世界の〈水〉が支配される!: グロ-バル水企業の恐るべき実態

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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784878935916

作品紹介・あらすじ

地球の"水"が、三つの多国籍企業に支配されようとしている。スエズ社(仏)、ヴィヴェンディ社(仏)、テームズ・ウォーター社(独・英)-これらのグローバル水企業(ウォーター・バロン)は、新自由主義による民営化政策のもとで、世界銀行や国際金融機関に後押しされ、各国の政府や政治家と癒着し、巨大な利益をあげながら、15年以内に、世界の水道の75%近くを、手中に収めるだろうと言われている。本書は、これまで明らかにされなかった、その恐るべき実態を、世界各国のジャーナリストの協力によって、初めて徹底暴露することに成功した、衝撃の一冊である。

感想・レビュー・書評

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  • ウォーター―バロンと呼ばれる巨大水起業が、

    いかにして世界の水道事業の民営化に携わり、

    その中でいかにあくどい商売をしているか、その実態教えてくれる本


    たしかに、彼らの悪い側面だけを見ればここに書かれていることは全くの事実だと思う

    ただ個人的に疑問なのは、
    「ここに書かれていることが彼らの全てだとしたら、どうしてこれだけ大きな会社がいつまでも覇権を握り続けることができているのか」

    ということだ

    実際、悪はいつまでものさばらない

    どこかに、ウォーターバロンの良いところがあるのじゃないか?

    そう思わずにはいられないくらい、悲惨な現実がこの本がある


    受け止めたくても、頭がなかなか現実を受け入れたくない

    そんな事例がぎっしりと詰まっている、そんな一冊だった

  • 開発目標6:安全な水とトイレを世界中に
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB00098350

  • 日本でも《国鉄》《郵政》が民営化されてきたが、問題もあるにせよ、概ねうまくいっているかのように見える。しかし、民営化してはいけない分野もあるという事を我々は認識すべきであると考えさせる一冊である。


    《水メジャーの民営化までのプロセス》
    ①水メジャーはまず世銀のコンサルタントや御用学者を使って民営化効率的かつ安価な水道の実現になると政府を説得。

    ②さらには、進出を確実なもとのするべく、現地の政治家に便宜を図ってもらうべく賄賂などに手段を用いる。

    ③水メジャーに促された政治家は、公営水道局に大幅な値上げをするように圧力をかけ(通常100%から200%の値上げ)、高い料金に市民が不満を漏らしたところで、民営化が安価な水道の実現に不可欠という世論を形成する。

    ④その後世銀の都合のいいデータ、世銀や水メジャーと結託した政治家の圧力、加えて民営化やむなしという論調により、民営化は実現

    ⑤実際民営化されると、民営化をする際の約束の多くは反故にされ、安価かつ効率化という、当初の約束とは程遠い、高価かつ不衛生かつ非効率な水道運営となることが多い。


    a公営水道が抱えていた債務の返済→本国通貨との為替差損などを理由に支払い拒否

    b財務内容の開示→有力な政治家の息がかかった機関のみが閲覧できるように契約を骨抜きにする。そうすることで放漫経営に陥ること多し。

    c漏水対策→儲からないので対策を後回しにする。さらには漏水分の損失を、料金の値上げにより補充しようとする。

    d水道敷設義務→富裕層の居住地区では水道が充実し、貧困層が多く住む地区では、水道管をろくに整備しないことが多い。

    結論:【水道の民営化は慎重になるべき】

    ①多くの国においては、民営化されると水道料金は高騰する《2倍から5倍》
    →特に発展途上国で顕著。場所によっては月収の40パーセントに至るくらいまで値上げされる。

    ②コストベネフィットの観点から、水道管のメンテナンスなどを怠るので、不衛生な水が供給されるなどの事態が常態化する。
    →米国でもこのような事態が実際起こっている

    ③自分たちが放漫経営により、料金をありえないくらい上げておきながら、払えない人には容赦なく供給をストップ
    (月収の4割も水道料金が占めていたら、貧困層は払えるわけない)
    →水の獲得手段を絶たれた貧困層は、河川の水などに手をだし、南アでは実際にコレラが蔓延した。


    ④彼等との契約を切ろうとすると、多額の裁判費用をかけて訴えると脅す。
    →水メジャーの売り上げは途上国の国家予算以上のことも普通にあるので、途上国が彼らを追い出すのは非常に困難である。


    現在水道事業を民営化しようとしている政治家はこういった書籍を読んで議論をしているのだろうか?

  • 2009年 5月19日

  •  世界各地での水道民営化の動きと、その後の悲劇について。

  • 世界では民間水道の八割を大手三社が寡占している。そうした中、日本国内でも「官から民へ」のスローガンのもと、公営事業の民営化は行財政改革の中心課題とされている。公共サービスの質や量、財政面での妥当性でもう一度民営委託を見直すべきである。法的責任の委譲を伴わない形の委託は安くできるが、責任が公共セクターに残り、最終的には住民の負担として戻ってくる。法的責任を委譲すれば、民間は巨額な保障をかけざるを得ず、調達コストが上がってくる。「官から民へ」の流れは、再度十分な議論が必要である。

  • 水道サービスの民営化・商品化の問題点を数々の国の実例でもって明かす。
    命に直結してくる水。これを利潤追求を第一にする民間企業に任せていいものか。
    本来上下水道を民営化する目的は上下水道の整備や補修のための資金を作り出すためだったのが実際には余計にコストがかかったりもしている。
    それと訳者あとがきによると日本でも水の民営化がすすみつつあるらしい。日本にいれば飲めるだけのキレイな水が水道から出てくるのが当たり前にしか感じないだろうが、もっと水に注意して見守っていく必要がある。

  • 水の値段なんて意識したことがなかったですが、目からうろこでした。企業と水と・・。難しい問題です。

  • 分類=水問題。04年8月。

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