苔とあるく

著者 :
  • WAVE出版
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872903201

作品紹介・あらすじ

家のまわりをグルグルすれば、さっそく発見。ルーペで覗くと、美しい世界が広がる。標本を作ってみたり、友達をコケ散歩へお誘いしてみたり。つ、ついにコケを食べてみる!?胸がときめき、わくわくする、暮らしのなかの、小さな理科体験。

感想・レビュー・書評

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  • 苔趣味啓蒙書の嚆矢。2007年発行。
    このときまで、こんなにわかりやすいコケ入門書は
    ほとんどなかったのではないか?
    (←私自身初心者なので断言は出来ませんが)
    他書より遥かにやさしく
    探索、観察、研究、採集、整理、啓蒙、実用、遠征
    と、実践書としては、今までパラパラめくってきた
    他の本よりも、遥かに詳しい。わかりやすい。

    ただし、探索、観察、研究の方は
    他の詳しい入門書や図鑑に軍配が上がります。
    採集、整理はとっても参考になった。
    B5のクラフトペーパーを折り畳んで採集袋。
    是非作ってみたい(茶封筒で代用しても良い)。
    100円ショップで3倍ルーペと霧吹き買いました。
    カバンの中身にお菓子があるのは
    「街中といえども、お店が近くにないことは多い」から。
    さすがです。これも遺跡巡りとよく似ている。
    イラストページや小さなカットは
    おそらく著者が描いている。
    とっても可愛く分かりやすい。
    ルーペは、目を近づけるのではなく
    まず目に当ててコケに近づく、
    ってことを初めて知る。
    これだけでも、この本を読んだ甲斐があった。

    帰ってきて、いくつかの図鑑で見比べて名前を特定
    著者でもそうなら、
    私がなかなかわからないのも当たり前(←少し安心した)。
    最後は顕微鏡で名前を特定するらしいけど
    今の所それは無理!
    文机の引き出しや衣装ケースに同定済みの標本が!
    もはや、南方熊楠!
    「ほったらかしだと、ただのゴミ」
    科学的証拠標本の最低条件
    =いつ、どこで、誰が採集したか
    (←今、スマホの中の写真はそれは書いている)
    やがては、カメラと三脚は用意したい。
    カメラはリコー Caplio GX100か、リコー Caplio R4。
    三脚は12センチのミニサイズを。

    最近やっとアスファルトにモコモコ居るギンゴケ
    と、他のモコモコゴケの違いがわかってきました。
    やおらしゃがんで土いじりをしたり
    突然古い壁にツカツカ近寄ったり
    或いはイオンショッピングセンターの巨木に近寄って
    まるで覗き見する様な姿勢で顔をピッタリくっ付ける。
    それは私です。
    それはもう立派な不審者候補!

    その他、啓蒙、実用、遠征は
    趣味を広げる工夫が書かれている。
    ま、それは後々数年後の話ですな。

    蟲文庫の北側にある鶴形山が
    著者のコケ人生の出発点だったとのこと
    来週、聖地巡礼に行かせてもらいます♪

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kuma0504さん
      聖地巡礼かぁ良いなぁ、、、
      kuma0504さん
      聖地巡礼かぁ良いなぁ、、、
      2022/03/14
    • kuma0504さん
      猫丸さん、
      地元ですからね。
      聖地巡礼というのは違うもかもしれません。
      たまたま来週、大原美術館に行くので、そのついでです。
      猫丸さん、
      地元ですからね。
      聖地巡礼というのは違うもかもしれません。
      たまたま来週、大原美術館に行くので、そのついでです。
      2022/03/14
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kuma0504さん
      タフだなぁ美術館に行って、コケ観察!

      kuma0504さん
      タフだなぁ美術館に行って、コケ観察!

      2022/03/15
  • 観葉植物を眺めるよりもリラックスができました。
    本の新たな活用方法の発見です。
    引用の書き写しをするのもなんだかマインドフルネスな体験に思えてきます。

    引用1:木々の緑が息をひそめる秋から冬は、コケの緑が際立つ季節でもあります

    引用2:「ビロードのような」とたとえられることがありますが、まさにそんな触り心地です。

    引用3:ルーペを目に装着するだけで、我が家の鉢植えのなかに、目くるめくような世界が広がります。自分の大きさや重さがわからなくなってしまうような一種のトリップ感。まるでコケの森をさまよう小人になった気分です。

    引用4:コケの目で見るということは、普段わたしたちが暮らしている世界とは違う、もう一つの世界を見るということでもあるのです。

    引用5:放っておかれようと踏みつけられようと、そこが気に入ってさえいれば、そんなことどこ吹く風で増えていくというのに、場所を映して育てようとしても、なかなかうまくいかない。これは、コケのコケらしい愛すべき特徴です。

    引用6:本を読んで名前を覚えたりすることよりも自分の眼で一片の雪の結晶を見つめ、その自然の美しさと調和に感覚を開くことの方がずっと科学的であるし、またそれは人間性の芽生えでもある

    引用7:ちょこっとメモを残しておくと、後で取り出して眺めた時、自分でも驚くほど、それを拾った時の感覚や景色がよみがえってくるもの。

    引用8:一日に自転車で15分程度、店と住まいを往復するだけの、そんな狭い範囲の中で何十年も暮らしているのですが、おかげで「徳島の温泉のそばに生えていた」とか「盛岡に行ってきたから」、「春休みに奄美に」、なかには「アメリカはオリンピアの森」とか「スロベニアのイドリア鉱山の」なんていうマニアックなものにまで、店の帳場にいながらにして出会うことができるのです。

    引用9:そんなところにも、倉敷の我が家と同じ、ヒツジゴケの仲間が生えていて「なんだ、ここにもいたの」と思わず声をかけたくなる妙な懐かしさとともに、一瞬自分がどこにいるのかわからなくなるような不思議な感覚を味わいました。

    引用10:進化の主要な道筋からはずれてしまった蘚苔類は、謙遜して独自の新しい生活感を作り出した。
     

  • なかなかのマニアックな本で嬉しかったです。
    同著者の「わたしの小さな古本屋」にも、その逆フラクタルな(?)マニア度合いが披露されており、もう同年代としてほっとけません。ここの古本屋さん「蟲文庫」さんには是非行ってみたいですね。

  • 苔好き初心者の私にもやさしく読めました。

    身近にある小さなものをじっくり見ることによって、世界が大きく広がっていく感覚がおもしろいと思いました。

    実際に苔散歩に出かけてみたくなります。

  • あたしは元々、苔のある風景を見るとテンションが上がります。
    特に寺社などの庭園が大好きです。

    たまたま縁あってこの本を読んだのですが、
    個人的には苔の同定にはそこまで惹かれないことがわかりました。
    採集してきて調べて標本をとっておく、よりもただ写真撮る方がすき。
    なので、接写機能に優れたカメラが欲しくなりました。

    巻末にある全国のおすすめ苔スポットはとっても参考になりました。
    すごく、旅に出たくなりました。
    特に屋久島。行きたいなあ。

  • コケ。

    少し気になってただけだった。

    のに、一気に引き込まれてしまった。

    コケワールド。

    苔。蘚。

    明日から足元を見ながら歩いてしまうなあ。

  • 「岡山コケの会」ってあるんですね!
    うっわ、全国組織だ!
    筆者は倉敷市の古本屋「蟲文庫」の店主。ググってみたら、鶴形山のふもと。ローカルネタで恐縮だが、私ゃここの阿智神社で七五三したんだよ、すごい遭遇!アイビースクエアの裏には「いがらしゆみこ美術館」とかできてて、びっくり。でも、写真満載の本なのに、生憎と地元で撮影したものは掲載されてなくて残念。まあ、写真家さんは茨城県在住らしいからなあ…。ルーペは目の近くの方に固定して使うものだってこと、初めて知りました!私も通勤路の苔探し、してみよっと。

    巻末の「全国コケポイント」や参考文献も充実。
    久々に「第七官界彷徨」、読みたくなった。

  • 昨日読み終わって外に出たら、雨上がりで緑がとても綺麗。
    苔を探しながら歩くようになっていました。

    田中美穂さん、とても素敵。憧れるけど、自分はこんなふうにはなれないなあ。ガサツなので。
    意外にも井の頭公園で真っ昼間焼き鳥とビールという写真。親しみを感じました。
    でも自分はそんなことしたら後タイヘンなことになるから、やっぱり違うな。

    コケは太古、最初に陸に上がった緑だと言われているそうです。
    「森の緑が地球をささえている」といいますが、その森の緑をささえているのがコケなのです。

    「進化の主要な道筋からはずれてしまった蘚苔類は、謙遜して独自の新しい生活環をつくりだした」(イギリスの植物学者コーナー博士)

  • ★★★★☆
    霧吹きとルーペをもって散歩したく。
    もふもふは苔で平たい属は藻なのね。
    苔を育てたい
    (まっきー)

  • 蟲文庫に行った母からのお土産。サイン入りの一冊。フルカラーで豪華。しづむと苔の話をしたので読んでみた。苔の入門にはとてもいい本だと思う。私は寧ろテラリウムのレイアウトに興味があるので、あまり興味は持てなかったけれど。

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著者プロフィール

田中美穂(たなか・みほ)
古本屋「蟲文庫」店主。1972年、岡山県倉敷市生まれ。1994年、同市内に古本屋「蟲文庫」を開業、2000年に移転、現在にいたる。著書に『わたしの小さな古本屋』(ちくま文庫)、『苔とあるく』『亀のひみつ』『星とくらす』(WAVE出版)、『ときめくコケ図鑑』(山と渓谷社)、編著に『胞子文学名作選』(港の人)などがある。

「2018年 『ミクロコスモス 森の地衣類と蘚苔類と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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