- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877093440
感想・レビュー・書評
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日本初の女帝(諸説あり)
楽しかった!
ここから、女帝増えるんですよね。
けど、平安時代になってから女帝はいないんですね…。
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日本初の女帝、推古天皇を軸に飛鳥時代を描いた歴史小説。
炊屋媛と呼ばれた妃時代から、女大王に即位して後の長き治世を、三輪一族の語りを通して綴ってゆく。
彼女を愛する男たち、三輪逆や穴穂部皇子らとの情愛のせめぎ合い。
母方の叔父にして廟堂の実力者、蘇我馬子への信頼と駆け引き。
そこには、聡明で嫣然、かつ超然と君臨する、美しい女性統治者の姿がある。
意外な点としては、厩戸皇子に対し、施政者としての欠陥を炙り出したこと。
尊き理想を掲げ、民に慈愛を施し、聖人として振る舞うが故に、泥を被ることを避け、現実的な施策には向かなかった皇子の、影の資質を指摘したのは斬新と言えよう。
人物造形が幾分ありがちで通俗的な面もあるものの、血生臭き政治闘争に明け暮れた時代の曙の一幕を、恬淡たる筆致で描いた、女流作家目線の古代小説として一翼を担っている。 -
敏達天皇の皇后から、やがて帝位についた推古天皇の生涯を描く。彼女の摂政であった聖徳太子があまりにも有名であるため、推古天皇にスポットライトが当たることは少ない。しかし作者は、その類まれな美貌と聡明さをもって聖徳太子や権力者蘇我馬子を翻弄する女帝として彼女を描いている。
マンガ「日出処の天子」のやたら強烈な印象を拭い去って読むのが一苦労だ。こちらは推古天皇以外の女性たちも政治の世界に目を光らせているあたりが一つの特徴と言える。(語りにも三輪氏に縁のある一人の女性を選んでいる。) -
一般的なイメージとしては、聖徳太子は偉業をなし、馬子を筆頭に蘇我氏は悪役といったところだろうか? しかし2人の間でバランスを取りながら政治をおこなった推古天皇の目を通すと、どちらも長所短所をもっていてなかなか面白い。特に本作の太子は為政者としての能力が欠けていて、また推古天皇も決して傀儡の女大王ではない。3人が同時代に存在したからこそ、推古天皇の在位は長く続いたのだろうと思うと、味わい深いものがある。