メディア症候群

著者 :
  • 総和社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862860439

感想・レビュー・書評

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  • テレビや新聞では見えてこない現代社会の問題点を洗い出す快著である。

    ネット上でメディアの言説に批判的な議論を日常目にしていれば、聞いたことのある話と思える事柄がたくさん出てくる。本書は国益に反する法案や政治家の思想について丁寧に紹介し、放っておけば国を滅ぼしかねないような事実を報道しない既存メディアの存在を痛烈に批判する。

    驚くのは、日系人と思われる名を持つ海外通信社の日本駐在員が、わざわざ日本を貶めるためだけとしか思えないような記事を世界に向けて配信しているという事実である。日本を批判することで自国に利益を誘導できるような立場にない海外メディアのこうした行動は、私には理解できなかった。

    特定アジアの国々が、景気浮揚策であったり票集めのために日本を批判するのであれば理屈はわかるような気がする(もちろんいいかげんにしろと思っている)し、国内に反日的なメディアがあるのも、幼少のころから「日本は悪い国でした」と教わって素直にそう信じた人々で構成されているならわかる気がする(それも何とかしてほしいものだと思うけれど)。

    ただ、関係のない国はどういうことなのだろうか。やはり現在の日本に、中韓と並べたとき、非難を受ける要素があるということなのだろうか? 中国は経済発展著しく、韓国はアメリカにおけるロビー活動が活発である旨が本書にも記されているが、それだけなのだろうか? 

    個人的には概ね本書の主張に同意できるのだが、現在の(あくまで現在の!)日本が自省しなければならない点があるのかもしれないという感想を持った。それはしかし、他国におもねるべき点を見つけるということではなく、日本の意思や姿勢を知らしめる努力・方法とその結果において、という意味である。

著者プロフィール

西村幸祐(にしむら・こうゆう)
批評家、関東学院大学講師。昭和27年東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科在学中より「三田文学」編集担当。音楽ディレクター、コピーライター等を経て1980年代後半からF1やサッカーを取材、執筆活動を開始。2002年日韓共催W杯を契機に歴史認識や拉致問題、安全保障やメディア論を展開。「表現者」編集委員を務め「撃論ムック」「ジャパニズム」を創刊し編集長を歴任。(一社)アジア自由民主連帯協議会副会長。著書は『ホンダ・イン・ザ・レース』(講談社)、『「反日」の構造』(文芸社文庫)、『幻の黄金時代』(祥伝社)、『21世紀の「脱亜論」』(祥伝社新書)、『韓国のトリセツ』『報道しない自由』(ワニブックス【PLUS】新書)、『朝日新聞への論理的弔辞』(ワニ・プラス)など多数。

「2022年 『九条という病 - 憲法改正のみが日本を救う -』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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