- Amazon.co.jp ・本 (584ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862761019
感想・レビュー・書評
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旧版から大幅に加筆された改訂版で、まさしく大作と呼ぶにふさわしい内容。僕の価値観や世界観、人生観などがこの1冊に凝縮されているように感じる。だから眼から鱗的な話は少ないが、自分がぼんやり感じていた大切な価値観を、より明確に強固なものにしてくれた。
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■「学習する組織」を築く上で必要な5要素
1.システム思考
「システム思考」は、相互関係、全体を見るための枠組みである。複雑な状況の根底にある構造を見る上で欠かせない。
2.自己マスタリー
「自己マスタリー」は、個人の成長と学習のための理論と手法を意味する。学習する組織の精神は 、高度な自己マスタ
リーに達した人たちの、たゆまぬ学びの探求から生まれる。
3.メンタル・モデル
「メンタル・モデル」とは、世の中とはこういうものだという心に染みついたイメージのこと。学習する組織を築く際は、これを検証し、改善することが大切である。
4.共有ビジョン
「共有ビジョン」とは、組織中のあらゆる人々が思い描くイメージのこと。これがあることによって、学習の焦点が
絞られ、そして学習のエネルギーが生まれる。
5.チーム学習
「チーム学習」は、メンバーが望む結果を出せるよう、チームの能力を揃え、伸ばすプロセスである。ここでは、互い
の話に耳を傾ける「ダイアログ」と、最善の考えを求めて様々な発言をする「ディスカッション」を習得する必要がある。 -
不確実性に満ちた現代、私たちの生存と繁栄の鍵となるのは、組織としての「学習能力」である。いま個人・企業・社会に求められる真の「変革」とは何かを私たちに問いかける名著。
ひぐち -
マネジメントの本であるが、経済に限らず人間の集まり、さらには個人にまで応用できる。構成はまず人間が抱える思考の落とし穴、それを改善すると同時に考えの土台となるシステム思考、システム思考の上に構築する5つの要素、それらを実践した対話集で、以上の4部で構成されている。
時間の都合上、第4部は読んでいないが、第1部のビール・ゲームから第3部のチーム学習において、常に「自己のあるべき姿」を軸に置いているようだ。考えてみれば、社会を動かすのは組織、組織を構成するのは人間、人間を構成する個性と辿っていけば、人一人が如何に振る舞うかによって全て影響されてしまうのは、当たり前すぎて気づかないことである。しかし、この「気づかない」が故に、そして「気づかない」状態でも惰性で世界が動く事に、諸所の問題の原因であることを見いだせず、短絡的に誰かのせいにすることが問題だと述べている。それらを回避するために持つべきシステム思考という考え方はとても参考になった。 -
システム論をミクロ的に使った本。読み物としてはおもしろい。
ビジネスよりなので極めて具体的、実践的。そして自己啓発的。ニクラス・ルーマンなどシステム論を社会などよりマクロに応用している本を読んだ後に読むと少し物足りないかも知れない。
そもそも問題解決型の思考には「問題とは何か?」という疑問がつきまとう。それはおそらく直感的なものであり、システムシンキングをする際にはその「問題」を外包する他の問題系に組み込まれているので社会や世界、などというよりマクロなシステムを考えざるを得なくなってくるのではないだろうか。具体的な「問題意識」を持っているひと向けかなと思った。
個人的には「問題は特にない」という改善努力のないような自分に多少の問題意識を覚えるけれど、この本でいくとこういったバランス型は変化を疎外する要因になってしまうので他人に迷惑をかけてしまうのかもしれないという問題意識を新たに引き起こしてしまう。。すべての前提を排除してしまえば問題意識は消滅するのでは?という思いが深まった。(それは目標のなし崩しかもしれないけれども)
問題意識とは自己実現や成長意欲を含めた何かしらの欲が在るところに発生するのかもしれない。
個人的にはどちらかというとニクラスルーマンの自己記述的なシステム論の話の方がすっと入ってくる。 -
「学習する組織」
本書では、「目的を達成する能力を効果的に伸ばし続ける組織」と定義されています。無論、本書が言う通り、一定期間のみ適用するのではなく、絶えずダイナミックに形成していく必要があります。
こういった、環境変動が激しい中で、様々な脅威から耐え、むしろ、適応し、学習して、組織をデザインして進化し続けていく必要があるというのが本書の狙いです。
本書では、学習する組織で必要なものは主に5つであると述べています。
・システム思考
ここでいうシステムとは別に情報技術のことではなく、ビジネスや人による企てたものもシステムであると述べています。どのように相互に関連し、行動し、つながっているかを把握していくこと
・自己マスタリー
継続的に個人のビジョンを明確にし、深め、エネルギーを集中し、忍耐を身につけること、そして、現実を客観的にみることができるといった、学習する組織の精神的基盤を築くこと
・メンタル・モデル
どのように行動するかに影響を及ぼす、一般概念であり、自分の行動を及ぼす影響に意識的に気づくこと。
・共有ビジョン
私たちがこれから創りだそうとする未来の共通像を掲げる力。
組織全体で深く共有されるようになる目標や価値観や使命なくして、偉大さを維持し続けている組織はほとんど思い当たらないと本書でも述べている。
学習する組織を育てるためには、上記の5つのディシプリンが必要であるとのことです。
実践することは非常に難しいのが現状です。
まずは個人から変えていく、そして、相手にも伝染させる(良い方向へ!)といったことが必要であると深く感じます。 -
ただ話し合うばかりでは、皆が望む結果を出せる組織はつくれない。どんな未来をつくりたいのかの具体的なビジョンを共有し、一人ひとりがそのビジョンを自分事として創造的に取り組まなければ前進できない。
人間のシステムにおける構造の特徴はとらえにくいのだ。なぜなら私たちがその構造の一部だからである。つまり、多くの場合、私たちが、自分がその役割の一部を担っている構造を変える力を持っていると言うことだ。
出来事に焦点を合わせ続けている限り、受け身になる運命に追い込まれる。
「われわれの目の前に敵がいる。それは我々自身だ。」
最適な成長率は、可能な限り最速の成長率よりもはるかに小さい。
英語のwholeとhealthは語源が同じだ。>古英語のhalで「元気のよい」という意味
「完璧に問題のない人生ならば、真っ先に何を求めますか。」圧倒的に多い答え>「変化です。何か新しいものを創造したい」
真実に忠実であれ。>自分の行動を変える、強力な方法。
望ましい結果そのものに焦点を合わせる。
物事はこうなっているものだ」ではなく「私は物事をこういう風に見ている」