アイム・イン・ブルー

著者 :
  • 幻冬舎
3.44
  • (0)
  • (4)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 21
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877281731

作品紹介・あらすじ

売れない小説家カトウ・ツトムは、ハワイに渡った。旧友の編集者から、「ハワイを舞台にしたハードボイルド小説」を依頼されたのだ。そこで出会った美しくも悩ましい香港人女優と、彼は恋におちる。リゾートでのとろけるようなロマンティックな日々。そして、ゴージャスなパーティ-。しかし、そのさなか届いたe‐mailは、かつて親友だった天才ミュージシャンが、日本で謎の死を遂げたことを告げていた。気付かぬうちに事態の渦中にいた彼のゆくてには、息をもつかせぬトラブルの連続が…。友情とプライド、そして死と別れ-。ハードボイルドを愛する著者による、スタイリッシュな傑作長編。初の完全書き下ろし。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なんだかずいぶん普通の文体になっていて逆にビックリした。まあ「she's rain」からだいぶ経っているんだろうから当たり前だけど。ストーリーはハワイを舞台にしたハードボイルドというところなんだけど、主人公がやたらと女性にモテたりして、なんだか大人のファンタジーみたいな気もする。エンターテイメント小説といってしまえばそうなのかもしれないが、いまひとつ深みがなく感動するとかいうことではなかった。なんとなく「羊をめぐる冒険」的な展開とかカタルシスを期待していたのだが。

  • 純文学をベースにした良質なハードボイルド
    2004/8/3
    手垢にまみれた「ハードボイルド」のイメージを求める方にはお薦めできない。
    しかし、もしあなたがハメット、チャンドラー、クラムリーと言った「本物」のハードボイルドを愛する人ならば、ぜひ一度読んでみていただきたい。
    このジャンルの本質は「なぞ解きのテクニック」や「乾いた文体」などには無いと私は考える。必要なのは「魅力ある描写」と「世界と対峙する個人の視線」そして何物にも代えがたい「美意識」のみではないだろうか。
    この作品では「対峙する視線」が主人公自身にも内省的に向けられていて、その点やや冗長で、文体が湿っぽく感じられるかもしれない。しかしハードボイルドの名作であると同時に純文学としても評価される『長いお別れ』や『酔いどれの誇り』にも共通した世界がここにはある。
    ハードボイルドをミステリの一種と捉えること自体、ハードボイルドをある種の亜流と規定することになりかねず、その上、類型的なハードボイルドのイメージにとらわれていたのでは、本質はなかなか見えてこないだろう。
    また百歩譲って仮にこれがハードボイルドとして成立していない、としよう。確かに「なぞ解き」には凝ったところもないし、文体は美しくロマンティックで「おしゃれ」ですらある。
    しかしハードボイルドで無かったからと言って「だからどうだと言うのだ」とこの作品は思わせてくれる。
    著者の作品の中で一般的な読者にとっての最高傑作はあるいは「みづき」なのかもしれない。しかしこの魅力の判るものにとっては、本作こそがもっとも心に残る1冊となるだろう。

  • サノモトハルの曲の中で一番好きな、曲。そして屋号にさせてもらっていますので、もちろん、ハードカバーにて。レビューになっておらずに、失礼致しました…。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

平中悠一(ひらなか・ゆういち)
1965年生。17歳で書いた『She's Rain』で1984年度文藝賞受賞、長編小説3冊ほか単著13冊刊行。2005年渡仏、パリ大学修士課程修了後、パトリック・モディアノ(2014年ノーベル文学賞)作品等の翻訳や学術論文の発表も開始。専門は物語理論。東京大学大学院博士課程修了。

「2024年 『「細雪」の詩学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

平中悠一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×