ハワイとフラの歴史物語―踊る東大助教授が教えてくれた (素敵なフラスタイル選書) (素敵なフラ・スタイル選書)
- イカロス出版 (2005年6月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784871496902
感想・レビュー・書評
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YouTubeで偶然目にしたハワイアンのミュージック・ビデオがあまりに美しくかつ心地良いため、先日から何十回と再生し、一人で再生回数に貢献している。
これ↓
https://youtu.be/AbqkjkkcE7M
(YouTubeなので、最初に無関係の広告宣伝が始まるかもしれませんが、適宜スキップしてご覧ください)
ウェルダン・ケカウオハが歌う「クイーンズ・ジュビリー(Queen's Jubilee)」という曲で、夕方の、ほんのりオレンジに染まったハワイの海辺を背景に、二人の女性の踊るフラが最高に美しい。
冒頭のMCで、リリウオカラニがこの曲を作った背景が簡単に述べられている。映像だけでなく、曲そのものがあまりに美しいので(特にマイナーに転じる展開部が私は好きで)作曲者のリリウオカラニ女王とハワイの歴史のことが気になったので、この本を図書館から借りてきた。
本当に良書です!
私の知りたかったことが網羅されていて、素晴らしかった。我ながらナイス・チョイス。
大学の先生、とタイトルで全面的に押しているだけあり、煽情的にハワイ礼賛するのではなく、様々な事物や歴史的事実を多角的に分析されていて、でも堅苦しくない平易な文章で、大変に分かりやすい。
事実、歴史、個人的所感、などのバランスがとても良い。
ハワイにカウボーイがいたなんて(それも一つの文化を作るくらいの数が)全然知らなかった。
フラの歌詞は非常に多重的な意味を持ち、ハワイ語を操る人にも解釈が難しいということにも驚かされた。
古い文献に見られる西洋人が見たフラ、の話もとてもおもしろくて、フラで歓待された当時のヨーロッパ人に嫉妬すら覚えるほどだった。
メリー・モナーク・フラ・フェスティバルについての章も引き込まれた。
YouTubeの動画の中で踊る母娘について、ウェルダン・ケカウオハが母親の方を「元ミス・アロハ・フラでクム・フラ」と紹介していたが、調べてみたら、やはりこのメリー・モナーク・フラ・フェスティバルの優勝者だった。さらに娘さんの方も2位に輝いたことがあるそうで、二人のあの美しすぎるフラの動きはやはり実力のなせる業!と納得した。
ところで、曲名「Queen's jubilee」からウッスラと嫌な予感はしていたが、ネットで見た和訳によると、この歌は英ヴィクトリア女王在位50年(長!)の栄誉をひたすら称えているという内容で、イギリスはアメリカではないが、それでも、どうしても帝国主義の強大な力と時代の流れを連想してしまって暗い気持ちになった。
ウェルダン・ケカウオハが冒頭で「まだ娘だったリリウオカラニがヴィクトリア女王の記念式典に参加した時に作った歌」と言っていたが、まさに彼女のそのイギリス滞在中に、当時、王だった兄はその支配力を大きく縮小することになる条約を締結させられるという大事件が起きていたらしい。
歌の歌詞とは対照的に、リリウオカラニ本人の王国の運命はこの時から転がるように真逆の道をたどっていくことを思うと、とても切ない。しかも「Jubilee(50周年の記念)」という英語の言葉の語源は、もとは聖書からきていて、自分たちの土地を取り戻すやらなんやらという話からきているそうで(←適当ですいません)、なんという皮肉か、と思う。
この本では一番最初の章で、リリウオカラニが最後の女王として必死に戦った経緯がとても分かりやすく述べられている。
私は、この歌は、リリウオカラニ自身の王国を思う気持ちをうたっていると勝手に置き換えて聴いている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すごく良かった。
Hulaについて、Hawaiiについて、今までより少し知識が増えた気がしたし、歴史についても今まで全く知らなかったことを知る事ができました。
もう1回読みたい。
是非再度予約しようと思います。
メモをとりたいところがほとんどで、今はざざっと読んだだけだけど、頭の中に、心の中に入れてしまいたいと思っております。
すっごく読みやすくてあっという間に読んでしまいました。