GENESIS (幻冬舎文庫 さ 1-11)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 162
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877288433

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  • 二つの名前と二つの国籍を持つ錦織明日香(蓮賢)と、彼女が付き合っている「ヒデ」こと御堂秀彰、精神を病んでいるヒデの弟の耀治の物語です。明日香は、膣のなかに生まれた「クリオネ」に動かされて男たちと身体をかさねています。ある日彼女は、中学時代彼女に憎しみのような愛情をぶつけてきた「ザイニチ」のヒロサワツヨシに襲われ、抵抗したはずみでヒロサワの眼に傷をつけてしまいます。治療費の200万円を用意することを迫られた明日香は、ロリコンの誘拐犯・氷室から2000万円を奪い、ヒデと精神病院から連れ出した耀治の2人といっしょに逃げ出します。やがて彼女たちは、かつてヒデと耀司が暮らしていた河辺の家にたどりつきます。

    巻末には宮台真司の行き届いた解説が収められています。ただしそこでは、本書で重要な意味をもつ「河」のモティーフには触れられていません。明日香の母親は、祖国と自分が生まれ育った白馬江の光景を捨てて、日本で生きてゆく決意をした過去をもっており、そのために、明日香の心の中の「河の記憶」は凍りついたままとなっています。一方ヒデは幼いころに天才と呼ばれた弟と彼の周囲の世界に対する恨みをいだいており、河辺に耀治を置き去りにしてしまったことをトラウマにもっています。両者の記憶はそこで凍りついて動くことはありません。そんな彼らを救う役割を担うのが耀治です。精神を病んだ耀治は、「時は水。河となって海へ注ぐ」というメッセージを二人に送りつづけています。時間を凍結して世界と交わることを拒絶しつづける二人は、彼らと反対に「精神病者」として世界から爪弾きにされている耀治によって、河が海へとつながっていることを教えられます。そして、明日香がヒロサワとの関係に決着をつけることで、彼女の時間は流れ出すことになります。

    しかし、二人を救った耀治の時間は、河となって流れることはありません。彼は、河が海につながっていることを人びとに教えるだけの存在として描かれています。耀治は豪雨の中、河辺の家に向かい、消息を絶ってしまうところで、物語は閉じられます。

  •  明日香は、韓国と日本、二つの国籍を持っている。しかし、どちらも捨てられず、どっちつかずな明日香は、自分の居場所を見つけられない。
     いつも冷めている恋人・ヒデともうまくいかず、他の男とのSEXで寂しさを紛らわす。
     でもって、明日香にはいじめられた苦い過去があり、その加害者であったヒロサワと数年ぶりに再会する。再会した際に、連れ去られそうになり、ハンドバックを振り回し、ヒロサワの目を傷付けてしまい、彼の仲間である男に治療費を要求される。
     そんな時、ヒデと大喧嘩し、その時にヒデには精神病院に入院している弟がいることを知った。
     大金を盗んだ明日香はヒデと、精神病院から連れ出したヒデの弟・耀治と逃避行を始める。

     とまぁ、そんな話。
     国籍が生まれた時には2つあって。
     将来、一つに選ばなきゃならないとしたら……っていうのは、最初から一つの国籍しか持たない僕には羨ましい限りだったんだけど……。
     実際、そんなに簡単なものじゃないんだね。
     自分の持ってたものの一つが欠けてしまうような感じなんだろうな……と、思う。
     難しい……よね。

  • 6

  • 今まで桜井亜美の作品に出てこなかった役柄の者が現れてる作品。逃亡生活の中で見つけ出したもの、障害を持った彼氏の弟の存在の大きさとは?

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