ぼくにはこれしかなかった。

著者 :
  • 木楽舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863241510

作品紹介・あらすじ

就職するだけが人生ではない--40歳を過ぎて本屋を開いた
岩手県盛岡市「BOOKNERD」店主が綴る、現在進行中の物語。
書き下ろしのブックレビュー「ぼくの50冊」も所収。


(本文より)
ぼくは40歳を過ぎてからこの小さな街に小さな本屋を作った。
誰に笑われてもかまわなかった。
それはぼくの人生で、生きることのすべてだったのだから。
これはぼくの、ぼくだけにしか体験し得なかった物語だ。
そしてその物語はいまもなお続いている。

(編集者より)
Instagram上で、ぼくは早坂さんと出会いました。当初は名前も年齢も知りません。
ID名・ブローティガンは、2017年の夏の終わりに
「会社を辞めるので、これが会社員としての最後のランチだ」とポストしました。
それからすぐ。彼はニューヨークに本の買い付け旅に出発しました。

書店でのアルバイト経験ゼロ、出版社にも勤務したことがない、
40歳すぎの早坂大輔は、故郷ではない街「盛岡」に独立系の本屋を開業しました。
店名は『BOOKNERD』。そう、彼は“本オタク”だったのです。
それから2年。ぼくは彼に本を出さないか、と持ち掛けてみました。

それは
「なぜ会社をやめて、本屋をはじめたのか?」
「いまはしあわせなのか?」
「地方都市で商売は成立するのか?」といった疑問に回答してほしかったからに他なりません。

本書に書かれている彼のドキュメンタリーは、
いま、生き方や就職活動で悩んでいる人々の参考になるだろう、と思います。
ぜひ、ご覧ください。

感想・レビュー・書評

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  • 岩手・盛岡市にある書店・BOOKNERD。この店の存在を、岩手のリトルプレスの雑誌で知った。「本オタク」を意味するこの書店にそそられ、いつか是非店を訪れてみたい…!と憧れを募らせていた矢先に出版された本書。40を過ぎて書店をオープンさせた早坂さんのこれまでの歩みは紆余曲折の日々だが、そのエピソード一つ一つが胸を刺す。もう、夢中になって読みました!折り合いのつかない、理想と現実。いくつもの出会いと別れにはなかなかに苦い経験もあり。
    書店をオープンさせてからも苦難の連続ではあるが、アメリカへの本の買い付けエピソードにはワクワクした。そして、前述のリトルプレス誌でBOOKNERDと同時にその存在を知った、盛岡在住の歌人・作家のくどうれいん。彼女の才能をいち早く見抜き、彼女のZINEをBOOKNERDが改訂版として発売してくれて、本当によかったなと思う。
    私は様々な書店のトートバッグをコレクションするのが楽しみの1つとなっていて、BOOKNERDのカッコいいトートも買ったのだが、「トートバッグやオリジナルグッズを買う、という行為はなんとなくその店を支持するという表明の代わりのような気がしないだろうか」という一文には心から同意!
    そして、早坂さんおすすめの「ぼくの50冊」も実に素敵なセレクトだった。色褪せない名作ばかりである。
    本&書店が好きな人、今の自分に迷いを感じている人に是非とも手に取って欲しい。そして、間違いなく、盛岡に行きたくなる。

  • 率直な感想としては、どうしても前の奥様の気持ちの方に感情移入しまい、モヤっとした気持ちになった。というのが正直なところです。遠回りしたといえば聞こえはいいかもしれないが・・。そこは著者の方もわかってはいると思いますが。そんな気持ちで読んだので、フラットの感想が書けないかな。
    くどうれいんさんは凄いなあ。発想がよい意味で飛んでるというか。

  • 我が街の外れにいつの間にか開店していたオシャレな古書店、というのが著者の経営する独立書店のファーストイメージ。この店は一体どんな方向に行くのだろうかと思いながら通っていたが、現在ではこの街の閲読文化の一翼を担うまでに定着した。
    そんな彼が現在までの半生を綴ったこの本は、赤裸々でもありどこか恥ずかしそうだったり、クールであったり勢いも感じられて、素直さを持ってこれまでを振り返って書かれていた。スモールショップって大変だよね、という一言で感想は終わらせちゃいけない、でもそのストレートさになんだか頬が緩んでしまった。
    東京でも秋田でも札幌でもなく盛岡で店を続けてくれたことを嬉しく思いつつ、今後も通っていくだろうし、全国のスモールショップがそれぞれの街で人々に愛され、長く続いていくことを願うのであった。

  • 就職が迫りモラトリアムな大学4年生の自分に染み渡る本。自分にしかできない仕事がしたいと思った。自由とはなにか、再考するきっかけになった。彼の営む本屋、BOOK NERD、盛岡に行ってみたいと思った。就活を控え悩んでる人や働いていてこのままでいいのかと思い悩んでる人におすすめ。

  • いま思えば、これで良かったんだな。
    そう思えるのは、いい仕事に出会ったからではなくて、いい人に巡り合い、いい生き方ができてこそなんだと、背中を押された気がしました。

  •  

  • 生き方にはいろいろある。
    好きなことを追求して、自分がやったという足跡が残る仕事。それができる人にはもちろん苦労があって、でもその分充実感があって幸せで。

    一人の男性が、会社勤めを辞めて自分の店を持ち、事業として成り立たせていくお話。
    夢はこんなふうに叶えるのか、と参考になったし、本が大好きなので、本への愛が伝わる文章が心地よかったです。

    ただ、そうじゃない方の人生が不幸だとも思わない。
    私は好きなことを仕事にした人生ではないので、思い切って、刺激的でクリエイティブな人生を生きてみたいなあと思うこともある。でも、誰がやってもあまり変化がなく、時につまらなさを感じる仕事ならば、すぐに辞めるべきだ、という文書は行き過ぎかな。

    最後に、好きだった文章を。
    「白い息を吐きながら、盛岡の街を歩く。
    街の中を流れる大きな川を渡り、古い橋を越えると見えてくる小さな喫茶店に入ってコーヒーを一杯。
    バックパックからぼろぼろになった文庫本を取り出し、なんとなしに読みはじめると窓の外を猫が横切っていく。」

    いつか岩手のお店に行ってみたいな、独立系の書店を巡ってみたいな。
    私は着実に仕事をしながら、余暇の時間で最大限、好きな本を楽しみたいと思いました。

  • 盛岡にある憧れのお店book nerd。くどうれいんさんも大好き。盛岡に訪れたこともあるのにタイミングが合わずに行けてないのが残念だけど、きっとまた再訪のタイミングがあるということだと思う。盛岡という街には文学的な香りがある、風情がある、ということに完全に同意する。本当に素敵な街…

    大学生のときに私がずっとモヤモヤしていたこと(そして今もずっと考え続けていること)本質的な仕事をしたい、人間らしい生活をしたいということ。同じように悩みながら生活している人がいることにとても救われる。「きみがほんとうにかがやく仕事をしよう」
    やっぱり本はいいね。

  • 働くことについて考えるようになりこの本を読んだ。自分にしかできない仕事かどうか。それを見つけるまでは長い旅のような道のりがこの先待っているんだなと考えさせられた。仕事は大きなよろこびだと、そんな風に感じられるようになりたいと思った。
    自分の価値観や信念は大事にしたいからこそ、自分を信じるしかないと気付かされた1冊。
    それと読書を介して得られることの大切さを改めて実感した。

  • 古書店BOOK NERDをオープンした店主のこれまでの人生が包み隠さず綴られていました。
    自分の好きなこと、やりたいことを仕事にして家族を食べさせていくことの大変さ。さまざまな葛藤。そのなかで傷つけてしまった大切な人たち。読んでいて苦しくなる場面もありましたが、自分をごまかさず、夢を実現させていま現在進行形で頑張っている著者にエールを送りたいです。
    喫茶文化が根付いている大人の街、盛岡。そこにオープンされたBOOK NERDぜひ訪れてみたい!!

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著者プロフィール

1975年生まれ。サラリーマンを経て、2017年に新刊・古書店「BOOKNERD」を開業。書店経営の傍ら、出版も手がける。主な出版物に、くどうれいん著『わたしを空腹にしないほうがいい 改訂版』。

「2021年 『ぼくにはこれしかなかった。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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