HATE! 真実の敵は憎悪である。

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  • 左右社
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865282054

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  • ナチスのデザインを分析した「RED」に続き、黒人、黄色人、ユダヤ人への差別を助長するプロパガンダに関連するチラシなどのデザインを分析した1冊。図像が多く、それらを見ているだけでも考えさせられる。結局の所、「差別対象をいかに醜く描くか」が目的であり、それが掲載されている図像のある種の単調さにつながっているのだろう。

  • 『独裁者のデザイン』が良かったので購入(“RED”と同時に)。
    代表的な差別表現をデザイン的な視点から解説しているが、面白いことに、対象者が何者であれ、差別的な表現というのは非常によく似ている。妙なところで想像力の限界が見えるものだ。

  • 相手を貶めて印象付ける「ヘイト・ポスター」やカリカチュア。その醜さを通じて人種差別と憎悪の歴史をあぶりだす。
    断片的に知っていることであっても、これだけの素材が集められていて、かつ手に取りやすく通読できる本は大変貴重。
    図版に頼り過ぎず内容もしっかりしていて、淡々とだが無味ではなく書かれている。ブックデザインも絶妙によく考えられていると思う。

    [more]<blockquote>P023 いとも簡単に人は人を殺し殺され自分も殺す。復讐心がなくても人を殺せる。人間を「害虫」などの「殺しても心が傷まない存在」に例えそれにリアリティを与えれば、いとも簡単に殺せる。

    P026 本質は何も変わらない。見下せる人間がいることによって活力を得る人間がいる、ということ。

    P064 大事なことだが自分はかかわりたくない、口先だけのリベラル=NIMBY(自分ちの裏庭は勘弁してくれ)

    P075 マジカル・二グロ=驚異的な能力を発揮するとともに自己犠牲芯が強くひたすら白人に尽くす。そしてたいてい死ぬ。(exグリーンマイル)

    P203 イエローキッド、ダーキー・・「バカにしてかわいがる」両義性がアメリカ文化の中にありそうだ。

    P285 ヘイト・ポスターにおけるこうした表現(身も蓋もない直球表現のもの)は。ナチスに限ったことではない。どこの国も事ヘイト・ポスターに関しては同じ土俵で戦ってしまうのが常。これがヘイト・ポスターのDNAと言える。言ってみれば、デザイン性のないdesign、いや、デザインを必要としないデザインと言える。しかしこの相手の人間性を挫くための醜い表現は、自分の醜さの裏返しでもある。そこに気づかないのが、ヘイト・クライムを繰り返す人々の特性である。

    P336 「天罰が下った」「因果応報」「正義は勝つ」・・・こうした疑似合理的な理由が差別の温床となる。
    </blockquote>

  • 法経開架 KW/2018//K

  • 東2法経図・6F開架 KW/2018//K

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著者プロフィール

松田行正
本のデザインを中心としたグラフィック・デザイナー。自称デザインの歴史探偵。「オブジェとしての本」を掲げるミニ出版社、牛若丸主宰。『眼の冒険』(紀伊國屋書店)で第37 回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。著書に、『デザインってなんだろ?』(紀伊國屋書店)、『デザインの作法』(平凡社)、『にほん的』(河出書房新社)、『独裁者のデザイン』(河出文庫)、『眼の冒険』『線の冒険』(ちくま文庫)、『RED』『HATE !』『急がば廻れ』『デザイン偉人伝』『アート& デザイン表現史』『戦争とデザイン』『宗教とデザイン』(左右社)などがある。

「2023年 『グラフィック・ビートルズ(3,600円+税、牛若丸・Book&Design)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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