- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784865282924
作品紹介・あらすじ
グラフィック・デザインの道を切り拓いた16人の偉人たち!
「デザイン」という言葉が生まれる以前からデザインの偉業は成されていた!トリミングの達人・俵屋宗達、オールオーバーの先駆者・モネなど、偉人たちの手法や着想のヒントを時代背景とともに解き明かす。目からウロコのデザイン史!
本の基本構造をつくったアルド・マヌーツィオ 1450?〜1515
「アルド・マヌーツィオは、イタリア、ヴェネツィアの出版社兼印刷所アルドゥス工房の主宰者。一五、一六世紀の印刷の隆盛は、それまで修道院の聖職者が独占していた本を一般民衆に広げたところにあった。アルドはこの先頭に立っていた。アルドは、現代の本の世界では当たり前となっていることを、書籍の基本的構造としてはじめて世に示し、一般化させたのだった。それは、聖職者や王侯貴族のものだった本を一般市民に開放したことともいえる。つまり、気晴らしとしての読書の楽しみを知らしめたのだった」
洗練されたグラフデザインで多くの人びとの命を救ったフローレンス・ナイチンゲール 1820-1910
「フローレンス・ナイチンゲールは『近代看護教育の母』と呼ばれている。ただし、ナイチンゲールの功績はそれだけではない。ナイチンゲールは統計学者としても知られていた。後述するクリミア戦争に看護婦として従軍したときの詳細な看護記録をもとにつくった報告書で、ひと目でわかる円グラフなどを使い、病院改革につながる説得力のある論を展開したのだった。いわばデザインの力で関係者の重い腰を上げさせたのだ」
デザイナーにもっとも必要とされる「選ぶこと」を芸術の域にまで高めたマルセル・デュシャン 1887-1968
「建築、プロダクト、グラフィック、あらゆるジャンルのデザイナーにいえることかもしれないが、その仕事の大半は「選ぶこと」に費やされる。「選ぶこと」は雑然とした状況に秩序を与えることだから、デザイナーは、アート・ディレクター、クリエイティヴ・ディレクターなどとも呼ばれる。この「選ぶ」をアート行為のひとつに加え、「選ぶこと」を至高の位置に押し上げたのがマルセル・デュシャンだった」
ほか、16人の偉人たちが登場!
感想・レビュー・書評
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/747145 -
グラフィックデザインの元となるような、デザイン要素などを巨匠の作品をもとに抽出した本。この本の中の先人のお陰で今のデザインがあると思うと胸が熱くなります。。。
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今では当たり前のものになっているデザインが普及するきっかけとなった人物にスポットを当て、グラフィックを中心に〈デザイン〉という概念ができあがってくる歴史の背景を追う。
最初に登場するのは15世紀イタリアの出版社オーナー、アルド・マヌーツィオ。ピコ・デラ・ミランドラの家庭教師だった彼は、既存の出版物に飽き足らず自ら印刷所を設立。現在の文庫本に通じるような持ち運びサイズの本を普及させ、ページ毎にふるノンブルをデフォルト化した。また、ドイツのブラックレター体よりも読みやすいローマン体を開発。斜体のイタリック体も彼の印刷所が生み出した。ブックデザイナー松田行正が書く偉人伝の最初の一人にふさわしい人選と言える。
20世紀の偉人たちのなかでとりわけ面白いのはやっぱりデュシャン。パリのキュビストグループから締め出され、失意のままNYへ向かったデュシャンは、そこでパリにはありふれているがNYにはないもの、逆にNYでは当たり前だがヨーロッパでは珍しいものや概念を発見し、面白がった。これが〈レディメイド〉の誕生に繋がる視点となった。デュシャンはアウトサイダーの目を持ち、それが彼独自のセンスとして花開いたのだ。現代から見て憧れの人物に見えるのも、コミュニティに対する帰属意識の薄さがコスモポリタンの理想形のように思えるからだろう。
内容は面白く、ブックデザイナーとしての矜持溢れる文章も素敵なのだが、相変わらずこの人の本は孫引きが多すぎて気になってしまう。出典はちゃんと書かれていて孫引きだとわかるだけマシなのかもしれないが。 -
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