- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862760524
感想・レビュー・書評
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どう情報を活用すれば、もっと知的になれるか。
創造性
大切なのは、多くの情報をインプットすることではない。
様々な物の見方を知り、できる限り身につける。そして、自分なりの表現を磨くことだ。
アインシュタインの伝記とか、名言集を読みたい。
ゲーテももっと読みたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人が合理的判断に基づいて企業行動を決めているという考えは、現実に合わないことを誰でも知っているのに、ロジカルに戦略を立てて、結局本人が苦しんでいる。計画に縛られると、状況の変化はマイナス要因となってしまう。
論理的思考を否定するわけではない。有効である。ただしそれは局部的に有効なのである。ある一定の条件で、という暗黙の前提が、論理的に話を展開する上では、欠かすことができない。
しかし、環境の変化が激しく、情報も多量なのが現実。前提そのものが変わってしまうことは頻繁に起こる。そして判断も総合的になり、ある日突然ちゃぶ台返しで苦労が水の泡になる。
では、何を持って総合的というのか。予測していないことまで考慮して、あらゆる事象を検討し尽くすなんて、そもそも無理ではないのか。
そこでこの本の登場だ。
AならB、という合理的世界をニュートン的世界呼ぶ。企業組織は今でも大半がニュートン的世界観によって構築されている。だが科学はそれを遙かに超え、不確定性の時代になっている。線形から非線形と言い換えても良い。
組織は生命体であり、変化しながら存続するものだ。企業は個人と違って永続性があると仮定されているが、事実は環境と相互に交換しあうダイナミックなプロセスであり、一過性の現象である。多様な人、モノ、金、環境条件が、相互に作用し、新しい価値が創造されていくプロセスなのだ。付加価値は生命が誕生するのと同じ、自己組織化によって生み出されていく。
そこには予測も設計もなく、即興で作られるただ一度の体験がある。そう考えれば、状況の変化は創造の源となり、予測し得ない出来事は、歓迎すべき訪問者となる。
この世はカオスであり、現象は複雑系である。組織は生命体であり、全体性を持つシステムである。
有機的な組織、柔軟で、境界線さえ不明な組織。そうした関係性のあり方になじんでいくことが、これからの世界を生きていくための、欠かせない資質になっていくことだろう。