困難な結婚

著者 :
  • アルテスパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865591392

作品紹介・あらすじ

今より幸せになるために結婚してはいけません──
悩めるあなたへ贈る、「真に役立つ」結婚論。

「結婚前の人は、したくなる。結婚している人は、気楽になる。
そのためにこの本を書きました」──内田樹

どうしたら良い相手が見つかりますか?
お金がなくても結婚できますか?
本当にこの人と結婚して大丈夫でしょうか?
そもそもなんのために結婚するんですか?
結婚式はやったほうがいいですか?
家事はどう分担したらいいですか?
もしも相手に浮気されたら?
──すべてウチダがお答えしましょう!

感想・レビュー・書評

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  • 期待した内容ではなかったので飛ばし読みしてしまった。結婚歴が長い私目には結婚指南は無用ですので、もっと根元的な結婚論を期待しておりましたので(笑)
    にしても今から踏み出そうとしている方々にも物足りないのでは?
    昭和男子目線の古い結婚観が満載のタィプの本でしたね。

  • 結婚は困難だ。
    特に今の時代、することも難しければ、婚姻関係を維持することも難しい。
    タイトル通りの主張を、著者は変えません。
    そんなネガティブイメージ満載で書かれた結婚論ですが、不思議なことに
    この本を読むと、結婚も悪くないかも?
    既婚者目線では、もう少し頑張ろうか?
    等、新たな視点が得られます。
    ためになりました。

  • 一時期ほど熱心に読むことはなくなっていたけれど、それでも読めば必ずなるほどねと思うことが多かった内田先生の本だが、今回ばかりはちょっと…。確かにそうだなと思うところもあるにしろ、全体として隔靴掻痒感というか、問題はそういうことじゃあないのでは?というもどかしい感じがずっとあって、納得できなかった。

    結婚に対して前向きになれない人に対する「結婚のすすめ」といった内容で、Q&A形式になっているが、これほとんど男性の質問でしょ。まあ、そういうものだと思って読めばいいのだろうけど、これ読んで「悩んでいたけどやっぱり結婚しようかな」と思う女性ってあんまりいないように思う。結婚は「幸せになるためにするのではなく、不幸にならないようにするもの」で、つまりセーフティネットだということなんだけど、それなら別に結婚でなくてもいいわけで。

    当たり前すぎて言うのも気が引けるが、若い女性が結婚について不安に思うこととして、家事の負担が大きくなるだろうということと、夫の親族とつきあわねばならないことの二つが大きいと思う。これって本当に切実で、自分の周囲を見渡しても、まったく問題じゃないわという人はほとんどいないし、離婚の原因は結局の所このどっちか(または両方)と言ってもいいくらいだ。この本ではこの二つとも至極あっさり流されていて、え?それだけですか?とガックリくる。

    結婚がらみで最近「うーん」と考えてしまったことが二つ。一つは、二十代後半のわが娘について、八十歳になる実家の母が、「結婚なんかして人の世話に追われることないわ」と言ったこと。母は田舎の保守的なばあちゃんなんだが、「あ、でも子どもはあった方がいいかもね。できたら若いうちに生んだら」とも言っていた。世の流れはここまで来たかと感慨深かった。

    もう一つは、その娘が言っていたことで、高校時代からの友人たちと最近「一体いつ子どもを産むのがいいのか」という話になったときの結論。彼女らは皆理系の専門職に就いていて、近々結婚する子もいれば、そういう気配もない子(ウチの娘ですが)もいる。ああだこうだと考えて結局、「わりにヒマな大学一回生の時に産むしかない」となったそうな。「もう手遅れだけどさ」と笑ったらしいが、いやあ、これって笑えないよねえ。そんなことを思わせる社会のありようはやっぱりおかしいよ。

  • ブクログさんから献本でいただきました。
    本をもらうという夢が叶って大変うれしいです。
    ありがとうございます!

    著者が結婚や夫婦の問題について、質問形式に回答してゆきます。
    インタビューが元になっているので、読みやすいです。

    日本人はシャイで、結婚した人に結婚の良いところを聞いても
    なかなか答えてくれないので、既婚の男性のとても貴重な意見を聞けたと思います。

    結婚がリスクヘッジという考え方は、
    私も前から持っていたので、共感できるところが多くて
    読んでいて楽しかったです。

    しかーし、
    分かっていても実際に納得して実現するのは
    私のような若輩者には、
    ちょっと難しいなぁと思うところもあり・・・
    これからいい意味でも悪い意味でも人生経験をつんだら
    著者のように考えられるようになれるのかなぁと、
    いい意味でも悪い意味でも期待しております。

    著者の作品は初めて読ませていただいたのですが、
    結婚なんてセーフティーネットなんだし、
    やってみなきゃわからないんだから、
    やってみたらいいんじゃなーい?
    という明るいノリが回答の随所に見えて
    帯にあったように
    結婚というものに対してちょっと気楽になった気がしました。

  • 結婚のハードルがどんどん上がっていっている世の中で、あんまり難しく考えなくていいよ、という考え方をもたらしてくれる本。
    既婚者が読んでも楽しめるけど、プロの独身みたいな方々こそ読めばいいと思います。

    前半で結婚の意義を多角的に説いていて、後半は円満な結婚生活マニュアルになっていますが、Q&Aになっているのでどんな順番で読んでもきっと大丈夫。 (もちろんわたしは「片づけられない人と片づけられる人」のページから読んだ)
    結婚だけじゃなくて雇用制度や政治、哲学(そしてお約束のように村上春樹)(この人ほんと村上春樹大好きだな)にも話が広がるのがおもしろいけど、この本で基本原則になっているのが、結婚は恋愛の延長ではなくて「一種の社会契約」、そして「安全保障」だということ。
    けど今は男性であれ女性であれ、就労は義務で結婚は贅沢、みたいな風潮があるので、 その考え方を変えていかないといけないんだけど、述べられてる通り、社会から変えていかないといけない(けど難しいな)って思いました。
    困難、だな。

  • 最初は面白い本だなと思っていましたが、読んでいる途中でむかむかしてきました。
    なんだか全体的に「男ばっかりで結婚を語る」みたいになっている。雰囲気が良くなかったです。
    読んでみた印象として、著者は男性で、しかも苦労をあまりしていないように感じました。
    日本社会は「体の丈夫なおじさん」のために存在しているのであり、そういうおじさんに結婚を語らせるとこうなるのだな、という感じ。

    ときどき、論点が居酒屋で愚痴を言っているおじさんのようにズレてしまっていて、特に「姓を変えるのが女性であるということに悩んでいる。不公平じゃないか」という問いに対して、「帯刀をしている時代は~」とか「僧の呼び名の由来は~」とか言ったって、そういうことじゃないのになぁ、と思いました。
    この方は恐らく、女性のみが姓を変更しなければならない煩雑さについてイマイチ分かっておられないのでしょうね。
    「籍を入れる入れない」で言うなら入れるに賛成ですし、夫婦別姓は推進していませんが、女性がしなければならない手続きはどんなものかとか、核家族化でただでさえ人間関係の希薄な現代において、慣れ親しんだ家族と同じ姓を捨てるという気持ちに女性が至るということに想像が届かないんだな、と。
    「姓にどうするべきという定説なんてないし、そんなものはいいじゃないか」と言ってみるのは簡単ですが、論点はそこじゃないでしょ? と突っ込みを入れたくなりました。

    また、p,134からの家庭のボスの話では、自分が世話になって養ってもらっていた元妻に対して、自分が彼女より稼ぐようになってからは、彼女の指示にカチンと来て従えなくなった、とありました。
    それはこの方が「稼ぐお金=権力、パワーバランスの主軸」と思っていることに直結しているんですよね。
    あくまでも沢山お金を稼げる人が偉くて、そうじゃない人は蔑んでいいんだ、それが当然だ、と言わんばかり。
    いくら恩があっても、奥さんが稼げなくなったら稼げるほう(自分)に意見を言わないことが普通、と思っているんですね。仮にも自分はかつて、彼女に養われていたにも関わらず。
    結婚生活は一人で暮らして絶滅しないためのリスクヘッジだ、と言い切るだけのことはあります。

    夫婦の家事分担の話になると、今度は「きっちり線引きしすぎるとグレーゾーンのものは誰もしなくなって家が殺伐とするからどちらかが気づいたらする、でいいのだ」と言っていますが、そんなの普通では……?

    離婚された奥さんとの間では家事分担で議論をして、それがもとで疲れた、離婚して二人の娘と暮らし始めたら、全部自分がやるから揉めなくなって気鬱なネゴシエーションをしなくて良くなった、らしいですが、それって奥様から言われたことひとつひとつに「俺に命令するんじゃない!」ってイライラしてたってことなんでしょうか。
    極めつけは「今の奥さんは年がずっと下ですし、人の上に立ってあれこれ言うタイプじゃないので、家庭内権力闘争というのはないですね」と。結局上に立って、自分が命令したいだけと捉えられても仕方がないように思いました。

    「本当にやりたいと思えば留学も旅行もどうにでもなる」という考えも、パートナーの協力があってこそ、と考えるのではなく、あくまでも「自分の気の持ちよう」「本当にやりたいことは抑えられない」といった論調なのが、とても(悪い意味で)男らしい。

    「自分の機嫌は自分で取れ」といいながら、女性には「風邪の予兆を察知して事前にアイスクリームを買っておいたら良い」と言うその考え。果たしてご自分は出来るのでしょうか? と問いたいですし、大切なのはそこではないですよね? 他人や奥さんを機械か何かだと思っているのでしょうか。

    しかし、男性なので仕方がないですね。だって(著者曰く)「性化された状態で生まれてきた」結果でしょうから。本人にはどうにもならないんでしょう。

    アナーキズムの話や哲学の話、勉強や教養といったことに対してはかなりのレベルのものを持ちながら、最終的には恋愛、結婚の話となると一気に「居酒屋のおじさん」と化してしまう。

    恋愛とか人の情動とかって永遠の課題であるわけですね。
    そしてこういう考えの方が「社会的地位」において上のほうにいるからこそ、「女性が活躍する社会」と謳いながらも活躍できない、子育ても難しい、離婚が増加の一途を辿る……そういった社会になるのではないかと思えてなりませんでした。

  • 成熟、に引き続いて読了。

    今より幸せになるためではなく、病める時貧しき時に不幸にならないために結婚する。うん、なるほど。とにかく期待値を上げすぎないっていうのは大事かも。

    良い配偶者は海外旅行のトラブルに対して文句を言うのではなく「次に何をすべきか」に頭を切り替えられる人。とにかく危機の時にどれだけアンハッピーにならずにいられるか。

    「ロクでもないやつ」が私を愛していたことを証明するために、また同じような人と付き合う。転職したことを肯定するために同程度の辛さに合うとまたやめる。そうしないと首尾一貫しない。自分が間違っていたことになる。…怖いけどなるほど。

  • ◾️友達が勧めてたので図書館で問い合わせしてかりてみた。最初はいい!そうかそうか、たしかに、ってなるんだけど出会いとか始まりでなくてパートナーがいるひとたちに対して書いてる内容なので途中から今じゃないなぁってなって読んでました。
    結婚したいひとが出てきたからお互いに教訓としたいことがたくさん、読みやすく載っていた本。

  • 本屋タイトル(‪@Title_books ‬)さんのツイッターでオススメされていた本。

    タイトルとは裏腹に内田さんいわく、読み終わったあと、結婚したくなるような本にしたかったんだとか。

    耳を塞ぎたくなるような(本だから目を閉じたくなるような?)ことも盛りだくさん書かれていて、正直心から自信を持ってパートナーにオススメできる人はどれくらいいるのだろうか…と思った。
    それでも読んでとても良かったと思える本。

    最初から最後まで主張が一貫していて、エッセイなのに小説のようにラストがよかった。

    あぁなるほどと思ったのは、夫婦といえど配偶者はあくまで他人、理解の範囲を到底超えた遠い距離にいる存在ということ。
    あと、二人の関係がうまくいっていないのではなく、自分の中でうまくいっていないことのチリツモの最後の一撃が相手への不満だったりすることが多いこと。

    結婚エトセトラだけでなく日本経済や哲学なんかのことも書かれていて読み応えあり。
    書き留めきれないのでこれは買います。

    長めですが引用を。
    『結婚してるのに他の人を好きになっちゃったのですけど、どうしましょうというような寝ぼけた質問をしてくる人に僕が申し上げたいのは、そういう薄っぺらなことを平気で口にできるような人は、もともと結婚生活向きじゃないということです。
    別に結婚しなくてもいいじゃないですか。誰を好きになっても、誰とセックスしても、誰からも文句を言われない気楽な生き方をすればいいじゃないですか。なんで、「その上」結婚までしたいんですか?僕にはそれがわからない。
    結婚というのは最初に申し上げましたように「病めるとき、貧しきとき」に一気に路上生活者に転落しないためのセーフティネットです。安全保障です。相手が病めるとき、貧しきときに支援するという「社会契約」を取り結んだことによって、相手もあなたが病めるとき、貧しきときにお支えしますということになっている。』

  • 良書。
    結婚は、セーフティネット。病める時、貧しき時に一気に路上生活者にならないように。
    結婚問題は、雇用問題。普通の人が普通に結婚して子供を産む事が出来ない現代は異常。
    何十年一緒にいても、相手のことは分からないもの。二人の間に千里の隔たりがあるのを700里まで縮めたいな、と。
    お金は、収入よりちょっと下で生活。
    結婚生活に正解は無く、お互い干渉しすぎず、挨拶は欠かさず。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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