- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861827570
作品紹介・あらすじ
「民族」と「宗教」で世界の見方を深化させる
「統一性」と「多様性」をあわせもつ、かくも豊かな歴史
一神教の誕生、離散と定住、キリスト教・イスラームとの共存・対立、国際的ネットワークの展開、多彩な才能の開花、迫害の悲劇、国家建設の夢、現在の紛争・テロ問題……
「本書はユダヤ人の歴史を世界史の流れの中で叙述したものである。ユダヤ人は民族集団あるいは信徒集団としての長い歴史をもっている。ユダヤ民族史を有史以来続くものとして描く立場さえもある。「ユダヤ四〇〇〇年の歴史」といった表現も人口に膾炙している。本書は私なりの立場からのユダヤ人あるいはユダヤ教徒の世界史である」(本書「はじめに」より)
「ユダヤ」の人々は数千年にわたって、信仰や記憶を通じて一つに結びついてきた一方で、自らが生きた時代や地域の中で、きわめて多様な姿を見せることとなった。
一神教の誕生から、離散と定住、キリスト教・イスラームとの共存・対立、国際的ネットワークの展開、多彩な才能の開花、迫害の悲劇、国家建設の夢、現在の紛争・テロ問題にいたるまで、そこにはこの世界の複雑さが映し出されてもいる。
「民族」であると同時に「信徒」である「ユダヤ人/教徒」の豊かな歴史を辿り、さらには、そこから逆照射して世界史そのものの見方をも深化させる。
感想・レビュー・書評
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1章と2章のみ読む。
ユダヤ人の根底に流れる思想的なものの断片は、知ることができた。
メモ
離散か定住かという考えがユダヤ人の歴史を貫いており、どちらの立場をとるかによって歴史叙述もまったく違ってくる。ユダヤ人の中でもこの二つの流れは対立したままで、現在に至るまでその対立は解消されていないと言える。
「捕囚」ヘブライ語でガルート=異常な状態なので元の故郷に帰るべき。
「ディアスポラ」ヘブライ語でテフツォート=植物の種が撒かれるように散らばる。
・シオニズムはガルートに力点を置く。
ユダヤ教の「罪」の概念は、キリスト教的な「原罪」とは全く異なる。ユダヤ教では神の決まり、つまり法律を破ることを「罪」といっているだけで、非常に単純なものである。旧約聖書に書かれていることから逸脱することを「罪」と呼んでいるだけにすぎない。キリスト教のように内面の問題は問わない。
ユダヤ人の歴史観
個人の人生で結局のところ残るのは思い出である。ユダヤ人にとっては「出エジプト」の思い出である(加藤隆)を引用して、
再び我々に出エジプトのような奇跡が起きるかもしれないと、世代と時代を超えて延々と出エジプトの記憶を伝えてゆく。この記憶(思い出)がユダヤ人の歴史観の基本にある。そう信じることによって、1948年のイスラエルの国家建設まで待っていたわけである。
臼杵陽:1956生。東京大学大学院総合文化研究科国際関係論博士課程単位取得退学。在ヨルダン日本大使館専門調査員、佐賀大学助教授、エルサレム・ヘブライ大学トルーマン平和研究所客員研究員、国立民族学博物館教授を経て、現在日本女子大学文学部史学科教授。京都大学博士(地域研究) 専攻は中東地域研究。
2020.1.15第1刷 図書館詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
【書籍】
https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001173690
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ヒトラー本の関連図書。当時ヒトラーが最も恐れたのはユダヤ人だったのではないだろうか。
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東2法経図・6F開架:227.9A/U95y//K