ディープエコノミー 生命を育む経済へ [DIPシリーズ]

  • 英治出版
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862760296

作品紹介・あらすじ

私たちは以前より裕福になったけれど、以前より幸福にはなっていない-誰のための経済なのか。人々は、その答えを求めて自ら動きはじめた。世界各地に芽生えた確かな力を、気鋭の環境ジャーナリストがいきいきと描いた話題作。

感想・レビュー・書評

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  • 2022I255 332.9/M
    配架書架:43-5

  • 一方でtwitterを立ち上がらせながら読み終えた一冊。
    人の意識の変化はいつどのようにして起こるのか。それを一つの象徴的な事件や出来事では説明できなくなる流れがあることを、人々は感じ取っているのではないかというような気がする。世界が変わるのは新たなる「9.11」ではないのだ、多分。そういう意味で、人の心の微妙な変化、集合体としてみた時のそれがどのような生態反応をしめしているのかを敏感に察知することが、これからの社会に求められるリテラシーであるような気がした。
    一般化がものすごいスピードで成立してしまう現代(2009年8月の東京はそうだと思う)。社会が求める定義は設問のための布石としての定義に過ぎないような気がしている。問いという輪廻が、いのちを表す一つの定義なのかもしれない。

  • 海外の地産地消の事例などをとりあげて、持続可能=サステナブルな社会を目指すべきでは?という問題提起をしている。

    これまではあまりピンとこなかったテーマだが、考えさせられる。

    増収増益を株主から求められる上場企業は、本当にそれで良いのだろうか?

    持続可能な会社にするにはどうしたらいいのだろうか???

  • 「ファーマーズマーケットなどウォルマートに比べればたいして重要には見えないが、ファーマーズマーケットは食品経済において最も成長の激しい分野だ。数も売上も2倍に膨らみ、この10年でさらに倍増した。これは、土地の使い方から地域社会のアイデンティティにいたるまですべてに新しい可能性があることを示唆している」p.6


    パットナムは、もし何の集団にぞくしていないのであれば、何かのクラブや団体に参加するだけで、翌年に死亡する危険が半分になるとし、
    「1997年に実施されたカーネギーメロン大学の調査によると、研究者が(やや不快だが)被験者への鼻腔へ風邪のウイルスを直接噴霧したとき、
    「豊富な社会的つながりを持っている人は、友人の少ない人と比べて4倍も病気にかかりにくかった」という。米国立心臓肺血液研究所は、多くの社交仲間を持つ中年女性は心臓冠動脈の疾患が23%も少ないことを突き止めた。「社会的つながりの乏しい」80歳以上の人は、認知症になる確立が平均より60%も高い」 p.151





    事実、行政は規模が小さく地域単位であるほうが、世界の難題のいくつかと取り組むには小回りが利いていいのかもしれない。たとえば、地球温暖化に関して何らかの対策をとったのはアメリカ連邦政府ではない。サンフランシスコは太陽発電を採用し、車の排気ガス規制ももっとも厳しい
    p.235

    コミュニティーラジオ p.191
    ファーマーズマーケット

    「納屋の棟上」は、アメリカにおいても「助け合いを象徴する作業である。村のだれかが納屋を建てると、近所の人々が集まって手伝う習わしがあった」
    p.191

    エコロジカル フットプリント 「人間の活動が神前にどれだけ依存しているかを計る指標。経済活動規模を土地面積で示す」
    p.157

    「ストレスの多い仕事生活に対して、高級品を過度に消費することで釣り合うようにしていうる。・・・・この30年で、一人あたりの実際の消費支出は2倍になった」(Juliet Shor, The Overworker American, p.10)

    バーモント州の政治学者フランク・ブライアンの言葉として「タウンミーティングが熟慮の結果に生まれるソーシャル・イノベーションを生み出す」と述べる。「なぜなら、タウンミーテイングは市民立法者として面と向かって民主主義を実行する市民の割合を高める」とする。このタウンミーティングでは、2006年、5つの町において下院議員へブッシュ大統領を弾劾するよう求める決意を承認し、シャーロット町においては、道路予算を15万ドル削減することを投票により可決した。ハンティントン町では、新品の砂散布機のかわりに中古で代用することを決め、3万8千ドルの支出を抑えた。しかし、機能をしているように見えるこのタウンミーティングにも危機が訪れていると述べる。この危機とは規模あ拡大しているおいうことだ。300−400人の有権者の村では」4割の住民がタウンミーティングに参加する。4000−5000人の規模の村に拡大すると、その割合が1割以下に下がる。町の拡大で一票の重さが小さくなるとうこともあるが、近所のほとんどが顔見知りであれば、良き市民であろうとする社会的プレッシャーが高い」とする。ブラジルのポルト・アレグレでは、近隣地域でタウンミーテイングを開催している。市内の数多くの場所で集会を開き、予算の優先順位を決定する。この方法はラテンアメリカの100都市以上に広がっている。スイスの事例では、住民投票が盛んに行われている州においては、生活の満足度が高いという結果がでている。政策決定過程に参加のできない外国人の満足度も高いのはなぜであろう。「実際の参加が幸福感へ与える影響は3分の2であり、参加のみで、参加の結果、政策改善の関与できないとしてもその影響は3分の1である」つまり、参加をするということが幸福感に大きな影響を与えているというのである。pp.232-234

  • アメリカ型の経済システムでは環境問題は解決できず、人々は「幸福」だとも感じていない。世界各地で変化が起き始めている。そこに住む人々が真に幸福になれるように、地域経済を活性化する動きが生まれている。それらは「反グローバリズム」としてくくられるけれども、その可能性に賭けるしかないのかもしれない。

  • ある金額までは 収入が増えると言うことがそのまま 幸せにつながるけど そこを超えたら お金があるだけでは幸せになれない。物が増えることイコール幸せではないでは 幸せになるには?この本 おいしいハンバーガーの怖い話と 内容がかぶっていると思う

  • これまでにない環境問題への関心、原油の高騰もそれと手伝ってか産業革命以降人類が築いてきた成長モデルに疑問が投げかけられています。著者はこれまでの量的な瀬経済成長のモデルに対して、より質的な経済モデルへの変換を本書を通じて主張しようとしているわけですが、どうもこう読者を強く揺さぶるものではないように感じずにはいられません。そういう面で本書は退屈なレポートという感じが否めない1冊と言えます。

    ただ、題材としては今後我々が十分関心を払う余地のあるものではあります。経済成長のモデルを世界は今後何かしらの形で修正していくことも必要であります。何冊か本を探さないといけませんね。

  • いまだに世の中は、無邪気にも経済成長を望ましいものとしてとらえている。だが本書はそれに異を唱える。環境という面で、今のような経済のあり方は持続可能なのか。そもそも経済成長とともに我々は幸福になっているか。そうではないのではないか。

    ただ抽象的に批判するだけでなく、それに替わる具体的な動きを紹介しているのが、本書のいい点だ。キャッチフレーズ風に言えば、「"量"から"質"へ」「地域への回帰」といったところか。

    本書で紹介されている事例は、緒に就いたばかりのものも多く、中には挫折するものもあるだろう。だが、今後我々が「今とは違った経済」を創りあげていく上で、様々なヒントや示唆に満ちている。

    そう。「今とは違った経済」への道は、もはや避けて通れないのだ。あとは、それぞれの国や文化に合った経済のかたちを、みんなが創りあげていくことだ。各々の地域で。

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