アッラーの花嫁たち ―なぜ「彼女」たちは“生きた爆弾”になったのか?

  • WAVE出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872902310

作品紹介・あらすじ

死を決し、人の波の中にまぎれこんでいくロシアチェチェンの女性自爆テロリストの悲しい素顔!その「選択」の背景にあるのは「信仰」「政治的理念」ではなく「個人的な悲劇」「人身売買」「薬物利用」の衝撃的真実。

感想・レビュー・書評

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  • 翻訳のせいか読みづらい。ジャーナリストの本だとしたらお粗末。

  • ロシアで起きた、チェチェン武装グループによる連続爆弾テロ事件のルポ。「生きた爆弾」として自爆し殉教した女性たちに、焦点を当てている。殉教者の家族や、運良く死を免れた「犯人」へのインタビューが豊富で、筆者の熱意が伺える。

    チェチェン共和国は現在もロシア連邦の一部である。しかし、チェチェン側は独立を強く希望している。独立を許さないロシアとのあいだで対立が深刻化するのは避けられない。チェチェンのなかには過激派もいる。彼らがテロリズムでもってロシアに脅威を与えることもある。このときに「利用」されたのが女性だった。

    チェチェンはイスラーム(本書内ではバーブ教)の影響力が強い地域だ。イスラームは男女の区別を明確にすることはよく知られている。この区別は、イスラームによる統治が十分に機能している地域ならば、積極的な意味をもつだろう。

    しかし、そうでない場合、消極的な意味合いが強くなる。つまり、社会的立場が特に弱い女性(具体的には、若い女の子)が立場の強い者に利用されうるのである。チェチェンは、正しい統治機能が失われていた。故に、このようなイスラーム法の部分的乱用が行われてしまった(イスラームの正統な教義に従えば、このようなテロリズムが赦されるはずがないのだ)。

    利用された「花嫁」たちの殆どは、自分が死ぬことになると思っていない。テロリストの手先として、「人形」として、使われるだけの存在だ。その悲しみはいかばかりのものだろうか?それは、本書を読んで感じてほしい。

    本書は、たいへんな労作である。筆者の熱意に讃辞が呈されるべきだろう。だが、以下の点が残念に思う。
    第一に、基礎知識の説明が欠落していること。
    事件に関する情報もそうだが、チェチェンやバーブ教、ロシア政府の対応などの補足説明があれば、より分かりやすくなっただろう。
    第二に(既に指摘されているが)、訳文が読みにくいこと。専門的なことなのでド素人が口を挟むべきではないのだが...。でも、いくらなんでも『白羽の矢が「あたる」』は、マズいと思いました。

  • 抑圧されたあるいは騙された女性が人間爆弾にされてしまう様子を取材によってあきらかにしている。パレスチナのそれとチェチェンのそれは違うとしている。ロシアで発禁処分。

    感情的な文体や詩の挿入などであまりちゃんとしたジャーナリズムにには思えなかった。テーマはいいだけに残念。ただロシア兵

  • 他の方もレビューで指摘しておられるように、読みづらい。翻訳のせいもあるだろうとは思う。だがもし元の文章も和訳本どおりに感情的で比喩だらけ・感嘆符だらけなら、ジャーナリストの文章にしてはお粗末では。筆者の調べた「事実」と想像の補完の区切りも曖昧。なんだか残念。

  • 大学の図書館で借りて読んでいます。

    題材としては面白いが、文面が妙にしめっぽく、くどくどしく感じる。
    元々の文章がそうなのか、訳された際にそうなったのかはわかりませんがそこが気になりました。


    2008/05/22 読了・追記
    ジャーナリストとかルポライターの類って、もうちょっと論理的・客観的な文章を書くべきなんじゃないかなあ。

  • 内容はものすごい衝撃。悲しみや憎しみで真っ黒になった心を、残虐で真っ黒な心を持った人が利用して、「生きた爆弾」にしていく。こんなに悲しい人たちっているのか。自分の人生とはかけ離れた世界。でも彼女たちの悲しみ、つらさ、思いは共感できる。

    いかんせん訳が読みにくくてそれが残念。だから訳した文章は苦手。

  •  2002年10月モスクワにある劇場を覆面を被ったテロリストが占拠した。その中には多数の女性がおり、彼らの主張は「ロシア軍のチェチェンからの撤退」「チェチェンの平和」要求だった。

     人々は、テロリストの女性をその身なりと、その主張から「喪服の婦人」と呼んだ。夫や兄弟を戦争で失った人々の平和に対する行動だ、と捉えるジャーナリストもいた。

     しかし、ロシア人ジャーナリスト、ユリヤが取材したところ、驚く事にほとんどのシャヒード(女殉教者)は騙されてテロリストになったのだった。彼女らのうち、戦争で夫を失った婦人はわずか1、2名に過ぎず、他の女性は家族から売られた女性や慢性の病気で人生の希望を失っていた人、そして幼く本当の愛すら知らない少女だった。ユリヤはチェチェン独立派のテロを弾劾する一方、連邦も操作をする気がなく、むしろテロが起きる事を求めていると主張する。
     色々と考えさせられる内容でした。彼女はロシア人なのでチェチェン人をどこかバカにしたりした記述や文体が見られる事や彼女自身の主張が二転三転している点などは気になりましたが、すべてがすべてじゃなくても、彼女の主張は可能性としてあり得ると思いました。ただ、せめてバサーエフとマスハードフの分離、分類をしないと話がめっちゃくちゃになると思いますが・・・。あと、訳者が問題有り。単純な表記ミス(誤字脱字、人名、地名の間違いが10カ所近くありました。おそらく英語版から訳したのでしょうが・・・)

  • 調べたという割には、憶測っぽかったりする。翻訳が直訳調。

  • 女性の視点から見たチェチェン紛争。守り手を紛争によって失った女性達が、人間兵器としてテロに使われる様子を克明に追った一作。本書を書くことで、世界に啓発したつもりであったのに、収まるどころかさらに大きなテロ事件が起こってしまったことへの、やるせない筆者のあとがきが、一番辛い。

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