NEW石川日本史B講義の実況中継(4) 近現代 実況中継シリーズ

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  • 語学春秋社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875685609

感想・レビュー・書評

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  •  河合塾の日本史の先生による実況中継。ネットで調べたところによると今(2021年)でも現役で授業をして「権威であり重鎮」ということだそうだ。
     実況中継の醍醐味、というか受験で覚える、試験で点が取れるように、読んでて頭に入って来る説明と、語呂合わせを含めたポイントの覚え方を含めた勉強の仕方全般を教えてくれるので、確かにこの本に書いてあることを実行すれば、本当に高校で日本史を勉強したと胸を張って言えるだけの定着があるんだろうなあと思う。特に、この4巻は明治時代の経済の話から戦後の55年体制の崩壊、そしておれがもう働いていた2009年の選挙で民主党が勝ったというところまでで、学校で日本史を取っていてもほとんど勉強しない(というか教科書読んどけ、で終わってしまう)範囲で、難しかった。「戦後史は、学校でも予備校でも、どうしても時間がなくなって、『基本だけでいいよ』ということになってしまう。だから(中略)混乱してもだいじょうぶ。いまここでちゃんと戦後史をやっているのだと確信してください。」(p,229)ということらしい。でも思うに、戦後史の特に経済のところ、政党政治云々っていうところはなんか日本史というよりは政治経済の先生が好きそうな内容で、純粋に?古代とか武士とか興味のある日本史好きの先生の肌に合わないんじゃないか、とか思ってしまう。そんなことはないのかなあ。まあでっかい意味で社会科だから興味ないってことはないだろうけど、高校の日本史専門に教えている先生はそれこそ「基本」しか教える気はないんじゃないだろうか、と思ってしまうくらい、政党とか内閣の話はあんまり興味が持てなかった。
     66分のCDが付いていて、年表を見ながら聞くというもの。さらにサブノート、というのもあって、「講義」にあたる本文を読みながら、「板書」にあたるサブノートに書き込む感じ。CDを繰り返し聞いて、耳からもインプットを、ということなので、やっぱり一流の予備校の先生は違うなあ、というか結果を出せるような教育的配慮がすごくなされているという印象だった。
     あとは内容自体で興味深いと思ったところのメモ。まずアメリカの恐慌がヨーロッパに波及していく過程について。アメリカで大恐慌→ヨーロッパに援助できない→ドイツの復興が遅れる(賠償金が払えない)→ヨーロッパからアメリカにお金が戻らない→アメリカはさらに援助しない→ドイツがこける→ヨーロッパがこける、というp.107に書いてある流れは分かりやすかった。それから、最近『日本の戦争解剖図鑑』という日本と外国の争いについて、色んな争いを取り上げた本を読んだが、p.165の1928年の張鼓峰事件という「日本軍がソヴィエト軍と衝突を起こして敗北を喫するという、ちょっとヤバイ事件」があったらしいが、この事件については取り上げられてなかった。戦いじゃないから?その後のノモンハン事件はその本では取り上げられているが、はっきりと日本軍の敗北とは書いてなくて「勝ち負けのつかぬ痛み分け」とか書いてある(同書p.97)。でも石田先生によれば「日本軍が壊滅的な打撃を受け、敗北」(p.171)とあって、やっぱり『戦争解剖図鑑』ってカタヨリがあるんじゃ?と思った部分だった。ちなみに張鼓峰とかノモンハンの位置を地図で確認しろ、といって地図が書いてあるあたりとか、受験本って感じで、そう言われると覚えなきゃ、って感じになる。あとは太平洋千背負うの前、「わりと合理的な精神の持ち主が多い海軍は、日米戦争は避けたい。だから、海軍系統の内閣なら日米戦争までは踏み込まないだろうというのが、天皇や重臣たちの考えだった」(p.174)というところも、どっかで聞いたことあった気もするが、やっぱりそうだったんだ、という感じだった。そのあと、「難関大対策のポイント」(p.262)として、日本が「賠償金を支払った国」はフィリピン、インドネシア、ビルマ、南ヴィトナムらしい。賠償を放棄してくれた国ばっかりじゃないんだ、ということを知った。そしていよいよ現代になってきて、「オウム真理教事件」で話題になった「破防法」は、「結局これは使われなかった」(p.263)、ってそうだったのか。あれだけ話題になったから適用されたのかと普通に思っていたけど。最後に51年の日米安全保障条約と、60年の「新安保」について。に「旧安保」は片務的で「外部からの武力攻撃に対して、日本国の安善に寄与するためにこれを使用することができる」(p.259)という、つまり義務はない、しなくてもよい、という片務的な部分が、「米軍は日本防衛の義務を負います」(p.272)という風に変更されている、というのも知らなかった。常識なのかもしれないけど。
     という、現代史を勉強する難しさというのを知った1冊。今となっては他人事だけど、これは第4巻で、全部で5巻(5巻目は文化史らしい)あって、それをこの本とサブノートとCDで繰り返してやるわけだから、他の科目もやらないといけない中で、高3からやっても間に合わないんじゃないか、とか思ってしまった。どの科目も厳しいんだろうけど、特に受験日本史の厳しさを知る本でもあるような気がする。(21/06/05)

  • 歴史検定対策

    範囲は明治後半から戦後史まで

    ついに通読が終わりました。内閣総理大臣の名前、その内閣のした仕事のまとめの部分を覚えるのが大変そうです。総理大臣の順番のゴロが強引すぎて笑えた。

    戦後の農地改革や財閥解体、それに続く過度経済力集中排除法などが現在の日本の経済構造に大きな影響を与えていることを知り改めて歴史を学ぶ意義を認識した。

    歴史を学ぶことで今の問題点の起源が分かりそこから解決策を探すという方法がいかに大事かを感じずにはいられなかった。

    もう一度よく復習をして人に話せるくらいの理解をしたいと思う。

    歴史という一つのストーリーを知るのは非常に面白いと思いました。
    受験生、歴史検定、歴史を学びたい人はぜひ本シリーズを読んでみてください。

  • 4巻です。ここまでで一通り全時代を学べます。

  • 未読

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著者プロフィール

河合塾で東大・一橋大・早慶大などの難関大学講座を担当する。河合塾日本史科の中心的存在。楽しいが緊張感をともなう授業で生徒からの絶大な支持を得ている。著書は『石川日本史B講義の実況中継』(全4冊,語学春秋社),『MYBEST よくわかる日本史』(共著,学習研究社),『日本史 標準問題精講[五訂版]』(旺文社),『日本史の考え方』(講談社現代新書)など多数。サテライト講座のパイオニアでもあり,現在はマナビス講座の開発にも取り組んでいる。

「2021年 『一問一答 日本史 ターゲット 4000』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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