生命の〈系統樹〉はからみあう: ゲノムに刻まれたまったく新しい進化史

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861827969

作品紹介・あらすじ

ダーウィンの想像以上に生命の歴史は複雑だった―地球上のすべての生命のあいだ
の類縁関係を〈樹〉として描き出そうとした科学者たちの200年にわたる試行錯誤の歴
史を、米国を代表するサイエンスライターが語る!

生命進化史の衝撃的発見!

「生命の歴史はなぜ、史実どおりに展開し、別の道には行かなかったのだろう?〔……〕本書は、この物語を伝え、推測する新たな方法と、そこから得られた意
外な洞察についての本だ。この方法の名前は、分子系統学という。〔……〕それは、深遠なる生命の歴史と、生物種どうしの縁戚関係のパターンを、生物の体
内に存在する長い分子を構成する、ユニットの配列から読みとる方法だ。〔……〕分子系統学がもたらした意外な洞察は、生命の歴史や、生物のからだの機能を
担うパーツについての、わたしたちの知識体系を根本からつくり変えた。」(本書「まえがき」より)

「生き生きとした描写がほぼすべてのページを彩る」
(『ニューヨーク・タイムズ』)

感想・レビュー・書評

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  • 科学ノンフィクションの面白さ。
    遺伝子は、世代を経て受け継がれたり淘汰されたりする縦の伝播だけじゃなく、種さえも超えた水平伝播するという驚きの事実。

    腸内細菌との共存の本を読んでも思うが、これまでの数千年で培ってきた知見が最近になり脆くも崩れ去ってるのかもしれない

    面白ろかった!

  • 生命は、系統を分岐しながら進化してきた。
    進化論について詳しくなくとも、漠然とそんなイメージをもっている人が多いのではないだろうか。
    しかし、逆にいえば分岐をするということは、分かれた後は別々のものという自他の境界があると思っているということになる。

    しかしDNAの水平伝播が生命の進化のダイナミズムを演出していたとするならば、そして今も正に現在進行形で起きているとするならば、本書にもあるとおり、「種」とはなにを意味するのだろうか。それこそ人間のためだけの、学びやすくするためだけの相対的な区切りにすぎない。

  • 何かで興味を持って借りてきたのに、パラッと見てどうにも個人的に目から脳に届いてくれなくて断念…。/地球の生命の進化にまつわる3つのサプライズ。まったく新しいカテゴリーに属する特異なタイプの生物アーキアArchiaの発見。想定外の変異を継承する方法=遺伝子の水平伝播。最古の紀元、あるいはその可能性がきわめて高い存在についての大発見。わたしたちヒトの祖先と考えられる生物は、たった40年前には、存在することさえ知られていなかった。という点をおもにp.8から抜書きして終えたい。

  • ミトコンドリアも葉緑体も囚われの細菌であるという、マーギュリスが提唱した細胞内共生説は、細菌が外部から捕虜として取り込まれ、姿を変えてヒトという存在に完全に統合される。
    まるでドラゴンボールに登場するセルのようだが、遺伝子は親から子への縦方向だけでなく、横方向にも伝わる。
    水平伝播だ。

    遺伝子が、細菌だけでなく昆虫や動物でも、それらの種間を移動し、境界をやすやすと越えるなら、それはそもそも境界と呼べるだろうか?
    種の輪郭はあいまいで不安定ではないか?
    わたしたちはみな複合生命体であり、純粋で明確な個体ではない。

    細菌DNAの水平伝播が、ヒトの細胞に統合されることで、撹乱し、がん細胞に変化するかもしれないというのを読むと穏やかでいられない。

    ジャーナリストらしく研究や業績だけでなく、科学者の人間的側面にもスポットが当てられている。
    この分野には無神論者が多いが、ダーウィンは愛娘、ヘッケルは若妻を亡くしたことが信仰心を捨て去るきっかけになった。
    主人公はノーベル賞を取れないことを逆恨みした気難し屋だし、幼児への性的暴行を起こして逃げ回ったり、9.11同時多発テロ陰謀論に与し、自作自演の作戦だと考える立派な科学者も登場する。

    科学者のラボでの研究は凄まじく、爆発の危険や二酸化炭素が充満して窒息するリスク、放射線中毒で倒れるリスクに晒されていて、実験は命がけだった。

    「リンを欠いた栄養源のなかで微生物を培養し、そこに放射性同位体P-32を加えて、微生物の体内、そしてリボソームRNAの中に取り込ませる。その後、細胞を破壊して、rRNAを抽出し、目的のサブユニットを選び出し、酵素を使って切り刻んで短い断片にしたら、電気泳動でそれぞれの断片を競走させる。電気泳動が完了したら、X線フィルムに画像を焼き付ける」。

    ときどき白目になりかけた。

  • 請求記号 467.5/Q 1

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