中華と対話するイスラーム: 17-19世紀中国ムスリムの思想的営為 (プリミエ・コレクション 37)
- 京都大学学術出版会 (2013年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
- / ISBN・EAN: 9784876982738
作品紹介・あらすじ
かつてアジアの各地から中国にやってきたムスリム移民の末裔は、時々の政治的・社会的状況に翻弄されながらも、イスラームの信仰を固守して独自の共同体を維持した。そこには、マイノリティとしての生死を賭けた、彼ら中国ムスリムの知的奮闘があった。いかにしてイスラームを、中国伝統思想、ひいては中国社会の現実と調和させるか?「中国的イスラーム」の実像に迫る。
感想・レビュー・書評
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序章、1・5・8章、終章のみ読むことに。/イスラーム法の規定では、夫婦喧嘩の際、夫が怒りにまかせて妻に離縁を口走ろうものなら、それでほんとうに離縁が成立してしまう。イスラーム法と中国の法との矛盾を引き起こす原因。/アラビア語の著書でだが、中国に暮らすムスリムが「戦争の家」に住んでいることを宣言する馬徳新。/その解決法が、妻たちの犯行に対しては罵倒よりも殴打を選べ、なのは、著者のいう通りどうかと思うが、理念と現実に折り合いをつけようとしていたことは確か。弟子の馬聯元は、あくまで中国ムスリムが聖戦にまきこまれないで住むことを第一に考え、そのうえで万が一に備えて合法的な戦闘の進め方を明らかにした。イスラーム法と中国の現実が衝突するケースをあえて問題にし、イスラーム法学に背かぬようそれを解決する方法を真摯に探求していたことを明らかにしたのが第5章。/文明間対話のあるべき姿として、普遍主義と特殊主義のいずれにも偏らない道を模索する場合、中国ムスリムの諸事例は、モデル・ケースとして十分参照にあたいするのではなかろうか。(p.382). また回良玉氏のように、2003年から2012年まで国務院副総理をつとめ、中国ムスリムとして、イスラーム諸国との外交の場で活躍したケースも紹介される。
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