- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784864101936
作品紹介・あらすじ
サラリーマンが組織内で昇進するための正攻法を説いた最強のビジネス書。ペプシ工場の清掃夫から国務長官にまで上り詰めた伝説の男が教える「13のルール」。
感想・レビュー・書評
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米国社会で、まず黒人というハンデ、さらにストリートキッドという貧しい生まれから最年少で米国4軍のトップ、国務長官までのし上がった立志伝中の人物です。
さらに、イラクに大量破壊兵器があると信じて仕掛けた戦争が、誤情報によるものだったという大失態をやらかした人物でもあります。
毀誉褒貶のある人物のリーダーシップ論ですが、実体験に基づくものだけに面白く読めます。
ただ、軍隊での教育が家庭での教育として通用するのか(P122)については、異論のあるところでしょう。
間違いを見すごさず、できるだけ早く指摘する(P125)大切さがよくわかります。
報告で大切なこと、わかっていることを言え、わかっていないことを言え、その上でどう考えるのかを言え、この3つを常に区別しろ(P154)。
記者会見での15項目にわたる対応方法は、菅官房長官に読んでほしい(P172)、中でも「彼らは彼らの仕事をしている、君は君の仕事をしている。ただし、リスクを負っているのは君だけだ」は名言です。
「解決策を検討する場合、何段階か先の副次効果までよく検討しなければならない。また、これで解決できると思う対策に到達したときには、それが本当に解決策なのか、それとも将来に禍根を残す希望的観測なのか、自問自答しなければならない(P205)」などは、大小の問題を問わず安易な解決策を求めてはならないという金言です。
新任指揮官の3つの封筒のエピソードも魅力的です。
「新任の指揮官に、前任の指揮官が1から3までの番号を書いた3つの封筒を渡し、問題が起きたら順番に開くよう指示する。1か月後に最初の封筒を開くと、「オレのせいにしろ」、さらに数か月後に2番目の封筒を開けると「再編しろ」、そして3番目の封筒を開けざるを得なくなった時「3通の封筒を用意しろ=後任を探せ」と書かれていた」(P208)
英語があまりうまくない10人の外国の子供たちが付き添いもなく米国のレストランで食事をするも、会計の時になってお金が足りないことに気づく。ウェイトレスに「お金が足りない」と話すと、子供たちを見渡してから彼女は奥へ引っ込む。しばらくして、戻ってきてにっこりと笑って言う。「会計は気にしなくていいわよ」でも子供達にはさらに気がかりなことがある。「差額はあなたが払うのですか?」「店長にあなたたちのことを話したら、みんなにこう言ってほしいといわれたの。当店へようこそ。お食事は楽しんでいただけましたか?この街に来られたことをうれしく思います。米国滞在を楽しんでください」(P288)
いささか出来すぎたエピソードではあるが、米国社会の懐の深さを感じることができます。
リッコーバ海軍大将の講話「物事をなすのは組織ではない。物事をなすのは計画や制度ではない。物事をなせるのは人だけだ。組織や計画や制度は、人を助けるかじゃまをするか、である」(P344)
本来人間の利便性ために存在すべきなのに、組織や制度に縛られる人間のいかに多いことか。
タイトルの内容にしては肩ひじを張らず、気軽に読める本です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
Febe
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☆3(付箋18枚/P349→割合5.16)
・私は、よく、フランスはアメリカ独立戦争のときにも我々の見方をしてくれたじゃないかという言い方をする。フランスとは230年以上も結婚生活をしている…そして、夫婦仲が悪いと230年以上もカウンセリングを受け続けているんだ、と。それでも離婚しないのは、人権や自由、民主主義など両国は価値観や信念が同じだからだ、と。
・私に反論しろ。心の底から反論しろ。自分が正しく、私はまちがった道を選んでいると私に納得させろ。それが君たちの義務だ。そのために君たちはいるのだから。私に反論されたからといって、おじけづかないこと。ただし、議論は尽くしたとして私が決定を下す瞬間がいつくかくる。そうしたら、自分の考えであるかのように私の決定を実行しろ。すばらしいと口先でほめたたえるだけなどもってのほか。ぶつぶつ文句を言うのもだめだ。一致団結し、成果を出さなければならないときなのだから。また、新しい情報が入ったとか、私自身が失敗に気付いて再検討しようと言うとかがないかぎり、この段階で議論を蒸し返さないこと。忠勤とはしっかりと反論することであり、また、きちんと実行することである。
・優れた判断は経験から生まれる。経験はお粗末な判断から生まれる。
・兵舎の視察では、寝棚と壁際のロッカー、そして、寝棚の脇に置かれた小型トランクをチェックする。洗面所へも直行する。チェックするのはきれいかどうかだけではない。トイレットペーパーが不足していないか、鏡が割れていないか、シャワーヘッドがなくなったりしていないかなどもチェックする。なにか不具合がある場合、だいたい、維持管理費が不足しているか、こういうことを調べて修正する体制ができていないか、あるいは、兵士の監督が十分におこなわれていないかだ。
・「必要だと思う以上に親切にしなさい。あなたが思うよりもはるかに強く、親切を受けとる側はその親切を必要としているのだから。」
・「世界にとってあなたはひとりの人にすぎないかもしれないが、ひとりの人にとってあなたは世界になりうる」のだ。
・問題は解決しなければならない。管理ではだめなのだ。隠してもだめ、小さくみせかけてもだめ、迂回してもだめ、やわらげてもだめ、他人のせいにしてもだめである。実効のある修正をおこなわなければならない。兵士をごまかすことはできない。現場で働く人をごまかすことはできない。お店のレジ係をごまかすことはできない。なにかおかしければ、彼らは真っ先に気づく。自分の仕事をきちんとしていない人、言われたことをしていない人がいれば、すぐにわかるのだ。そして、そういう人をみつけてなんとかして欲しいとリーダーに期待する。
・「指揮官は戦場のどこにいるべきか?」
模範解答は次のとおり。
「影響力が大きくなるところで、判断がおこなわれるところの近く」―言い換えると、自分の存在が成否をわける場所である。700人の兵士を従えて丘に攻めのぼる大隊指揮官というのは勇ましく、見る者に元気を与えるかもしれないが、その瞬間、その人物は生きのびようとあがくひとりの歩兵にすぎない。
・新しい隊に赴任すると、私は、「現場の意見を尊重する」と早い段階で宣言していた。まずは現場の言葉を正しいものとして取り扱うのだ。逆だと私を納得させないかぎり、まちがっているのはスタッフだとする。もちろんスタッフにはうれしくないやり方だが、それでいいのだ。現場を優先する私のやり方は理屈にあわないと思う人もいるだろう。だが、これがうまくいくのだ。
・わかっていることを言え。わかっていないことを言え。その上で、どう考えるのかを言え。この3つを常に区別しろ。
・(メディアに対して)彼らは質問を選べる。君は答えを選べる。答えたくない質問には答えなくていい。
・戦場での任務を与えられたとき、指揮官が最初に考えるのが「実行開始まで、どれだけ時間があるのか」だ。その3分の1を分析と意思決定に使う。残る3分の2は、部下が分析や計画策定に使う時間だ。
…最悪なのは、長く待ちすぎること、時間切れになることだ。OBEという陸軍方言がある。「Over taken By Event(事態に置いてけぼりを食らう)」という意味だ。役所においてOBEは重罪である。大失敗なのだ。問題を検討する、必要な人員を配置する、問題について考えるなどに時間を使いすぎると、OBEになる。
・このとき、ある経験豊富な軍曹がそうはならない理由をそっと指摘してくれた。
「少尉殿、兵舎にビールサーバーを置いても不平は収まりません。今度はビールの銘柄に文句を言いはじめるでしょう。酔った状態で文句を言うという違いがあるだけです」
…2003年、我々はイラクに侵攻し、数日でバグダットを落とした。サダム・フセイン政権の陥落だ。この勝利はすばらしい成功であるとともに大きな問題の解決でもあると皆が思っていた…我々が引き起こす変化がイラク国民にどのような影響を与えるのか、また、イラクの社会構造にどのような影響を与えるのかといった問題について答えを得ていないと、経験豊富な軍曹がそっと教えてくれなかったのは痛かった。イラク国内では(派閥という)「銘柄」の議論がいまも続いているし、今後も、長期に渡って続くものと思われる。
兵舎のビールからは、教訓がもうひとつ得られる。軍曹を身近に置いておけ、だ。つまり、体験から現地のことを熟知しており、ご大層な理論に汚染されていない人間を身の回りに置くのだ。
・肖像画をもらうこともある。さまざまな国から全部で何十枚かもらった。気に入ったものは、自宅のエクササイズルームに飾ってある。いずれも私の顔が描いてあるわけだが、その絵を見るだけで、どこからもらったのか、わかってしまうのがおもしろい。書き手の文化が絵ににじむのだ。日本の有名な画家が描いたすばらしい肖像画があるのだが、その私は山本五十六司令長官によく似ている。エジプトのパピルスに描かれた肖像画は、ホスニー・ムバーラク大統領によく似ている。ルーマニアのは、どことなくドラキュラっぽい。全米黒人地位向上協会デトロイト支部の画家は、私の顔がそのままではあまり黒人ぽくないと思ったのか、鼻は広げて唇は厚く描いた。
・最大の成功や失敗がどれほどのものであっても、それこそ、それで人生が変わったというほどのものであっても、自分というものを示す端緒にもならないからだ。人とは、そこまで生きてきた経験と、ほかの人とのかかわりをすべて総合したものである。数学的に表現すれば、人とは、曲線の下側に広がる面にあたるのだ。
・何年か前、とても行儀のよい日本のエリート高校で講演する機会があった。皆、いいところの子どもで、頭がとてもいい。講演が終わると、特に優秀な子どもたちが列を作り、私にいろいろと質問をした。質問はカードにタイプされていた。たぶん、先生が細かくチェックしたものだろう。
いくつか質問を受けたところで、私は、列以外の子どもたちに質問はないかとたずねてみた―後ろのほうに座っている子どもたちを見ながら。皆、自分がよく座っていたあたりだ。
15歳くらいの女の子が手を挙げた。
「怖いと思ったことはありますか?」
質問だけでは止まらなかった。
「私は、毎日、怖いと思っています。失敗するのが怖いんです」
名門高校でこういう質問をするのは、大きな勇気が必要だったことだろう。
私は、毎日、なにか怖いと思っているし、毎日、なにか失敗していると答えた。恐れも失敗もなくならない。人生とはそういうものだと受け入れ、そういう現実とどう付き合っていくかを学ぶ必要がある。怖がるのはいい。だが、前にも進まなければならない。怖いのは一時的なことが多く、しばらくすれば怖くなくなる。失敗したら、その原因を解消し、前に進みつづける。
教室中がしーんとなった。成績優秀な子どもたちは、皆、同じ疑問を抱いていたが、怖くて聞くことができなかったのだ。
・1970年代の初めごろ、ワシントンでおこなわれたちょっとした昇進の式典に参列したことがある。誰が昇進したのかも、式典がどこでおこなわれたのかも思い出せないのだが、原子力海軍の父、ハイマン・G・リッコーバー海軍大将が講話をされたことははっきりと覚えている。リッコーバー大将は、これ以上はないというほど無愛想な厳しいリーダーで、連邦議会に多大な影響力を持っていた。
式典の最後にリッコーバー大将がされた話は、いまも忘れられない。
「物事をなすのは組織ではない。物事をなすのは計画や制度ではない。物事をなせるのは、人だけだ。組織や計画、制度は、人を助けるかじゃまするか、である」
・ロシアの盟友、イーゴリ・イワノフ外務大臣は、ずいぶんと説得したにもかかわらず、最後までインターネットや電子メールを使ってくれなかった。イーゴリは、別に技術恐怖症なわけではない。その証拠に、いまを代表するもう一つの革新的技術、携帯電話は使いこなしている。ワシントンから大陸ふたつ分、時差が9時間もあるおかしな場所から携帯電話経由でとても大事な話をイーゴリとしたこともある。また、電子メールを証拠として召喚されたり発見されたり、ウィキリークスにすっぱ抜かれたりすることもイーゴリにはない。ううむ、もしかすると、イーゴリは私が知らないなにかを知っていたのかもしれない。
・最近の高級ホテルには日本製のなにやら複雑な暖房便座がついているが、あれは怖くて触れない。複雑なコントロールパネルがあって、トイレの基本機能以外にいろいろとできるらしいことはわかるが、怖くてとても試せないし、使う必要もないのではないかと思う。
机と透明マットの間に挟んでいる、コリン・パウエルのルール
①なにごとも思うほどには悪くない。翌朝には状況が改善しているはずだ。
②まず怒れ。その上で怒りを乗り越えろ。
③自分の人格と意見を混同してはならない。さもないと、意見が却下されたとき自分も地に落ちてしまう。
④やればできる。
⑤選択には最新の注意を払え。思わぬ結果になることもあるので注意すべし。
⑥優れた決断を問題で曇らせてはならない。
⑦他人の道を選ぶことはできない。他人に自分の道を選ばせてもならない。
⑧小さなことをチェックすべし。
⑨功績は分けあう。
⑩冷静であれ。親切であれ。
⑪ビジョンを持て。一歩先を要求しろ。
⑫恐怖にかられるな。悲観論に耳を傾けるな。
⑬楽観的でありつづければ力が倍増する。 -
2013/10/13
人から借りて読んだ。
パウエルの名前はしってたが、何やってたとかアメリカのこととか何も知らずに読んだ。
知らないことばかりだったけど、内容は面白く、どのエピソードも分かりやすかった。
仕事をする上での心構えとして参考になるところも多かったが、どちらかというとアメリカや世界のエピソードについてさらに知りたくなるという方が大きかった。 -
コリン・パウエル
アメリカ軍隊のピラミッドの頂点にある統合参謀本部議長に史上最年少で就任した男である。まさに、リーダーの中のリーダーである。
その彼がアメリカ国家安全保障担当大統領補佐官・国務省長官として働いているアメリカ。思わず日本の政治家と比べてしまった。
読み応えのある内容とともに、彼の人柄も伝わりました。ジャマイカからの移民であった彼を育てあげた教育と人々の素晴らしさ。アメリカの懐の深さを感じます。 -
黒人初のアメリカ統合参謀本部議長で国務長官になった人。
軍の指揮官などの経験からリーダーがとるべき行動について具体例をあげて書かれている。
「小さな間違いに見て見ぬふりをしたり見落としたりすると、さらに大きな間違いを容認する環境が生まれ、最後は破滅的な間違いにつながってしまう」ので、若い小隊長は兵の欠礼や服装の乱れを小姑のように指摘するよう求められる。軍隊でなくても同じだと思う。
内容は良かったけれど著者の顔が嫌いな上司に似ていたので★ひとつ減。 -
アメリカ陸軍の話なので100%参考にすることはできないが、ロールモデルのひとつとして読む分には価値十分。
国務長官までいった人だけに話もウイットに富んでいます。 -
軍隊的リーダーシップを日本企業がとりちがえていることがよく分かります。
13ヶ条を頭に入れておきたい。 -
謙虚でありながらも芯があり、力強いリーダーシップで学び多し。感謝。