- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863853577
作品紹介・あらすじ
きもちのいい奇天烈。たぶん、きもちがいいのは、それが本能とか骨とかに刻まれた、文様のようなものだから。知らなかった世界なのに、自分を見つけた気もしてる。
――最果タヒ
妹の右目からビームが出て止まらない。薔薇園にいくと必ず鰐がいた。眠たくて何度も泣いた。紙粘土で上司たちの顔をつくった。三人でヤドカリになった。サメにたべられて死にたいだけの関係だ。あたらしい名前がいる。おばけになっているときはなにも話してはいけない。肩車をした拍子に息子の股間が私の首にくっついてしまう。隠れ家的布屋さんは月に進出している。私は忍者で、すごいのだけれど、あんまりみんな信じない。……可笑しさと悲しみに満ちた53の物語
感想・レビュー・書評
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マジックリアリズム的SF短編集。好み。トラボルタがなぜか家にという話と、こっくりさんがプーさんに憑依して同棲する話が馬鹿らしくて印象に残った。今まとめただけでも面白そうだもの。
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こわいものが愛らしくなったり、何の変哲もないものがいきなり牙を向いたりと著者の幅を知れる一冊。
感情と行動が直結しているからか、こうなれたらいいなが詰まっている。 -
58こういうのが好き
彼がよろこぶと思って、僕は、本当はこわいのは大丈夫だったけど、そのはじめてのデート以来、彼の前でちょうどいい感じにこわがるのを、死別するまで三十年続けた。
66刺繍
僕はそのふたりのうちの片方を針でめった刺しにした。すると、しんどくなってきた。だれのことも憎みたくなかった。でも、どうして嫌な目に合った僕が我慢しないといけないんだろうと思って、もっと針で刺しまくった。その隣で僕と猫が笑っていた。 -
不穏で奇妙で可笑しくて怖い。
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2019年7月7日に紹介されました!
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好きな表現がたくさんあって、何度でも読みたくなる。
とくに好きなのは、
「星を読まない」「こっくりさん」「狼」「かなでちゃん」「チェーンソー」「お墓」
読むのが何度目でも、おみくじみたいにランダムな気持ちで挑む。
出てくる人が楽しいと思ってることとか、信じてるルールとか感覚が響いて、親身な気持ちになる。事あるごとに、「助かる〜」(こっくりープーさん)って口に出して言いたくなったりする。
骨や爪やチェーンソーなどの出てくるパーツもそうだけど、身体感覚が好きなんだと思う。
お話を話してる主体が、若者だと思っていたらおじいさんだったりしてそんな風に小さく裏切られる。世代感覚を飛び越えたり移動したりして、何百年も生きてる人の気持ちになったりできる。
この本のなかから掬い取れるような感受性が、何十、何百、何億光年先まで届いたらいいのに。届くと思う。
とにかくめちゃくちゃいいし、おもしろいから
みんな読んで!!!