謎解きの英文法 助動詞

  • くろしお出版
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本棚登録 : 47
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784874248867

作品紹介・あらすじ

シリーズ完結。Can you …? は Would you …? より丁寧な依頼表現か? will と be going to の違いは? 著者の一人がハーバード大学で教鞭をとるようになったエピソードも。

感想・レビュー・書評

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  • おすすめ資料 第521回 「謎解きはつづく、どこまでも」 (2022.05.13)

    2004年から続く「謎解きの英文法」シリーズの最終巻です。

    「文法がわからなければ、文意を正しく理解することができない」という当たり前のことを深いレベルで学び、タイトル通り謎解きのたのしさを感じられます。

    この巻でも、助動詞を使った丁寧な依頼表現の例などから、コミュニケーションに文法の知識が必要なことを実感できます。


    【神戸市外国語大学 図書館蔵書検索システム(所蔵詳細)へ】
    https://library.kobe-cufs.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BK00356657

    【神戸市外国語大学 図書館Twitterページへ】
    https://twitter.com/KCUFS_lib/status/1526034707158167552

  •  久野すすむと高見健一という、機能主義の名コンビによる『謎解き英文法』シリーズの最終巻、助動詞。シリーズの最初は2004年の「冠詞と名詞」らしいから、自分がちょうど二十歳で英語学の世界を知った時、と考えると、この18年というのは、うーん…長いような、いや実は短いような…。
    wikipediaによれば、久野先生は現在88歳で、今年の8月には89歳、という、これはまさに驚異。本書にも「コラム」という項目がいくつかあるが、広く「英語」には関係あると言えばあるかもしれないが、ほとんど久野先生の回顧録的な内容で、キレとかが全くない。中でも「孤独死への恐怖」(p.168)を語った部分とか、一体これは何なのだろうと思ったりしたが、もう90近い年にまでなれば何でも許されるというか。一方、高見先生の方はこの4月に亡くなられたということで、だから終わりなのか、と納得した。「これまでかなりのトピックを扱うことができたと思いますので、このシリーズはこれで『完』とさせていただきます。」(p.v)とか、むしろここまでしつこく続けてきたのに、終わるときはいやにあっさり終わるんだな、と思ったらこういう事情なのかなあ、と思った。
     内容の方は、面白いけど、たぶん英語の文法をちゃんとやった人だったら、そんなに目新しいと思える内容もなく、おれが学部の時の読んだ「文の意味」とか、それに匹敵するような驚きというのはなく、おれが成長した(あるいは退化した)結果なのか、この人たちのキレがもうなくなってしまったのか、よく分からない。例えばWill you~?が依頼ではなく実質指示の表現であるとか、willとbe going toの違いとか、それこそ高校生くらいに知っておいて頂きたい内容で、レベル的にはちょっと期待外れだったかもしれない。
     その中でも気づいたところのメモ。まずSwanのPractical English Usageというのは、なんか学部の時に、江川泰一郎の英文法解説と並んで必読書、みたいな感じになっていたが、実は「初級英語、実用英語の本の著者で、英文法学者ではありません。」(p.40)だった、って、知らなかった。そうなのか。やっぱり「英文法のバイブルと呼んでも過言でない、(略)Quirk et al.」(同)って、これ大学の図書館で見たことあるけど、こんな分厚いの通読出来ないよなあ…と思った。(Practical English Usageも3分の1くらい通読した後、挫折してるんだけど。職場の本だなの端っこに置いてあるんだけど。でもそれを言ったら恥ずかしいことに、『英文法解説』も通読はしてないんだよなあ…)もっと英文法に関することだと、used toとwouldで、状態のused to beはOKだけどwould beはダメ、というところの説明で、「過去の繰り返された状態」を表すならOKというのは知らなかった。"I used to get so irritated with Ellen in my math class because in every class she would know the answer and I would be confused."(p.86)とか、"Whenever I visit the Smiths, there would be a vase of beautiful flowers..."(p.87)みたいな。あとcanは「時に~することがある」という意味なので、"His story can be true."はダメだけど"His stories can be true."(p.103)だったらいい、とか気づかなかった。p.106で"This illness can be fatal."(理論的・一般的可能性)と"This illness may be fatal."(現実的・具体的可能性)で患者の受ける印象の違いのイラストまで書いてあるが、これとかネタとしては面白いかなあ。(6年前に読んだ『英語助動詞の語法』では「なぜSmoking may cause lung cancer,よりもSmoking can cause lung cancer,の方が適切で、ディズニーランドの乗り物の警告文ではBumping may occurの方がcan occurよりも好まれるのか(p.22)」という話があったのと同じで。)それから「~かも」という意味では「特にアメリカ英語では、可能性・推量を表すにはmightを用いる傾向があり、子供の言語習得でも、mightの方が先に習得され、その意味は可能性・推量です。」(p.119)というのは発見だった。授業で、mayしか教えてないのに、だいたい帰国子女はすぐに「~かも」の意味でmightを先に言うので、「いやいやそこは教えたmayの方を言っとけよ」と内心思っていたが、こういう事情があるのか、という。あとは、ごちゃごちゃしてややこしいのは、Can his story be true?はいいのにMay his story be true?とか、Must his story be true?がダメ、という理由が、分かれば簡単だけど、整理しておかないと説明するのは難しいかも。あとはcould+知覚動詞で「できた」になる、というくだりで、さらに付け加えれば、couldは「できる状態にあった」ということだから、もっと言えば「『そのときは~できたが、いつもそのようなことができたのではない』という意味合いがある」(p.144)というのは、なるほどと思った。couldを用いた方が「ドラマチックな響きがあり、話し手が自分の経験を主観的に述べているという印象があります。」(p.146)、それに対して、単純な過去形の場合は「『出来事』の記述」(同)ということらしい。
     ということで、それなりに高校英文法をちゃんとやった人なら、それを強化する形で復習できて良いと思うし、相変らず普通の英文法書にはなさそうな、実際の例文、というのに触れられるのは良かった。(22/05/07)

  • シリーズ最終巻

    18年続いたシリーズもこの「助動詞」で最終。これまで著者は意味的・機能的・語用論的な文法制約を豊富な実例・作例で例証してきた。今回は助動詞。文法のカテゴリー的には「感覚」的に捉えられがちで個人的には捉えどころがなくて難しい分野だと思うが、各助動詞の意味を豊富な例文の文法性を判断することで次第にその意味が浮き彫りになっていくのは面白い。個人的に助動詞の知識がかなり更新されて、文法指導に生かされる気がしている。

    その他
    will you 〜 に request の意味があるかについての議論はやや揚げ足取りのように感じた。








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著者プロフィール

久野 暲(くの・すすむ)
1964年にハーバード大学言語学科Ph.D.を取得し、同学科で40年間教鞭をとる。現在、ハーバード大学名誉教授

「2022年 『謎解きの英文法 助動詞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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