- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863897625
作品紹介・あらすじ
都会っ子の千里は、ゲームやおしゃれに夢中の今どき中1女子。秋のある放課後、家でふだんどおり親友の理香とゲームに熱中していた千里に、母が突然、「熊本のジジさまのところへ行って、ケモノを獲ってみない?」と持ちかけた。いつもなら「行かない」と即答するところ。でもその日に限って、父に夕食の支度を手伝わされた時に見た、手羽先肉に残っていた羽に感じた違和感から、〈死んだ肉〉と〈生きた肉〉についてぐるぐると思い悩んでしまっていた千里は、思わず、「……うん」と答えてしまった。戸惑いつつも意を決し一人降り立った熊本空港で千里を待っていたのは、生粋の〈もっこす〉の祖父=ジジだった。ジジと猟友会仲間のおじいちゃんたち、地元の中学1年生ながらすでに罠猟マニアの蒼太らとの出会いと交流、そして罠にかけられ、目の前で命を仕留められて肉と化すシカやイノシシを見るうちに、千里の中で〈命〉への思いが揺らぎ、変化していく。
感想・レビュー・書評
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野生動物と人間の棲み分け、里山の消失が問題となっている。
とりわけ今シーズンは熊による被害が連日ニュースでも伝えられていた。
野生動物が人間の暮らすエリアまで降りてくるには様々な理由があるが、人間の存在が原因でもある。しかし人間にも生活があり、被害を食い止めなければならない。
過疎化、超高齢社会となった地方での獣害に対する葛藤や苦労を、都会の中学生の視点から語っているティーン向けの小説だ。
大都市で生活していると、頭の上を素通りしていくような獣害の話も、小説で読めばやはり人ごとで済ませてはいけないことだと感じられる。
生徒には4類や3類の本に絡めてセットで提供したい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
静山社って(翻訳)児童書が中心の出版社だったんですね!
中学一年生のゲーム配信実況者である千里が、熊本県に住む祖父の元を訪れ、わな猟について知っていくというストーリー。
こういう、何かと何かを掛け合わせていく話は好きなのだけど、冒頭のドラゴン退治が、わな猟にもっと関わってくると面白そうだったりする。
モンハンに代表される、デジタルの狩りは沢山の人を魅了している。(人を狩るようなゲームも然り)
それはフィクションだからこそ、なのか。
では、リアルに血や、音や、臭いがした時に、私たちはどう受け止めるんだろう。
魚でさえ、うわあ、となる自分には、やっぱりショックングな世界なんだろうな。 -
母親の故郷熊本で、祖父の害獣駆除を見学することになった中1の千里の数日間。
獣たちとの共生を考えさせられた。メガソーラーも。 -
5.6年。都会育ちの千里は、料理の際に鶏肉についた羽毛に命と肉を感じ怯える。そんな姿を見た母親から、熊本のジイちゃんちに行くことを促され、千里は猟の現場を見ることに。始まりがラノベのように軽いノリがあるが、ジイちゃんに出会った後からどんどん文学らしく猟やわな、動物の習性などの知識、戦争の話題なども入り込み、「片耳の大鹿」などを思わせる自然との共存や、平等な命の在り方を考えさせる一冊になっている。