処女崇拝の系譜

  • 藤原書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865781779

作品紹介・あらすじ

古代から連綿と続き、20世紀半ばに潰えた、男の幻想の系譜
現実存在としての女性に対して、聖性を担わされ、「手の届かぬ存在」として神話や文学のなかで独自に位置づけられてきた「乙女」たち。その「乙女」たちの姿を丹念にあとづけ、肉体をもつ現実の存在として女性への欲望と対極的な「乙女」たちに託された、男性のプラトニックラブ幻想(ロマンチシズム)を炙り出す。『娼婦』『男らしさの歴史』と表裏を為す表象の系譜を「感性の歴史家」コルバンが縦横に描く最新作!

感想・レビュー・書評

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  • ・本書は、一義的には第三のカテゴリーに属する研究として位置づけられるが、同時に第一の分野とも接点を有する。コルバンのいう「夢の女」とは、美、慎ましさ、やさしさ、美徳、純潔をすべて具えた女であり、男たち、とりわけ青年たちが理想化し、時として天使のような容貌を付与してしまう女のことである。彼女にはしばしば男を寄せつけないような凛とした佇まいが漂い、その身体は男の欲望から隔離されているかのように守られている。聖母マリアがそうだったと言われるように、永遠の処女性を保持している女──それが「夢の女」ということになる。

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著者プロフィール

●アラン・コルバン(Alain Corbin)
1936年フランス・オルヌ県生。カーン大学卒業後、歴史の教授資格取得(1959年)。リモージュのリセで教えた後、トゥールのフランソワ・ラブレー大学教授として現代史を担当(1972-1986)。1987年よりパリ第1(パンテオン=ソルボンヌ)大学教授として、モーリス・アギュロンの跡を継いで19世紀史の講座を担当。著書に『娼婦』『においの歴史』『浜辺の誕生』『時間・欲望・恐怖』『人喰いの村』『感性の歴史』(フェーヴル、デュビイ共著)『音の風景』『記録を残さなかった男の歴史』『感性の歴史家 アラン・コルバン』『風景と人間』『空と海』『快楽の歴史』(いずれも藤原書店刊)。叢書『身体の歴史』(全3巻)のうち第2巻『Ⅱ――19世紀 フランス革命から第1次世界大戦まで』を編集(藤原書店刊)。本叢書『男らしさの歴史』(全3巻)のうち第2巻『男らしさの勝利――19世紀』(2011年)を編集。


「2017年 『男らしさの歴史 Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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