ぼくはただ、物語を書きたかった。

  • 西村書店
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784867060285

作品紹介・あらすじ

◆特色
ミヒャエル・エンデと並び称され、現代ドイツを代表するベストセラー作家として活躍するラフィク・シャミは、20代でシリアから亡命し、50年間をドイツで生きてきた。亡命前後の揺れ動く心情、ドイツ語の作家・語り部になるまでの紆余曲折、変わらぬ信念と創作の舞台裏を、初めて率直に明かす。シャミの人生が活写された渾身のエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • わが青春のラフィク・シャミ、大好きなシャミ。

    刊行されたらすぐに読むつもりだったのに、なかなか読み始められなかったが、やはりもっと早く読むべきだった。

    今までシャミの語り口を楽しんできたけれど、そして近年のシリア情勢にシャミの心情は如何にと心痛めていた(つもりだった)が、想像以上に亡命の辛苦が吐露されていて、読み進めるのがとても辛くはあったが、どんどん読み進んだ。

    故郷ダマスカスからも、親やきょうだいからも、ずっと引き離されて、帰れない。今更ながらその苦しみを思う。

    ドイツにおける、アラブ中東の人々・文化への差別的眼差しを指摘する文章も鋭いながらもユーモアたっぷり。ではあるがそれだけに哀切極まりない。

  • 図書館でタイトルを見てふと手にとった本。
    祖国からドイツへ亡命した著者のエッセイ。

    「物語ることは、常に人間的な希望と結びついている。物語る人間は、希望を抱いている。非常に暗い物語でさえ、暗さのない未来への芽を宿している。ぼくは物語りながら、よく一つの場面を思い浮かべる。賢いおばあさんが暗闇をこわがる子どもにお話を聞かせ、子どもは安心して眠るのだ」(p.38)

    物語のもつ希望についての考えは同じだが、亡命・差別などの著者の体験に裏打ちされた言葉として読むともう一段階も二段階も深みのある言葉のように感じてくる。短い本の中でのメッセージ性がすごい。

  • ダ・ヴィンチ20225掲載 評者:ダ・ヴィンチ編集部桑島まさき

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著者プロフィール

著*ラフィク・シャミ(Rafik Schami)
1946年シリアのダマスカス生まれ。亡命後1971年よりドイツ在住。1982年以降、作家として活動し、世界150万部のベストセラー『夜の語り部』や『空飛ぶ木』『言葉の色彩と魔法』(以上、西村書店)などを発表。ドイツ語圏におけるもっとも成功した作家のひとりであり、作品は30以上の言語に翻訳されている。1987年、『片手いっぱいの星』(岩波書店)でチューリヒ児童文学賞、1993年、ドイツ語を母語としないドイツ語作家に贈られるシャミッソー賞、2010年、『愛の裏側は闇』(東京創元社)でIPPY(独立出版社書籍賞)ゴールドメダル賞、2011年、忘却に抗し民主主義を支援する文学に対して贈られるゲオルク・グラーザー賞など、受賞多数。

「2022年 『ぼくはただ、物語を書きたかった。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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