好日絵巻 季節のめぐり、茶室のいろどり

著者 :
  • PARCO出版
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本棚登録 : 439
感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865063370

作品紹介・あらすじ

映画化された『日日是好日』、その続編『好日日記』に続く第3弾。

茶室の中の、季節の花、道具、お菓子……。
著者自身が描いた73のイラストと、心に沁みる珠玉の言葉。

感想・レビュー・書評

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  • この本はある場所でたまたま目にした

    以前読んだ「日日是好日」
    奥深い何かを見てしまった静かな衝撃が甦りぜひ読んでみたい!
    そんな気持ちが大人げないほど前面に出たおかげで、運良く読めた

    改めて、あの感動を思い出した
    ふとした風向き、雨の音、日差しの変化、空気の香り、傍に咲く野花、虫の音…目や耳や肌で感じる…ほんの少しの季節の変化

    森下さん曰く、季節が二周目に入ってからも驚き続けたというお茶の世界
    そんな美術作品のような道具たちやお菓子や茶花たちのイラストがたくさん登場する
    上品ながら遊び心があり、季節を感じさせる美しいイラストとエッセイだ

    想像していた世界が視覚化された(「日日是好日」Welcom Back!)
    柔らかいほっこりする絵だ

    大人になると良いこと結構がある
    それは子供の頃に良さが分からなかったモノ達の素晴らしさを知る(感じる)ことである
    それはそれはたくさんあるのだが、そのうちの一つが和菓子、もっと突き詰めると干菓子だ
    子供の頃、美しくそして繊細な干菓子をいただいたことが何度かある
    子供心にも見た目に充分ときめくのだが、口に入れた瞬間…
    和三盆が口の中でサッと消えるかの如く、ときめきも消える…
    あれぇ?なんでこんなに見た目と味が違うんだろ
    何度もがっかりしたものだ(しょせん子供なので許してやってください)
    時を経ていつの間にか和三盆の口当たりの上品できめ細やかな触感に、心から感動していただくことができる
    しかし要注意!
    必ず表示名称を確認しなくては!
    干菓子なら和三盆以外に何か混ざりものがあるか否か…
    他食事も神経質にならない程度に添加物や合成化学物質を極力避ける
    余分なものを取り入れない
    不必要なものを削ぎ落す
    徐々に神経が研ぎ澄まされ、自分に本当に必要なものがわかってくるのだ
    これは食事だけではなく、すべての五感やその人の人生にとても重要なことではないだろうか
    引き算の人生が身につくと小さく目立たない大切なことに気づくことができる
    お茶の世界もそういうものなのではないだろうか

    年中大好きなさくらんぼや葡萄が食べられたらいいのに!
    この、もうちょっと続けばなぁ…
    という絶妙の加減
    欲を追求し過ぎない
    こういう儚さに美があり、私たち日本人の品があるのではないだろうか
    (食べ物のことばかりで自分の品性も大したことないのだが…)
    日本に生まれて季節があることに改めて感謝
    この感性を身につけられたのは日本に生まれたおかげではないだろうか
    そんなことを改めて考えさせていただける著であった

    …というわけで冒頭に戻るが、この本を目にしたのは実は上司のデスク!
    いいな!いいな!を連発してしまったら、購入したての本を「(お先に)どうぞ」と…
    男性がこういう本を読むことがとても嬉しいではないですか!

  • 「日日是好日」「好日日記」と読み進め、第3弾が「好日絵巻」…本作では、茶室で活けられる季節のお花、茶具、お茶ともに提供するお菓子など、森下典子先生が描かれた挿画とともにそのエピソードが収録されています。

    ・人は季節と共にある。人は季節の一部なのだ。

    この言葉に全てが込められていると感じました。この作品自体は、挿画の占める割合が多いこともあってさらさらとめくって目で楽しむ感じですね。普段からお茶に縁があるわけではなく習ったこともないのだけれど、もし今後お茶を頂く機会が持てたら、茶室のお花や茶具、お菓子を見て楽しめるかなって思いました。あと、季節の移ろいを感じることができる日本っていいなぁ… これからも季節を愛でる気持ちを持ち続けられる人でありたいなぁ…そんな風に思いました。

  • お茶を通して季節のめぐりを描いた随筆画集。
    著者のほっこり優しい絵が前作よりたっぷり味わえた。
    お茶のお道具、茶花、和菓子、どれも季節を表す美しさにため息がでる。お茶の世界の奥深さ、もっと知りたくなる。

  • 『日日是好日』『好日日記』に続く森下典子さんの茶の湯に関するエッセイ第3弾。お茶のイベントに参加することになり、自分の中で気持ちを盛り上げるために手に取った。

    『日日是好日』は、森下さんがお茶を習うことにより人生が豊かになっていく様子を描いたエッセイ、『好日日記』は、季節ごとのお茶のエピソードをまとめたものだったが、『好日絵巻』は、季節ごとの茶道具や菓子を森下さんがイラストに描き、短いエッセイを添えたもの。「絵巻」という言葉通り、メインはイラストである。

    ここ最近忙しい日々が続いていたが、温かみのある柔らかな筆致のイラストを見ていると、日常の慌ただしさを忘れ、ゆったりとした気持ちになる。季節を感じるって大事なことなんだなあ、と思う。
    ちなみに、参加したお茶のイベントでは、季節のお干菓子として「薄氷」というお菓子が出された。「薄氷」は、本来は四角形の氷が割れたような形をしているようだが、今回出されたのは桜の花びらをかたどったもの。少し早い花見をしたような華やいだ気分になった。

    お茶を習いに行く暇がなくても、家の中で少しだけ季節感を取り入れたり、ゆっくりとお茶をたててみたり、そんなことからぽつぽつ始めていこう、そう思わせてくれる素敵な本。

  • 「好日日記」とともに、一年かけて季節に合わせて眺めた本書。
    「日日是好日」でも、「好日日記」でもどうしても茶道で使われる道具や、森下さんが好んで描かれる花や草木がわからず、本書を手に取ってみて、結果、とてもよかった。この文章で出てくるのはこの茶器のことね、この花はこういう名前だったのね、と理解が深まる。
    森下さん、絵も素敵に描かれるんですね。絵については壊滅的な私にとっては、自分の好きなものを自分の絵で残せるってとても羨ましい。

    ぜひ、「日日是好日」や「好日日記」と合わせて眺めてもらいたい本です。

  • 【書評】『好日絵巻 季節のめぐり、茶室のいろどり』森下典子・著 - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
    http://www.sankeibiz.jp/econome/news/200918/ecc2009180500002-n1.htm

    好日絵巻 季節のめぐり、茶室のいろどり|書籍|PARCO出版
    https://publishing.parco.jp/books/detail/?id=325

  • 私は、この雰囲気がとても好き。
    穏やかで、時間が、本当に時間として流れていく感覚。
    いつも、この感覚にあこがれている。
    自分にはなかなか流れない、流せない感覚ではあるが、少しでもこの時間の流れの感覚の中で過ごしていきたい。

  • 季節を想像して、ゆっくりページを味わいたい本。
    イラスト以上に、言葉がよりイメージを鮮やかにしてくれる。
    私は朝の日差しの中で読んで、ゆるりほっこり、落ち着けて、
    今日もがんばろ!と思えました。
    大変結構なお点前をいただきました。

    今まで、和菓子屋さんのショーケースって通り過ぎてたけど、
    これからはじっくり眺めてしまいそう(買わんのかい)

  • 森下さんの茶道具、和菓子、茶花等の絵に
    お茶道を通して育まれた愛を感じる
    四季の移ろいに、なぜこんなにも
    豊かな気持ちになるのか
    不思議なものです。

  • 読むだけだと、さらっと終わる小さな本です。お茶が、動と静の間や余韻を嗜み、味わうもののように、この本に多くの文章はありません。森下さんが師事しておられる武田先生のお茶道具や、お稽古で供されたお菓子などを、森下さんが絵に描かれ、それに文章が添えてあります。本当に趣味の深い方は、絵もお上手だという思いがあるのですが、この本を読んで、その思いを新たにしました。肩の力の抜けた、優しい絵。でも崩れすぎていなくて、きちんと筋目が通っていて。森下さんのお人柄が偲ばれます。梅の香りがほのかに香るのを感じるお話も、梅雨の大粒の雨も、この方のお手になると、香りや風合い、音…五感が思い出してくるのです。見事だなっていつも思います。お菓子のことも、常盤饅頭なんて、どのくらい頂いてないかしら。流水の透明な夏菓子も、宝石みたいな干菓子も、季節の折々に、お出ししたい相手を思って整えるもの。それが母親だったり自分だったり、気楽になるので。私では物語にはなりにくいのですが…ふふふ。それにしても、すうっと読んでかえすというより、手元において、時々開けては一服。というのが似合う一冊だと思います。

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著者プロフィール

森下典子(もりした のりこ)
1956年生まれのエッセイスト。『週刊朝日』のコラム執筆を経て、1987年その体験を記した『典奴(のりやっこ)どすえ』を出版。代表作『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』は、大森立嗣監督・脚本、黒木華主演により2018年10月13日映画化され、樹木希林の遺作ともなり、大きな話題となった。他に、『いとしいたべもの (文春文庫)』『猫といっしょにいるだけで』などの作品がある。

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