- Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784871880671
作品紹介・あらすじ
急成長をとげるソフトウェア産業。そこには情報化をリードする最先端産業の名におよそそぐわない過酷な肉体労働が日夜続けられている。そうした現状の矛盾に、強い危機を感じた第一線の研究者や技術者、コンサルタントたちが、ソフトウェア産業の展望をふまえ、21世紀に向けた情報化の基本戦略を示す。
感想・レビュー・書評
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JUASで講演をしたときに玉置先生にお会いし、面白いパワフルな先生がいるのだなぁと興味を持って何か著作をと思い、買った本です。
共著者のなかで久保 宏志先生(もと帝京大学教授)の名前を聞いたことがあるなぁと思ったら『富士通におけるソフトウェア品質保証の実際』の監修者でした。なるほど。
久保先生が、
シグマ計画は、まさにソフトウェア産業界にインフラを与えようとするもので、日本のソフトウェア業界と官僚が手を組んで発案したヒットといえよう。
というのには、時代を感じました(私の記憶では、1989年にはすでに破たんしてたけどなぁ)。
★★★
玉置先生はこの本では、産業面(つまり利用者の側面)からソフトウェアの今後を論じていて興味深いです。コンピュータを誰が何の目的で使うのかということをしつこく書いています。
この当時は日興証券の日興システムセンター取締役だったのですね。
★★★
この本に書かれているソフトウェアを作る側の問題点は今もほとんど変わらずというのがちょっと悲しかったですね。
ソフトウェア工学のページは、白井豊氏が書かれているのですが、
まず、一人のプログラマーが自分で見渡せる作業範囲には当然のことながら限界がある。だいたい二〇〇〇行ぐらいだとされている。ところが通常のソフトウエアは、これをはるかに上まわる。
(略)
ところが、厄介なのは複雑にからみ合ったプログラムの実行順序やプログラムの記述要素(ステートメント)間の誤りである。
(略)
自分自身の誤りには奥深い、いろいろな原因がある。その一つは、ソフトウェアの機能そのものに関わることである。プログラマーがソフトウエア開発の依頼者の意図を取り違えていることがある。あるいは依頼者自身が意図を十分に伝えていないこともある。
(略)
二つ目に、複数人で開発されることにともなう問題である。数十人で一斉に設計を始めるわけだから、担当者間の連携をはかる必要がある。
(略)
三つ目は、ソフトウェアの複雑さに伴う人間の側の設計ミスである。
と、今のままです。
この本から、20年経って、確かにソフトウェア(アプリケーション)は進化していると思うけれど、ソフトウェアを作る側の問題点はそれほど解決していないなぁと思いました。
(まぁ、高々20年ですからね。これからに期待です)詳細をみるコメント0件をすべて表示