未来をつくる資本主義[増補改訂版]――世界の難問をビジネスは解決できるか

  • 英治出版
4.24
  • (5)
  • (11)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 113
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862761279

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『BOPビジネス 市場共創の戦略』(英治出版刊行)の著者で、持続可能な開発と環境保護に関するビジネス戦略研究の世界的権威、スチュアート・L・ハート教授の書籍。BOP本の名著です。

    この手のテーマは、実際の自分の業務と少し距離もあり、あまり読まないジャンルでもあったのですが、『ワークシフト』『2050の世界』『日本製造業の戦略』などを読んだあと、関連性を感じ手に取る。

    上記書籍と同様に、現在の資本主義経済が行き詰まり、その後の経済に関して、どのようなことが予測され、どのように対処すべきかの方向性やヒントが示されている。

    本書では、2カ国以上に拠点を持つ多国籍企業の総称をMNCとしてMNCを対象に、BOP(経済のピラミッドの底辺)を市場として狙っていく戦略を解説している。その市場は、現在の資本主義経済の蚊帳の外にあり、手付かずで成長著しい今後40億人になるであろうと言われる市場で、持続的技術を用いて破壊的イノベーションを起していくことを推奨している。

    背景としては、「貨幣経済」「伝統経済」「自然経済」の3つの経済が衝突する世界環境の中で、現在の資本主義経済が破壊寸前まで追い込んでしまった地球環境を、「持続可能なグローバル経済」が、解決していくという見方を示している。

    手法としては、先進諸国の商品やビジネスシステムを持込むのではなく、
    BOP層でも買える値段帯の商品やサービスを、破壊的イノベーションにて実現し、「土着化」という手法で、現地のビジネスエコシステムを、共創する方法で、実施していくことが重要であると主張する。

    そして、MNC企業にとっても、BOP市場で成立させた商品やサービスを含むビジネスシステムを、ボトムアップさせ、先進諸国でのビジネス展開をさせるという「リバース・イノベーション」の観点を、現在のMNC企業が是非取り組みべき戦略としている。

    寄付や無償技術供与などではなく、BOP市場をビジネスパートナーとして捉えて、MNC企業が他のMNC企業に圧倒的な差をつけ、今後の企業のとりうるべきそして最後の大きいチャンスであるとしてる。

    すっかり、BOP本の虜です。同じ著者の本「BOPビジネス 市場共創の戦略」を本日購入したので、明日以降読んでみようと思います。

  • 当然だが『ネクスト・マーケット』と重複多い。持続的な株主価値の創造=[既存の事業運営/将来的事業機会の構築]×[内部能力の育成/外部支持基盤の関与促進]のマトリクスを提示、BOP、技術革新、CSR等がそのどれに位置するのか、バランスが取れているか、という観点がわかりやすい。

  • BOPをターゲットに破壊的イノベーションをすることが得策だ。先進国向け(ニーズは満たされている)の従来なビジネスモデルは通用しない。BOP層が今の生活を行わざるを得ない阻害要因を考え、排除してあげることが重要だ。
    また、人々の稼ぐ力を高めるという意識も重要である。

    先進市場:フットプリントを縮小する
    新興市場:不調和を回避する
    伝統市場:真のニーズに応える

    KEYWORD
    グラミン銀行、ビレッジフォン、土着化、BOPプロトコル

  • 地球環境を保全し、持続可能な資源利用のもとでの豊かさの実現を考えさせられる。本書ではBOPピラミッドの底辺の40億人の貧困層の需要に応えるビジネスによる対応策が示されている。そこでのキープレイヤーは多国籍企業だが、トップダウン、画一的なビジネスモデルは否定される。40億人がターゲットなのではなく、それぞれの土地、村の生活者に資金・収入をもたらす土着・共創のビジネスであり、それを実現する発明・技術が求められる。
    利潤や効率性からの80:20の発想ではなく、薄利多売でもない、BOPのニーズに応え・受け入れられるビジネスにより持続可能な豊かさの実現が可能となる点は理解できた。地球環境の持続可能性からの評価のためには、企業、住民以外の環境NGOなどのチェックと情報発信が欠かせないように感じられる。
    12-91

  • グローバル企業にもブラックはあるだろうし、基本的にBOPビジネスには懐疑的ではあるんだが、世界の難問をビジネスが解決する前にグローバル資本主義が崩壊するんじゃないのかと。

全6件中 1 - 6件を表示

スチュアート・L・ハートの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×