待ちつづける動物たち

著者 :
  • 飛鳥新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864101523

感想・レビュー・書評

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  • 130604-with『ゼロ』
    顔の表情、体つきが切ない。041
    飼い主と毎朝歩いたあの堤防を、歩いている。健気。寂しいのだろうな。045
    そのくるみミニチュアダックスが保護直後亡くなった。半年もの間、いとりぼっっちで生きてきた。歩く写真が涙出る。054-5
    餌もなく減りなり、死に向かう牛たち。彼らはどこまで理解しているのか。やりきれない。最後の晩餐。102
    全頭殺処分後の、がらんどうの牛舎。残酷な現場はみえない。103
    →『のこされた動物たちー20キロ圏内の記録』太田康介

  • 前作『のこされた動物たち 福島第一原発20キロ圏内の記録』の『その後』を追った写真集です。なんというのか…。被災地に残された動物たちのたどった過酷な運命をこうして突きつけられると気持ちが重くなります。

    前著、『のこされた動物たち』の続編にあたる写真文集です。福島第一原発20キロ圏内で生き残っている犬や猫をはじめとする動物たちや、力尽きてしまった動物の最期。さらには『殺処分』という形で迎えた彼らの悲しい運命を写真と文でつづっていきます。

    前作に引き続き、これを読んで初めて知るようなものばかりで、著者たちが保護しようにも野性の生活ですっかり人間たちに警戒心を持ってしまった犬や猫がなかなか保護できず、手遅れになってしまったり、誰もいなくなってしまった町の中に、放されたガチョウが一羽たたずんでいる写真や、やせ細ってへたばってしまう牛など、正直な話「うっ」となってしまうような写真も多く、本当に前作同様、最後まで読むのがつらい写真集でありました。

    さらに、彼らを保護するボランティアに大きな『壁』となって立ちふさがったのは行政や、警戒区域などの指定によって検問が張られ、保護活動を自粛せざるを得ない状況があったことがつづられておりました。それでも、現地で生きる彼らには子供ができたりと、彼らなりの『営み』があったりと、そんなことを考えさせてくれるものでございました。手にとって一度読んでいただけたらと…。そんなことを願ってやみません。

  • 一瞬、分からない写真もよく見ると…悲しいことだが、納得せざるを得ない。『のこされた動物たち』よりショッキング。しかし、これが現実なんだな。

  • 衝撃的には前作の方が上。

    でも。
    あれから一年経とうとしている過程での惨状。
    tvでは決して放映していない事実。
    日本にある原発が全て停止した今、だからこそ考えなければいけないのではないだろうか?
    こういう状況になったのは『誰の所為』ではなくて、個人で考えていくべき問題。

    殺処分された家畜達。
    彼等は訳も判らず殺されていく。
    誰も居ない町中を闊歩するダチョウ。
    頭蓋骨と背骨だけの犬。
    猫と思われる前足だけの骨。
    頑張ったけど、手遅れで横たわる犬や猫。

    悔しくて、情けなくて。
    海の向こうの某国では『福島はあの津波を防げたはずだ』といつだったか発表していた。
    自国であったら、決して言えない。
    自力で何かしたくても何も出来ない自分が悔しい。情けない。
    国は何をしているのか。
    誰かをあてにしているしていては遅すぎる。
    原発反対ではなくて、賛成ではなくて。
    教訓としなくてはいけない。

    この本は、このまま継続して様子を伝えて欲しい。
    心から切に願う。
    このまま 風化 していかないようにする為にも。

著者プロフィール

太田康介(おおた やすすけ)1958年9月23日生まれ。滋賀県出身。フォトグラファーアシスタントを経て、編集プロダクションにカメラマンとして入社。1991年よりフリーに。日本写真家協会(JPS)会員。報道カメラマンとしてボスニア・ヘルツェゴビナやアフガニスタン、カンボジア、北朝鮮などを撮影。東日本大震災後は、原発周辺に取り残された家畜やペットの写真を撮るとともに、飼い主のいない猫のTNR(地域猫化)と給餌活動を続けている。著書に『のこされた動物たち』『待ちつづける動物たち』(飛鳥新社)『しろさびとまっちゃん』(KADOKAWA メディアファクトリー)『うちのとらまる』(辰巳出版)『おじさんと河原猫』(扶桑社)など

「2020年 『やさしいねこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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