- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784864913256
感想・レビュー・書評
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<感想>
心理カウンセラーの著者が多くの経験から導き出した解釈をまとめた本。「承認欲求とは何か」については新しい視点を持てたが、「どうすれば解消できるか」については一般論にとどまっている印象だ。
承認欲求は貯められないから、ささやかでもいいので定期的に充たす必要がある。
<アンダーライン>
・承認欲求はお金より食欲に似ています。充たされていない時には本当に苦しいけれど、充たされてしまえば気にならなくなる。
★承認欲求もそれと同じで、いっぺんに沢山充たしても定期的に充たされなければ、じきに飢えてしまうのです。
★承認欲求は貯められません。
・充足感を得るためのハードルもあがりやすい
・承認欲求が強すぎて、自分が願ったとおりに褒められたり評価されたりしないと満足できず、苛立ちやすいタイプです。心理学風に言い直すなら「褒められることへの要求水準が高すぎる人」となるでしょうか。
★承認欲求が承認義務になってしまっている人
★★「評価されない自分が許せない」といった減点法で感じてしまう人は、褒められても満足しにくく、かといって褒められなければストレスを感じてしまいます。そのため、このタイプの人はしじゅう疲れやすく、苦労に見合った満足が実感できません。また、そういった不安やストレスは意外なほど他人に伝わってしまい、これがまた周囲を気疲れさせてしまうのです。
★長所には消費期限がある
・コミュニケーションの加点・減点の対象になる要素は、年を追うごとに変わっていきます。
★「褒めてもらいたがっているのは自分だけではない」「誰かに褒めてもらったら、できれば同じぐらい相手のことも褒めたほうが良い」という点です。
★(承認欲求のベテラン達は)自分だけが承認欲求を「独占」するような状況は決してつくりません。
・「褒められ収支」
・認め合いのエコサイクル
★考えもてもみて下さい、一人でトイレに行くだけで親に褒めてもらえるのは、何歳まででしょうか?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
承認欲求がかつてないほど渦巻く現代社会。たくさんの承認を集められる人はごくわずか。では一体、どうすれば認めてもらえるのか? 「認められたい」を考え抜いてきた精神科医による、幸福に生きるための処方箋。
難しい問題だ。 -
卒論の時に読みたかった!出版されてたら確実に読んでたし参考文献にしたのに。しかしなぜこの手の研究をする人は必ずエヴァを引き合いに出すのか。それだけ影響があった作品ということか。
これを読んで「もっと手っ取り早い方法を」ってなる人は多分本より病院で相談した方がいい精神状況なのかもしれない。飢えと焦りで潰れる前に。 -
本書は、自分の内にある「認められたい」気持ち、すなわち承認欲求や所属欲求と上手に付き合い、自分自身の心理的な成長や能力のレベルアップを果たすにはどうしたら良いか、という問いのもと書かれた。
人間は、「認められたい」という気持ちから、驚くほどの力を発揮することができる。それは上手に活用すれば、能力のレベルアップに役立つが、現実には「認められたい」気持ちにただ振り回され、然るべき場面で努力が出来なかったり、人間関係に問題を抱えて生きている人が多い、というのが精神科医である著者の実感である。
「認められたい」という気持ちには主に、承認欲求と所属欲求が存在する。前者は自分自身に重点が置かれるもので、後者は(自分がその一員として認められたいと思っている)集団に重点が置かれるものだ。
承認欲求という言葉は昨今よく耳にするようになったが、所属欲求はあまり聞かないと思う。所属欲求とは、自分が好意や敬意を抱いている仲間や集団に対して、仲間として認められたい・無視されたくない、等の気持ちが湧く欲求のことを指す。自分自身が褒められたり認められたりしなくても、仲間が望ましい状態にあれば、それだけで自分の心も満たされるという特徴がある。
現代の特徴として、所属欲求より承認欲求に重きが置かれるという点がある。これは、かつてよりも個人が自由に生きることが出来るようになり、会社や地域、家族といった集団単位よりも、個々人に注目が集まるようになったためである。集団として何かを成し遂げるよりも、個人として何かを成し遂げ、評価されたり褒められたりしたい。社会環境の変化により、個人の欲求もそのような方向にシフトしたのではないか、と著者は述べる。
著者は、「認められたい」気持ちを満たすためには、承認欲求だけでなく、この所属欲求をも上手に満たすことが鍵だと述べている。
承認欲求ベースで考えると、個人は自分自身が褒められること、評価されることにしか目がいかないということになる。しかし、所属欲求には「自分自身が評価されなくても、好意や敬意を寄せている仲間が望ましい状態にあれば、心が満たされる」という特徴があるため、この欲求も満たそうとすることにより、集団の中でお互いを信頼したり、敬意を払ったりしながら、生きていくことが出来るようになる。
ただ、承認欲求や所属欲求にも「レベル」がある。自分の承認欲求しか意識できていなかったり、承認欲求が強すぎたり、相手への欲求水準が高すぎたり、といった「レベルが低い人」はなかなか「認められたい」を満たすことができない。「認められたい」の欲求水準が穏当な状態にレベルアップしていく可能性に注目した人物として、自己心理学というジャンルを作り出したハインツ・コフートを挙げ、彼の研究を参考に本書ではレベルアップ方法を掲載している。
本書ではそうしたレベルアップ方法を実践するため、コミュニケーション能力を高める方法、人間関係における距離感についても精神科医の著者がこれまでの臨床経験や研究をもとに書いている。
本書で著者が述べる実感は、自分とも似ているものがあり、共感できるところが多かった。個々人が自由に生きることができ、個々人それぞれの持つ能力に光が当てられる時代において、こうした心の問題は今まで見えにくかったように思うが、実際に自分の周りを見渡したときに、本書にあるような苦しみ方をしている人は少なくない。
「認められたい」気持ちによるレベルアップを諦めず、かつその気持ちに振り回されて疲弊することが無いよう、自分の心を少しずつ成長させていきたいと思う。