ジェノサイドの丘〈新装版〉―ルワンダ虐殺の隠された真実

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872905441

作品紹介・あらすじ

1994年、アフリカの真ん中で100万人が殺された。だが、世界の人々は少しも気にしなかった。20世紀指折りの恐怖の顛末を告発する!今こそ知るべき、隠された真実。

感想・レビュー・書評

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  • 学校でアフリカゼミに入っていて読んだが最後まで読んでいない。人の名前がなかなか覚えられないし長くて途中で諦めてしまった、、。しかし、事実が多く述べられていて良い本だったと思う。ページが赤いのが個人的に好き。

  • とても恐ろしい本だった。正確にいうと、このような惨劇がたった30年前に起こっていたことに驚いた。ふつう、日本人が「ジェノサイド」と聞くと、ナチスによるホロコーストを思い出す。しかしルワンダで起こったこの出来事は、それとはまったく性質が異なるし、規模も全然違う。ナチスはあくまで科学的な方法で、ある程度は組織的にユダヤ人を殲滅しようとしたが、1994年の虐殺は、まったく訓練も受けていないような一般人が、農作業用のクワやマチェーテで、それまで親密にしていた隣人を惨殺しているからだ。人間は残酷にもなりえるが、同時にモラルや善意も持ち合わせている。だから、残忍さにも一定の限界があり、それを超えることはあり得ないと、平和な日本で育った自分たちならつい考えてしまう。しかし、ルワンダの虐殺はそうではなかった。底のない人間の残虐性が露呈して、80万人という膨大な人数を、いとも容易く殺してしまった。そして、迫害されたツチ族も反政府組織として、難民化したフツ族を無差別に攻撃している。距離は遠いが、同じ世界にいる人々が起こしたことだとは容易に理解できなかった。この内戦は日本ではあまり知られていない。理由は色々とあるだろう。しかし、それにより誰もこの出来事について深く考えてこなかったのは、読んでいるあいだ中、頭の中では一種の混乱が起こったことと無関係ではあるまい。人類はこの惨劇についてもっと語らなければいけない。この先、同じようなことが繰り返されないとは断言できないのだから。

  • ノンフィクション
    歴史
    これを読む

  • 読むのに、一週間くらいかかってしまった。ところどころ理解できないというか、これ誰だっけ?みたいなことが多くあったが、わからないなりに人間は人を殺すことって意外と簡単に出来るのかもしれない。けれども、殺した人の家族の隣に住めるかというと、顔をあわせることが出来るかというと、わたしは出来ないような気がする。要は自分の行いを自分で許せるかということだと思った。

  • こんな事実があったとは・・・。
    しかもつい最近。

  • ジェノサイドがどのようにして起こるのか、またどのくらい悲惨なものなのかが分かる。もう少し翻訳がよければ読みやすいのに。ルワンダのジェノサイドが問題になっているときのUNHCRのヘッドが緒方貞子さんだったことを知り、本当に解決は難しいものなのだと悟った。

  • 読むのが 辛かった。悲惨すぎて
    当時 日本では ほとんど 報道されず 今頃 そんな 残虐なことがあったんだと知って 悲しかった。
    国連って 頼みの綱では ないんだ。

  • 1994年にアフリカはルワンダで発生したジェノサイド。100日間で50~100万人もの人間が殺されるという悲劇に対し、筆者が丹念な取材を元に迫った貴重な記録の新装版です。再読ですが凄まじく重いです。

    僕が本書を初めて読んだのはちょうど大学生のころで、そのときは上下間だったかと思われますが、新装版として一つにまとめたのがこの新装版です。改めて読んでみて、彼の地で発生したジェノサイドの残した爪あとというのは、本当に根深く現在でも残っているのだな、ということを改めて痛感しました。

    何が行われたかというのをさらりと振り返ってみると、1994年4月6日に発生した当時のルワンダ大統領ジュベール・ハビャリマナ暗殺を機にフツ族系の政府とそれを支持するフツ族の過激派たちによって、多数のツチ族とフツ族の穏健派が殺害されるというなんとも陰惨極まりない事件で、収束するまでの約100日間の間に正確な数はいまだに把握できないものの、50~100万人近くの人間が殺されたということで、これはペースでいくとナチスのユダヤ人虐殺よりもずっと早いものなのだそうです。

    具体的に何が行われていたのかということはYoutubeなどでたとえば『ルワンダ 虐殺』もしくは『ルワンダ ジェノサイド』と検索欄に打ち込んで検索をかけると関連映像が相当数出てきます。しかし、あまりのむごたらしさに見る場合には相当の覚悟が必要となることを、ここに明記させていただきます。

    筆者は現地に赴き、『ホテル・ルワンダ』で有名となったポール・ルセサバギナや、後に大統領となったポール・カガメ氏などへの貴重なインタビューを通じて、当時の状況を浮き彫りにしていきます。そこには長年の差別によって鬱積したものがふとしたきっかけで一気に決壊していく様や、当時の国際社会がこの問題に対して以下に無関心を決め込み、それで多くの犠牲者が出てしまったこともここでは言及されております。筆者にとってはこれが初めての著作だそうで、これが世界中に翻訳されているのも納得がいくというものでございました。

    かつて、NHKスペシャルでカガメ大統領体制の下でめざましい経済発展を遂げるルワンダが特集されておりましたが、その一方で虐殺に加わった人間で裁きを受けなかった人間もおり、加害者と被害者が隣同士にいるという想像だにできない負の部分も映し出しており、それに対してどう向き合っていくのかという話を思い出しておりました。
    『かつて起こったことであり、これからも起こりうること』
    という意味で貴重な一冊ではありますが、内容の膨大さとテーマの重さという意味で、これを読むにはある一定の『覚悟』を求められるかもしれません。そんなことを再読して思っております。

  • ある物事、ここでは虐殺について。如何にして進行し、如何にして結果となったのか。非常に淡々と、まるで昔の映像記録を見るように、再生されていく事実。想像を要請する筆者の意図が、読み進むほどに明確になっていきます。色彩の無いこの事実に、想像の色を塗っていくと驚くほど鮮明になる映像。虐殺という、あまりに過酷なテーマを目の当たりにできる瞬間、ゆっくりと捻じれていく現実が恐怖心さえも呼び起こします。
    知らなければならない歴史、人が人によって消えていった歴史。それを知ることが、何かの出発点になるのかもしれません。

  • フツ族によるツチ族虐殺の背景・内容・その後を描いた本。

    「ツチ族たちは破局の何週間も前からフツ族たちが行う軍事訓練を見ていたし、ツチ族を殺す訓練であることを知っていた。」というのが一番の驚きだった。

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