小説の初期構想、女の子(ローズマリー)が母とビーチを訪れそこでの夫妻との社交を通じて最終的に母親を殺してしまう、という筋のほうが俄然興味を惹かれたし、この小説にも随所にこの構想の影が潜んでおり、読んでみたくなったが、そうすると割とこじんまりした短編に近い話になってしまったのかな。 -
まだ始まりの方。
空気の温度や光の加減、季節の匂いがわかる様な描写。こういう本が好きだ。今が5月でよかった。ちょうど良い。
本当は、好きな飲み物を持って入浴しながら、窓からの陽射しと風を感じつつ、ゆったり読みたい(実際にはページが濡れたり皺になったりするのが嫌でできない)。だから雰囲気だけ持っていく。反芻。
こういう本好きだなあ。破滅的なところが好きというのではなく、何がどうしてかわからないけど、その場に行ったことがある様な感じにさせてくれる感じ?
恐ろしさもある。これはそれを通り越したから読めるんだな。多分。
ゆっくり読みたいのに読んじゃうなあ。
-第2巻部分に入った。
なるほど、こうなっていくのね。というのと、ギャツビーとの比較評価の理由も感じつつ。
読了。
あゝ。クリスティーの「春にして君を離れ」を読んで感じた残酷さに似た、どうしようもない感じ。書き手も苦しいのではないかと思うけど、どうだったのだろう。 -
映画危険なメソッド はこれをもとに作られたのではないか?精神異常者への寄り添いは、ある種の人間関係の極地で行われるので、そりゃ職業倫理の領域を守り抜くのは大変だろう。むしろ、ニコルのように美しい娘が相手となればなさおらだ。ドストエフスキー作品しかり、美しきキチガイとは、なんと蠱惑的なのだろう。肉体と精神、両方で相手に揺さぶりをかける。
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2015/5/23に書簡集も読了。
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今、一番、欲しい。読みたい。本。