- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784864881227
感想・レビュー・書評
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俳人・正岡子規の最後の一年の日記と句、画。
俳句は、なんとなく自分の守備範囲外のような気がしていたが、夏井いつき氏の「子規365日」を読んで興味を持ち、何といっても、子規の描いた絵を見てみたくて手に取りました。
カタカナの部分を平仮名に、旧仮名遣いを現代仮名遣いに改めるなど、私のような文芸素人にも読みやすい本になっている。
俳句の良し悪しはよく分からないけれど、情景や感じたことなどを素直に読んだものが多い気がする。
子規は、直球な人のようだ。
病気あっての子規の文学だが、ジメジメした感傷はなく男らしい。
ただ、やはり病は苦しく、そんな時はストレートに、激しく苦しむ。
気持ちの苦しさも。
献身的に看病してくれる妹に対して辛辣な文句を並べるのは、実はほんの少しの甘える気持ち。
家族に対してのみ見せられる甘えなのだ。
心の底では、自分の看病のせいで一時も家を空けられない母や妹に申し訳なく思っている。
けど、直接言わないのは明治の男だからか。
「余命○○」と区切ってくれたら思いきり我儘できるのに、とこぼすのは子規なりに気を使っているのだ。
毎日の食べ物の記録、菓子パン10個など、呆れるほど食べる。
ココア入りの牛乳、刺身、果物…
しかし、母と妹は台所で香のものだけがおかずという質素なものを食べていたらしい。
毎日を看病に明け暮れ、子規を看取った妹の律さんに興味があった。
それで、『附・早坂暁「子規とその妹、正岡律」』という部分に期待していたのだが…
自分のことと中江兆民に付いて書きすぎている感あり。
だったらいらなかったかも。詳細をみるコメント0件をすべて表示