原爆スラムと呼ばれたまち ひろしま・基町相生通り

  • あけび書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784871541916

作品紹介・あらすじ

原爆ドーム北側を東西に走る電車道の愛称として呼ばれる「相生通り」は、半世紀前、1000戸を超えるバラック住宅がひしめき合う「原爆スラム」と呼ばれる「まち」があった。そこには、「スラム」と呼ばれた社会的偏見とは異なり、貧困に加え国籍差別や被爆による様々な困難、さらに土地の不法占拠からくる一種の負い目や居住環境など多くの問題をかかえながらも、荒廃・無気力・陰湿というものは稀で、むしろ活気があり明るささえ漂っている状況で暮らす人たちや家々や通りの姿があった。消滅したまち「基町相生通り」を悉皆調査(全世帯全戸調査)した記録を、半世紀の時を経て本書で明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 『書評』 原爆スラムと呼ばれたまち 石丸紀興ほか著 | 中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター
    https://www.hiroshimapeacemedia.jp/blog/?p=108274

    原爆スラムと呼ばれたまち ひろしま・基町相生通り | あけび書房
    https://akebishobo.com/product/genbaku

  • 表題の基町相生通りは、かつて原爆ドーム北側の本川東岸に広がっていたバラック住宅地区のこと。被爆者や敗戦後の生活弱者たちが集まって形成された。こうの史代『夕凪の街 桜の国』の舞台である。なので表紙には、こうのさんの推薦文と作中の1コマが描かれている。

    本書は1970年に行なわれた相生通りの実態調査と、そのクリアランス後の1979年に元住民に行なわれた追跡調査とを1冊にまとめたもの。著者たちによると、相生通りは貧困・差別・衛生・火災など多くの困難に直面しながらも、むしろ活気や明るさのある空間であった。狭いながらも同じ形の家は1件もなく、そこには家主の「自由」がある。また、自動車が通れないような幅だからこそ、道には様々な暮らしの空間であり、これが家の狭さを補っていた。とはいえこうした活気は、地区内での国籍間の分断や外国籍住民への偏見を解決するものではなかったことにも、触れられている。こうのさんの作品を読んだ方は、本書もぜひ。

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