- Amazon.co.jp ・本 (702ページ)
- / ISBN・EAN: 9784871885362
作品紹介・あらすじ
補完性をキー概念に、企業組織とそれをとりまく制度をシステムとして考察する経済学と経営学における独創的ブレークスルー。米国のMBA、比較制度分析、企業理論の標準的教科書となった本書は豊富な事例とともに日本の制度改革にも貴重な示唆を与える。
感想・レビュー・書評
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経済学部に在籍しながらほとんど近代経済学を勉強しなかった学生時代だったけど、唯一おもしろいと思ったのがコースの定理でした。資産効果や取引費用がなければ当事者間の交渉で必ず効率的な実現すると言う定理を聞いて、経済学ってこんなにシンプルでエレガントな理論を導けるものなんだと感心した記憶がある。
そのとき授業で使っていたのがこの教科書。当時はミクロの基礎も知らず、さらに600ページ超の分厚さに尻込みして結局買わずじまいだった。今回ようやく一念発起して読んでみた。
学生のころよりはいくらか経済学の知識はあがっているつもりだけど、読み進むのはなかなかな難しい。注意深く読み進めないと論点の把握が少し難しいところがあって、ちょっと気を抜くていまどこで何をしているのか分からなくなる。数式なんかも出てくるので、そんなときは紙とペンを用意して手を動かしてみないと理解しにくいところもある。
でも、そうした難しさは論理的な厳密さを考えたら当然のことだし、かなり踏み込んだところまで説明しようとしているから無理もないことだと思う。それに、当時としては新制度派の中でもまだ定式化されていない最先端の理論も盛り込んでいたようだから、そういう部分はまだ整理され尽くしてなかったのかもしれない。
そうして苦労して読み進んで得るものは、やっぱり予想通りに大きいものがあります。単に市場に任せるわけでも中央集権化した管理体制で運営するわけでもなく、その両者のあいだのグラデーションの中で、どのように資源配分を効率化するコーディネーションを実現するか、そうしたコーディネーションが適切に行われる制度設計をどうするか、ということに関するヒントが多く見つかります。極めてアカデミックで理論的な話ではあるけれど、会社の組織構造や人事制度などにそのまま直結する話でもある。
個人的には興味があるのはやっぱり取引コスト理論(本書では取引コストの議論はすくないのだけど)。企業間の関係を取引コスト理論を使って分析してみたい。企業と企業の間にはどんな取引コストが生じて、それがM&Aやグループ再編でどう変化するのか、そういうことがわかれば、最適な企業間関係をあぶり出せるかもしれない。 -
東2法経図・6F指定:336.3A/Mi26s/Hoshi
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企業理論・組織論の経済学的な標準教科書。
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決定版と呼ばれる本で、米国の学生が1学期間かけて勉強する本だが、とりあえず、さらっと読み。
これで、日本語で書かれた入門書が読みやすくなるかな。 -
企業の組織制度について経済学的に分析した本。組織制度について考える際に大変参考になる。
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レベル高
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目次
序文
日本語版への序文
訳者まえがき
第1部 経済組織
第1章 組織は重要か
第2章 経済組織と効率性
第2部 コーディネーション:市場と組織
第3章 コーディネーションと動機づけにおける価格の役割
第4章 計画と行動のコーディネーション
第3部 モティベーション:契約、情報とインセンティブ
第5章 限定合理性と私的情報
第6章 モラル・ハザードと業績インセンティブ
第4部 効率的なインセンティブの提供:契約と所有
第7章 リスク・シェアリングとインセンティブ契約
第8章 レントと効率性
第9章 所有と財産権
第5部 雇用:契約、報酬、キャリア
第10章 雇用政策と人的資源のマネジメント
第11章 内部労働市場、職務配置、昇進
第12章 報酬と動機づけ
第13章 経営者および管理者の報酬
第6部 資金調達:投資、資本構成、コーポレート・コントロール
第14章 投資とファイナンスの古典的理論
第15章 金融構造、所有、コーポレート・コントロール
第7部 組織のデザインとダイナミックス
第16章 企業の境界と構造
第17章 経営・経済システムの進化
用語解説
事項索引
人名索引 -
刊行からやや日が経っているが、企業組織を取り巻く様々な課題について、経済学的視点から網羅的に分析した示唆に富む名著である。翻訳者には錚々たる経済学者が名を連ね、翻訳の精度も非常に高い。内容的には(初歩的な経済学の知識を有する)ビジネスパーソンでも十分に理解できるレベル。かなりのボリュームはあるが、お勧めの一冊である。
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今でも経済学のスタンダードと言われる本。