日本語が世界を平和にするこれだけの理由

著者 :
  • 飛鳥新社
3.93
  • (18)
  • (10)
  • (9)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 179
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864103121

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 著者は日本語教師。
    なんか大袈裟だけどインパクトある
    タイトルで手に取ってしまうよね。
    でも、基本は日本語文法論。

    文法なんて、母語として使っている
    日本人にだって難しい。
    (国語の時間に一応習うけど…)
    ただ、話し言葉としてなら
    日本語は結構ブロークンで通じる。
    そこが日本語が海外で広がるための
    利点になるかも、と。

    生徒さんに「和訳」させるとき
     Did (you) see Mary?
     ( )は訳さないこと
    のようにすると自然な日本語になるって
    教え方がおもしろい!(P97)

    あと『雪国』の冒頭を英訳すると
    視点のカメラが車内にいる人間から
    (trainを主語にした)空から列車を映した
    神目線になるというのもおもしろかった!

  • 日本語の構造、日本語と主語について、英語をうまく話すには…楽しい。

  • 池上嘉彦が「雪国」の冒頭の英訳を英語話者に聞かせ、思いうかぶ情景を絵に描かせた実験が面白かった。… 汽車の中からの情景を描いた人は居らず、全員が上方から見下ろしたアングルでトンネルを描いたとか。

  • 普段話している言葉が、こんなに優しいなんて知らなかった。
    日本語が、私たち日本人を形成する部分に存在していたと、見つけることができた本。
    同じ景色を隣で一緒に見る「共視」の姿勢が根底にある日本語。
    改めて紐解いていくことで
    気が付けば、タイトルへ向かっている。

  • 日本語に関する一冊。著者は、カナダで日本語を長期にわたって教えていた経験から、「日本語は、実は世界に誇るべき素晴らしい言語です。」と言い切っています。
    一番読んでほしい読者は日本の中学校の上級生と文中で書いているように、非常に読みやすく、分かりやすい文体で進められます。しかし、内容的には、大人でも十分面白い。
    タイトルだけだと単なる日本礼讚本のような印象を持ちますが、しかし、他の言語と比較することで、日本語の特徴をとらえ、それがどのように影響するのかを解説しています。
    「言葉とは文化そのもの。」と指摘しているように、日本人の性格や思考が、どのように言葉に現れているか、逆に日本語の特性から、日本人の性格はこうだ、という内容は非常に興味を持ちました。
    中でも、英語と日本語の違いを解説した上で、日本人がなぜ英語が苦手なのか、その理由への展開は、これまで特に気にしたことのない視点であり、少し前の出版の著書ですが、非常に興味深い内容でした。


    ▼日本人が英語が苦手な理由
    ①日本語と英語が様々な点で正反対であること
    ②母語である日本語を日本人自身がよくわかっていないこと
    ▼日本語と英語の違いを知るメリット
    ①普段あまり気づかれていない日本語の秘密を知ること
    ②英語の習得におおいにプラスになる

    <目次>
    第1章 日常表現に秘められた理由
    第2章 人名・地名に秘められた理由
    第3章 声と視線に秘められた理由
    第4章 愛の告白に秘められた理由
    第5章 道の聞き方に秘められた理由
    第6章 日本語の10大特徴
    第7章 英語をマスターするための5つのアドバイス
    第8章 だから、日本語が世界を平和にする!

  • ●偶然見た日曜朝6:25からの情報番組に「いわた書店」の岩田社長が出演されていて、その中で紹介されていた本。松本キャスターに「1万円選書」と同じように本を選んであげたのがこの本。タイトルにも興味を持ったので、すぐに買い求めた。

    ●岩田社長推薦の本だけあり、十分読むのに値する内容であった。日本語がさらに好きになる!

  • 分かりやすい日本語論!!
    ★10個ですね。

    著者はカナダでの日本語教育の経験を基に日本語の特性を解析。
    英語はクリスマスツリー型、日本語は盆栽型。
    英語は二元論、日本語は自他を融合。
    英語は語順を重視、日本語は助詞を重視。
    競争と共同、直視と共視、抗争と共存。
    色々と目からウロコの日本語論、ひいては日本人論が面白い。

    ちなみに、著者は言及していないが、言文不一致、言文一致の特徴も重要だ。前者は多くのディスレクシアを産み、後者は明治時代の先人達の努力の賜物である。

    本書でも言及されていたが、広島の平和公園の碑に関しては、過去から様々な議論があった。
    「過ちは繰返しませぬから」
    この主語は誰なのか。

    狭義には、戦時国際法を無視して無差別殺人を犯したアメリカに、広義には、時代遅れの帝国主義に邁進し、自衛の意味合いが強いとはいえ、戦争を開始した日本に責任がある。
    ただし、どの国が悪いというよりも、戦争という行為そのものが悪であり、後世に生きる我々は戦争を憎み、排除する責任がある。この碑の主語は、自他を融合した人類全体を表しているのである。

    このような平和な言語を操るからこそ、平和な性格になるのか、それとも平和な性格(YAP遺伝子)であるからこそ、平和な言語を作り出したのか、遺伝学的日本人論としても興味深い。

  • ササっと読み飛ばすつもりが、いつの間にか夢中で熟読してしまった。カナダに留学しそのまま日本語教師をしておられる著者ならではの視点論点に頷きっぱなし。ひたすら感心し感動すら覚えた。良書。素晴らしい。

  • 日本語を教える楽しさを思い出しました。
    小学生に「I love you」ってどういうの?って聞かれたときに、「大好きだよ!」って言えばいいよって言ったのを思い出した。
    今、ふと、これまで日本語文法ではなく、日本語文法でずっと考えてきたんだな~と改めて時間しました。
    三上章の「象は鼻が長い」をもう一回読もうかなと思った。

  • 中学生向けに作られた本のようですが、内容としては大学生とかに当てた方が効果的だったと思います。
    日本語が「共感」をベースに作られているという考えは大変面白かったです
    さらっと読めるので、よかったらどうぞ

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1951年北海道生まれ。東京大学教養学部卒業。ラヴァル大学で修士号(言語学)、モントリオール大学で博士号(言語学)取得。専門は類型論、日本語教育。
カナダ放送協会国際局勤務、モントリオール大学東アジア研究所日本語科科長を歴任。
著書に『日本語に主語はいらない』『日本語文法の謎を解く』『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』などがある

「2019年 『日本語と西欧語 主語の由来を探る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

金谷武洋の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×