だれでも書けるシナリオ教室

著者 :
  • 芸術新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875861898

感想・レビュー・書評

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  • 映画のシナリオの書き方。

    一番大事なことは映画を作りたいとか自分の作った作品を見て欲しいって思いを持っていること。
    そんな気持ちの人でどうやったらそれが出来るのか手探り状態の人向けの本。

    かなり丁寧に書かれているのでまずはこの通りにやってみると良いと思う。

  • 映画には、「型」がある アクション、コメディ、ラブストーリー、ミステリー

    作家の内部にある物語=内的プロット
    映画の型にはめられた内的プロット=外的プロット

    「作家の意図するもの」と「ドラマの型がしっかりしている」ということの両方を満たしていないと、ドラマの魅力を引き出す、そして観客を惹きつけるものにはならない

    パニックものと見せかけてラブストーリー=タイタニック
    SFの皮を被って、実は西部劇=スターウォーズ
    観客は常にカタルシスを求めていて、その引き出しは過去の作品の中にある

    「型」の分析
    ①ホラーの型
    化け物の正体ははじめは分からない

    その存在を疑う人々(インテリがよくその役回り)

    化け物が存在する兆候、被害者が現れる

    存在が明らかになる(パニックが訪れる)

    化け物との戦いを習う、もしくは戦いながら習得する

    犠牲者続出(美しい女性、勇敢な男がひどい目に遭う)

    犠牲者を出しながらも反撃、ついに葬ることに成功する

    パロディとして価値転用 ex.スクリーム

    ②アクションドラマの型
    ・対決アクションの型
    ヒーローの登場

    悪漢が跋扈する舞台

    卑劣な悪漢に我慢を強いられる

    堪忍袋の緒が切れて対決

    ヒーローは去っていく

    ・冒険アクションの型
    ヒーローの登場

    目的(どこかへ行く、逃げる、宝を得るなど)の提示、それを遂行する

    いくつかの難関(仲間割れ、主人公のモラル面での悩みなど)

    クライマックスの追っかけ、対決

    目的の達成まであと一歩

    ミッションを遂行できたかどうか

    ③サスペンスの型
    主人公が事件を目撃

    周囲は主人公の話を信じない

    徐々に明かされる事件の確証

    親しい人物も仲間になり深入りする
    真相が判明する

    犯人が主人公を知ることになり襲ってくる

    弱者である主人公、対決を余儀なくされる

    謎解きの探偵もの 「主人公が事件を目撃」「捜査を依頼される」

    ④パニックものの型
    平穏な舞台で複数の人物と主人公が登場する(各者の得意技や性格が描かれる)

    異変の兆候(不安に気づく少数者)

    第一犠牲者/もしくは異変の第一波

    登場人物間の危機に関しての問答・一応の団結

    第二波による犠牲者・動揺・仲間割れ

    究極的な異変・脱出を決意

    絶対的危機を迎える・犠牲を強いるシチュエーションへ

    パニック×サスペンス セブン

    ⑤ラブロマンスの型
    男と女の偶然の出会い

    反発もしくは惹かれあう予感

    男と女の境遇(互いに満たされない)

    密かなあいびき

    惹かれあう二人

    男と女、それぞれの障壁(家庭や病気など)

    募る恋心が一線を越えようとする

    別れに終わる

    ラブロマンスを裏返し=パロディ化
    悲劇に描けるものを喜劇に転倒させる ラブコメディ ex.ビリー・ワイルダー

    ⑥ラブコメディの型
    男と女の偶然の出会い

    反発もしくは惹かれあう予感

    男と女の境遇(互いに満たされない)

    すれ違う二人(大失敗)

    真剣に惹かれあう二人

    男と女、それぞれの障壁(家庭や病気など)

    募る恋心が一線を越えようとする

    ハッピーエンド

    客観的なことを言う助言者、おせっかい焼きが必要

    ⑦ホームドラマの型
    家庭についての日常描写

    平凡、と見えていた家族がある種の事件(結婚、離婚、闖入者、嫁姑の同居・確執、夫の失職、親族の死など)

    家族それぞれの考え方、行動

    家族関係のきしみ

    各人がぶつかる

    各者の内省

    ある結論に達する(家族それぞれの別れ・新しい門出など)

    ⑧スポーツものの型
    未熟な若者がスポーツに打ち込む

    未熟なため、恋愛やもめごとに首を突っ込み、悩む

    師匠やコーチによって励まされ、周囲からも応援される

    周囲の励ましが水泡に帰す・絶望

    一念発起して鍛える

    ライバルと戦い、成長を遂げる

    ⑨青春ものの型
    未熟な若者が心に自分を確立できない「もやもや」を持っている

    周囲のさまざまな友人、恋人、家族の生き方に接し自分を探す

    心晴れぬまま、時が過ぎる(去る人物もある)

    事件、事故が起こり、自分とは何かを深く問う

    おぼろげながらも、自分を見つける

    ⑩史劇のポイント
    歴史的事件、人物の時間的な枠を決める(史実や歴史的事件に書き手の考えを仮託できるか)

    事件、人物のターニングポイントを描く

    ラストは人物の死、もしくは事件の終結

    ⑪時代劇のポイント
    アクションやホームドラマなど、他ジャンルの型を利用して時代背景で色付けする

    ex. スパルタカス、七人の侍

    ⑫コメディ
    スラップスティック 大げさなセリフ、滑稽なセリフ ドタバタ ex.ハロルド・ロイド、バスター・キートン
    シチュエーション 設定のおかしさ ex. バックトゥザフューチャー、大逆転、転校生、ポラット
    スクリューボール 極端な人物のぶつかり合い 

    極端な人物設定(フラットキャラクター) 内面よりな行動・言動で示される性格
    スピーディな展開
    プロット上のどんでん返し

    博士の異常な愛情 喜劇の特性(笑いとは自分が認識している世界を再発見する行為)

    ドラマを走らせる キャラクタードラマか、ケースドラマか

    ①内的プロットを探し、作る
    ②型に流しこんで外的プロットを作る
    ③キャラクタードラマにするか、ケースドラマにするか決める

    映画は、エモーション。エモーションを生むのは、動き(アクション)。眼で見て、音を聴いて情動が来る。それが映画

  • シナリオの書き方を丁寧に教えてくれる本。

    筆者が書いたシナリオを巻末に載せ、それを書いていく途中の思考などを書いているのが印象的。

    自分も同じように書けるのではないかと思ってしまいましたが、一気に書き上げるというのがなかなか難しいところであります。

    様々なジャンルの映画の型を紹介しているのもよかったです。

  • 当方たまたま知り合いの関係でこの書籍のことを知ったのですが、実はシナリオを読んだこともなければ書いたこともないまったくの素人。なのに、途中から鼻息が荒くなり・・・。読み終わった直後には「私も書いてみよう!」などと誇大妄想的にこぶしを握り締めてしまいました。

    実に読みやすい。ひとつひとつの過程が丁寧に例をあげて書かれているので、素人でもわかるような気になるんですよ。これはシナリオだけでなく小説を書くときの参考にもなりそうです。それに文章が明るいのもいいですね。「フリーの・・・」と比べるとものすごく読んでいて生命力があるというか。(いえ、フリーの・・・も好きなんですけど)その勢いにのってどんどん読んでいくことができます。
    (他の本は知りませんが)「先生これでこのお値段は安いのではないですか?こんなに書いちゃっていいのですか?」といいたくなるくらいにわかりやすいです。

    それに今回も「フリーの・・・」同様ものすごい数の脚注が下についています。
    『1度目は本文を読みながら』『2度目には脚注のみを参考にして紹介されている内容から知識を広げていく』とこんな読み方ができるわけです。
    つまり1冊で2度3度おいしいのです。それなのに本文が「1度読んではい終わり」ではなく2度3度と読んで参考にしてそのテクニックを自分なりの血肉にしたくなるくらいよくできている本だときています。

    さらにさらに最後には岸川先生のシナリオ『フレッシュ!』(2011年映画化予定)が丸々ついているのです。このお得感といったら!もう買うしかないです!

    書店で立ち読みされたらこのよさがわかりますよ。一読をおすすめします!

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著者プロフィール

1972年長崎市生まれ。山口大学人文学部中退。日本映画学校卒。著書に、『蒸発父さん』『赫獣』など。

「2018年 『暴力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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