銀をつむぐ者 下巻 スターリクの王妃 (下巻)

  • 静山社
4.09
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863895553

作品紹介・あらすじ

舞台は東欧のどこかにある小さな国。ここでは時折、スターリクという氷の妖精たちが棲む異世界への道が開かれる。
 ミリエムは16歳、金貸し業を営むユダヤ人の娘。気弱な父親に代わって、ミリエムが村の家々を回って借金を取り立てると、少しずつ金が貯まるようになってきた。「魔法のように金を生み出す娘」という評判が広がる。そんなミリエムの前に、ある日、スターリクの国王が訪ねてきて「この銀を金に変えろ、そしたら王妃にしてやる」と、無理難題を押し付けてきた。
 ワンダは貧しい一家の娘。母を亡くし、大酒飲みの父親と、二人の弟とともに暮らしていた。借金の返済ができなので、ミリエムの家で働きながら、少しずつ金を貯めていた。ある日、姉弟は酔っ払った父の暴力を避けようとして、謝って殺してしまう。そして、姉弟たちの逃亡生活が始まった。
 イリーナは成り上がり公爵の令嬢。器量よしではないが、稀少なスターリク銀の装身具を身につけると、不思議な美しさを放つ。そして美しい皇帝のもとに嫁ぐことになった。しかし、皇帝には魔物が取り憑いていたのだ。
 苦境に立つ3人が、手を結び、知恵を絞り、スターリクや魔物と闘っていく。それぞれの物語が、まるで糸を紡ぐように、大きな一つの物語に絡み合っていく、壮大なファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  • とても面白かった!
    正直、上巻ではあんまり面白くないかな…と思ってましたが下巻はとても面白い。
    強いて言うならチェルノボクがもう少し強ければなと笑
    これだけ沢山の登場人物がいながらきちんとわかりますく描写されてますし視点の切り替えも上手い。
    一人一人の登場人物を大切に扱っていると思いました。

  • 主人公は、
    金貸しを生業にしているユダヤ人の少女
    働かずに暴力をふるう父親と暮らす少女
    生母を失い肩身の狭い中で暮らす公爵令嬢

    侮られ、蔑まれ、搾取される少女たちが、それでも己に与えられた環境の中で、初めは誰かに押し付けられた役割を
    、勇気と機知で乗り越えることで成長していく物語

    誰かの一人称視点で進む読みやすさが、作品そのものを低年齢向けに感じさせるが、その責任の中で、自分以外のものを背負う女の意識へと明確に変化していく少女たちの描き方は、大人の視点だからこそ理解しやすいとも言える
    子どもと大人の狭間で揺れ動く主人公たちの姿が実に生き生きとしていて美しい

    設定だけでワクワクさせられるような世界観
    力強く生きる平凡な人たちの生活
    血なまぐさい冒険
    恋の甘ったるさを一足飛びに超え、同情や共感を含んだ、もっと本質的な愛に直接切り込んでいく男女関係

    この作者らしい、大変面白い作品だった

  • p385訳者あとがきより

    「銀をつむぐ者」に、万難から救ってくれる白馬の王子様は登場しません。娘たちは、それぞれに、誰のお仕着せでもない新しい人生を自力で見つけなければならないのです。
    中略
    それでも三人は、知恵を絞って困難に立ち向かい、互いの立場について思いやることを学び、成長していきます。


    下巻が怒涛の展開。
    あれもそれもこれもあれも、繋がるって!!!
    途中、なぜか涙が。

    一番ワンダに共感してしまったかな。
    義姉さん、勧めてくれてありがとう☆
    自分では出会えなかった本だったので、めっちゃ感謝!!!
    しかも、この時期に読めてよかった。
    何かを始める時に読めるといいね☆

  • 文章が好き ◯
    作品全体の雰囲気が好き ◯
    内容結末に納得がいった ◯
    また読みたい ◯
    その他 ◯


    ユダヤ人の歴史といえば、かなしい史実しか知らないし、そう思い込んでいたけれど、本書を読んで彼ら彼女らの楽しい日常生活もあったのだと、気付かされました。
    そういう物語も読んでみたい。

    3人の少女たちが、それぞれかかえる苦悩に立ち向かうお話。出会うことで、物語が動き始める。

    冬を求めた王も、春を求めた王(皇妃)も、守るべきものをまもっただけ。



    今までのファンタジー作品だと、本来まじわることのない世界が交わり、そして救われるために何か(奇跡の源である力や、英雄の存在など)を失い、それもやむなし、という形で終わるパターンが多かったけれど、本書はそうではなかったのがうれしい。


    とてもすばらしいお話でした。
    他の作品も読もうと思います。

  • 訳者さんが”ヒロインたちがキャラ立ちしてる”とおっしゃってるように、そこが珍しく分かりやすいな~~!

  • 7月20日読了。図書館。

  • 2021.06.10

  • ナオミ・ノヴィクの「ドラゴンの塔」でも書かれていたドレスのディテールの描写が今作でも楽しめました。ラストの主人公の選択は予想はしていましたが、実際にラストのシーンでは嬉しくてテンションが上がりました!!たくましい女の子たちに勇気をもらえる作品でした。

  • 三人の若い娘たちの勇気と魔物との戦いにハラハラしどおし❗️それぞれの人物の側から物語がかかれており、一人ひとりの思いがよくわかった。ハッピーエンドで楽しかった

  • 女王と皇后と王様と皇帝と・・・。
    紛らわしいけれどそこはファンタジーの世界。しかも人間界とは存在を異とする架空の国のファンタジー。
    映像化出来たらいいのになと思う。
    ナオミノヴィクの本、「テメレア」も映像化!とか言って結局ならなかったけど、「ドラゴンの塔」よりこちらの本の映像化の方が楽しそう。とはいえ、すべてCGでしょうが。

    そうしたら『美貌』を武器にできる女性出てきてほしいな。勝手なお願いですが。

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著者プロフィール

【著者】ナオミ・ノヴィク Naomi Novik
1973年ニューヨーク生まれ。ポーランド移民の二世として、ポーランド民話に親しんで育つ。ブラウン大学で英文学を学んだ後、コロンビア大学でコンピューター・サイエンスを学び、『ネヴァーウィンター・ナイツ』などのRPGゲームの開発に携わる。2006年『テメレア戦記1 気高き王家の翼』で作家デビュー。ジョン・W・キャンベル新人賞(現アスタウンディング新人賞)や、コンプトン・クルック新人賞を受賞。また、ヒューゴー賞にもノミネートされ、『テメレア戦記』はその後ベストセラー・シリーズとなった。他の作品に『ドラゴンの塔』『銀をつむぐ者』「死のエデュケーション」シリーズなどがある。現在、夫と娘とともにニューヨーク市に暮らす。

「2023年 『テメレア戦記 7 黄金のるつぼ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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