ブラバン

著者 :
  • バジリコ
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本棚登録 : 480
感想 : 98
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862380272

感想・レビュー・書評

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  • 体育大に進学した幼なじみの男の子に聞いた、当時の話。

    いつ何時でもすきっ腹を抱えていた彼にとって、救いの神のような焼肉店があったそうで。
    600円台のステーキランチなのに、ライスは何杯でもお代わり無料。
    しかも、梅干しが備えつけてあって、これも食べ放題。
    ランチが運ばれてくると、ステーキは大事に取っておいて
    梅干しだけでまず、ライスを2杯から3杯は平らげ、お腹を落ち着かせてから
    おもむろにステーキに取り掛かったとか。

    この間読んだばかりの『ルピナス探偵団の当惑』もそうでしたが、
    津原泰水さんの本の冒頭の登場人物紹介ページには
    この、ありがたい梅干しみたいな効能があります。
    それぞれの登場人物の名前の下に添えられた短い一行を読んで想像を巡らせるだけで
    ごはんの前にこっそり、おいしいお菓子も食べちゃった、みたいな満足感!
    それがブラバンOBの主要メンバー3学年にわたって書き連ねられているのですから
    気分はもう、豪華なデザートバイキング♪

    高校生当時、転校のため、一緒にコンクールで演奏できなかった憧れの女子のため
    OBでバンドを結成し、彼女の結婚式で演奏しようと奔走する主人公、他平の現在と
    吹奏楽部でコントラバスを弾いていた青春時代が、行きつ戻りつしながら描かれます。

    クラシック至上主義の顧問に反抗して、なんとコントラバスの底をくり抜いて
    中にアンプを埋め込み、エレキ化して本番中に乱入するなど
    無謀で、愚かしくて、恥ずかしい所業の数々が、
    時を経て振り返ったとき、なんと愛おしく感じられることか。
    取り柄のない自分が抱える気持ちには蓋をして、
    どこまでがまんできるか、がまんの砂時計をじっと見つめているようだった他平。
    そんな彼が、バンド結成に関わるうち、昔の仲間の思いに触れて
    今にも溢れだしそうな他のメンバーの砂時計をなんとかひっくり返そうと走り回る。

    青春時代は終わったのだ、とため息をつくのではなく
    ブラバンを再結成することで無理やり過去と現在をつなげて
    長いお休みを終えた新学期なんだ!となりふり構わず叫ぶような
    四十路のおじさんおばさんの姿に、胸が熱くなるのです。

    • だいさん
      >ステーキは大事に取っておいて
      私は、最初に食べちゃうな!
      まろんさん は好物を最後まで取って置くタイプなんですか?
      >ステーキは大事に取っておいて
      私は、最初に食べちゃうな!
      まろんさん は好物を最後まで取って置くタイプなんですか?
      2013/06/29
    • まろんさん
      円軌道の外さん☆

      「諦めない人たち」・・・おお、まさに!
      さすが円軌道の外さん、拙いレビューから、言いたかったことを
      ひと言ですっきりと掬...
      円軌道の外さん☆

      「諦めない人たち」・・・おお、まさに!
      さすが円軌道の外さん、拙いレビューから、言いたかったことを
      ひと言ですっきりと掬い取ってくださって、うれしい(*'-')フフ♪
      書いてくださった『青春』という詩、同窓会で教えてくれた同級生がいて
      同席した仲間たちみんなで感動したことを思い出しました。
      歳を重ねても、好きだったこと、今も好きなことのために
      諦めずじたばたする人が、私も好きです。

      うちの近くのベイシアでは、なんともやしが19円で、特売のときは9円になったりするのですが
      これからはそのもやしコーナーを通りかかるたびに
      もやし炒めでお腹を満たしていた若かりし頃の円軌道の外さんが頭に浮かんでしまいそうです(笑)
      2013/07/05
    • まろんさん
      だいさん☆

      だいさんったら、もしかしてセレブですね?!
      私は、大好きなものは最後まで後生大事に取っておいて
      ちょっと目をはなした隙に、悪戯...
      だいさん☆

      だいさんったら、もしかしてセレブですね?!
      私は、大好きなものは最後まで後生大事に取っておいて
      ちょっと目をはなした隙に、悪戯好きの友達にパクッと食べられてしまうタイプです(>_<)
      大学時代、寮での手巻き寿司パーティで、
      最後に大事に取っておいた甘エビを
      悪友に食べられちゃったことを今でも思い出したりします!
      2013/07/05
  • ストレートなタイトルなので、最初は万人向けかと思って読んでましたが、途中からこれは結構人とか世代を選ぶ本だと気付きました。

    私は主人公とほぼ同年代(主人公の方がだいぶ先輩)だったので、主人公に感情移入するというよりは、後輩としてその場に一緒にいるような感覚で読み進めていきました。なので最後まで楽しめたのかもしれません。読み終わった後の私の脳内言語はしばらく広島弁でしたし。

    登場人物のその後が割とハードな人生を歩んでいたりすることが多いので、読み方としては正しかった気がします。

    私はホルンを吹いていたのですが、この話の中だとすごく難しい楽器だと言われていてちょっとびっくりでした。初めて触れた金管がホルンだったからなのか、当時は楽器を演奏することがとにかく楽しかったので、苦労したという記憶がないだけなのかもしれません。

  • 自分の高校の吹部メンバーで、誰かの披露宴で吹くことになった時、どれくらい集まるかなと考えてみた。地元にいる人も楽器持ってる人も少ないし、集まるような雰囲気でもなさそう。

    メンバーの集まり具合といい、音楽の流行りといい、学校の雰囲気といい、「時代」だなぁと思ってしまった。

    これだけ登場人物がいるのに、割とサクサク(登場人物欄を何回も見直したけど)読めたし、章題の音楽を流しながら楽しんで読みました。

    チューバが空に舞った事件や、コンバス改造事件は常識じゃ考えられなすぎてヒヤッとしたけど。

    あと個人的に、楽器が吹けないので最後まで吹き真似をしていた佐藤さんがツボでした。

  • 若い人はけっこう低評価なんだな。まあ、この話はおっさん向けだしね。
    おっさんはね、こういうのに弱いんだ。
    なんでそこで?っていうところで泣けてくるのよ。

  • 諢丞、悶↓螟ァ莠コ蜷代″縺ョ譛ャ縲

  • 2013 読了

    吹奏楽をやっていた頃を思い出し購入。

    今と高校時代を軸に話が進んでいくが、特に盛り上がる訳でもなく少々退屈…

    文中の方言もあまり馴染みがなく疲れた

  • 読まなくても良かった。楽しかったのではあるのだけど、比較的多くの人が、個人的に、気持ち悪い人ばかりだったので。

  • かつての吹奏楽部員が、結婚式で再結成して演奏することになる。バスクラリネットの主人公が、部活に入るところから、回想していく吹奏楽部の記憶。
    青春だなああ。

  • 途中で読むのを断念

    懐かしい広島弁も、ブラスバンドも大好きだけど、
    なんせ話の時代が飛び飛びになりすぎて、情景が全く頭に浮かんでこない・・・

    映画であれば、視覚で捉えて面白いのかもしれないけど
    小説では、いまいち面白さを理解するのが難しかったかも

    だけど結末が気になる・・・

  • なんか面白いのか面白くないのかよく分からなかった。ダラダラと読み進めた。読みやすくはあった。登場人物の紹介とエピソード。しかしこんなに色々ある高校生は無いやろ。

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著者プロフィール

1964年広島市生まれ。青山学院大学卒業。“津原やすみ”名義での活動を経て、97年“津原泰水”名義で『妖都』を発表。著書に『蘆屋家の崩壊』『ブラバン』『バレエ・メカニック』『11』(Twitter文学賞)他多数。

「2023年 『五色の舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

津原泰水の作品

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