ジョン・ケージ 作曲家の告白

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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865592061

作品紹介・あらすじ

1948年と1989年におこなわれた
ふたつの自伝的講演から
ジョン・ケージの生涯をたどる。
音楽の意味を根本から変えてしまった作曲家、
ジョン・ケージ(1912〜1992)が自ら半生を語った
ふたつの講演を収録した日本オリジナル企画。

コンパクトな文量、ユーモアを交えた平易な言葉で語られた
ケージの思想のエッセンス、創作活動の全体がわかる自伝による入門。
また、これらの講演ではじめて明らかになった新事実や
インスピレーションの源泉にも触れられており
ケージの生涯を知る上で必読の内容となっている。

【本書に収録したふたつの講演】
「作曲家の告白」1948年
30代半ばにしてはじめて自らの半生を語った講演。
彼はなぜ作曲家をこころざし、音楽に何を託していたのか。
ピアノの概念を覆した「プリペアド・ピアノ」の発明秘話や、
この4年後に発表される無音の音楽《4分33秒》の構想など
具体的な作品への言及のみならず、近代化が進む時代において
音楽にいったい何ができるのかといった根源的な問いにも触れられている。

「自叙伝」1989年
京都賞の受賞を記念して日本でおこなわれた講演。
死を3年後に控えた77歳のケージが創作人生を振り返り、
禅や鈴木大拙といった東洋思想への接近、地衣類やキノコへの愛、
晩年の美術作品への傾倒など、自身の全体像がくまなく語られている。

【本文より】
「わたしが一番好きな音楽とは、まだ聴いたことのない音楽です。
わたしは自分が作曲する音楽を聴いているのではありません。
わたしは聴いたことのない音楽を聴きたいから作曲しているのです。」

感想・レビュー・書評

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  • パリでぶらっと三年くらい遊学してたときの話が好き。音楽だけではなく絵画にも建築にも興味を持ち、ただ建築以外は全部捨てろと迫られた時に、もっといろいろなものに興味を持ちたいと軽やかに逃れて、フラフラしていくところ。けど、シェーンベルクに師事しに行った時、「今後、音楽に人生を捧げることはできますか?」と聞かれた際には肚をくくったのか「はい」と答え、「ではただで教えましょう」と迎え入れられる。あと興味深かったのは以下のフレーズ。「わたしの一番好きな音楽はまだ聴いたことのない音楽です。わたしは自分が作曲する音楽を聴いているのではありません。わたしは聴いたことのない音楽を聴きたいから作曲しているのです」(p.63)/ハーヴァード大学の無響室で聴いた沈黙には、サウンドの不在はなく、わたしの神経機能と血液循環の非意図的な運動がありました。この経験と、ラウシェンバーグの絵画が、<<四分三三秒>>を作曲するきっかけになりました。(p.87)/

  • 【オンライン読書会開催!】
    読書会コミュニティ「猫町倶楽部」の課題作品です

    ■2022年6月18日(土)14:30 〜 18:00
    https://nekomachi-club.com/events/c2b20f1e04f4

  • ケージ自ら語る生い立ちは、個人的に難解だと捉える時もある、実験音楽や現代アートへの距離感を埋める気がした。また難解だとされている表現の大元は意外とシンプルな感情だったり、発想があるようにも感じた。

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著者プロフィール

米国の現代音楽作曲家。1912年ロサンゼルス生まれ。アルノルト・シェーンベルク、アドルフ・ワイス、ヘンリー・カウエルに師事。プリペアド・ピアノや偶然性の音楽の発明、東洋思想への接近、そして茸に対する愛で知られる。代表作に《プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード》、《四分三三秒》、《フリーマン・エチュード》、著書に『サイレンス』、『ジョン・ケージ 小鳥たちのために』など。晩年は作曲のみならず絵画や版画作品も発表した。1992年8月、脳溢血のためにニューヨークで死去。

「2019年 『ジョン・ケージ 作曲家の告白』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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