- Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
- / ISBN・EAN: 9784880652290
作品紹介・あらすじ
資格のいらない先生=大学教授
この謎めいた人々は大学で普段何をしているのか?一般の人にはちょっとなじみのないこの職業を「世界一受けたい授業」やNHK教育などに出演する現役教授が、その生活のホンの一部を紹介します。
感想・レビュー・書評
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大学教授は一国一城の主。著者が研究者、教授の中でもスーパーマンで色々なことをやっている方なので、教授の幅広い働き方を知ることができる
●本の概要・感想
東京大学で工学系の教授を務めた杉原氏がエッセイテイストに大学教授職を紹介する。著者は研究だけでなく、大学教授としてできることを多くやっている、かなり精力的な方であろう。研究者として一流であるだけでなく、学会運営、国際学会運営、メディア出演などに取り組んでいる。もちろん、すべての大学教授がこのような活動ができるわけではない。できる機会があっても、「好きじゃないから」といって引き受けないことも多いからだ。したがって、大学教授であったとしても、皆が著者のように幅広く活動はしない(できない)だろう。
本書は、そんなスーパー教授の仕事っぷりを知ることができるだけでなく、読み物としても面白い。なかなかウェットに富む文体でクスッとさせられる。たとえば、手帳を持ち歩かない生徒に会ったときのことを、こう書いている。
「手帳をもっていない学生に初めて出会ったときは、とても驚いたが、二人目からは、約束をすっぽかされた理由がはっきりして、むしろすっきりした。そして、そういう学生には、世の中には手帳というとても便利なものがあって、それを使えば記憶に頼るという苦しみから解放されるんだよということを、真面目に教えてあげる。それでも相変わらず手帳をもたないままの学生もいて、世の中は私の理解の範囲を超えている。」
...など。真面目に教えた結果、世の中は理解できないと分かるという、この文のスピード感が好きだ。
●本の面白かった点、学びになった点
*大学教授になるには、研究能力が重要 (あくまで、研究大学ではね)
・「たくさんいる候補者のなかから、なぜ私が指名されて助教授や教授になれたかという点である。これは一言でいえば、私の研究が認められたということなのだが(中略)ただ、大学の教員になりたいと強く思っていたこと、そしてそのために寝食を忘れるほど研究に精を出したことは確かである」
という記述がある。杉原教授は、メディアへの露出も多いながら、たくさんの論文を書いてきた方なので、このようにおっしゃるであろう。ただ、研究能力が重要なのは、あくまで東京大学のような一流研究大学である。田舎の私立の大学、特に文系大学では事情が違う。修士号しかなく、長らく査読論文を書いていない教授がごろごろいる。私の出身の地方国立大学などでもその傾向が見受けられる。私はよく趣味で大学教授のプロフィールページを見るのだが、研究をマジメにしない大学、公式プロフィールページの構成が雑である。担当教授のページを読んでもどこの大学で博士号をとったのかとか、最近はどれだけ論文を書いているとかが分からない。地方の私立大学では、研究能力を重視していないことが多い。それよりも、メディアの露出が多いとか、影響力が強いということが重要視されることもある。著者はそのような大学に赴任したことはないだろうから、あくまでそういった地方大学の実態には触れられていない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
理系大学教授の生活。
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大学教授の多彩な仕事が明晰な文章で描かれています。頭いいなあ、すげえ知的生産性だなあ、と感心するばかりでした。
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進路支援図書「はたらく人びと」
2012/09/10更新 058号 紹介図書
http://www.nvlu.ac.jp/library/workers/workers-058.html/ -
なかなかありそうでなかった。
関係者なら誰でも書けそうでなかなかきっちり書くのは難しいかも知れないテーマに正面から取り組んでいる。
少し変化してきている部分(求められる役割のバランス等)もあるが、概ねこんな感じのお仕事かな。(などと私なんかがエラソーに言えることではないが・・・)
大学に関心をお持ちの大学以外の方々にはお勧め。 -
この本は以前ネットサーフィンしてて知ったのですが,図書館で借りれば良いかと思って買わずに居ました.
大学の教授ってどんな風にしたらなれるのかとか,教授のお仕事にはどんな事が含まれるのかとか,入試問題の作成の事とか,
その様な事が,東大工学部の教授だった著者の実例を基に書かれています.
数日の空き時間で読み切れるほどに量は少なく,読みやすく,なかなか読んでて面白かったです.読んでいて,くすっと笑える所もちらほらありました. -
過激な内容を期待していたのですが,いたって真面目な内容でした。反面教師との遭遇率が高い僕としては,非常に参考になります。
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大学の教員になることが1つの目指すベクトルであるので読みました。大学の先生のしていることがイメージ通りだったので特に新発見はなかった気がします。研究テーマを見つける力がまだまだ自分には足りないことを実感した。著者ものべているが、教授への道はそれぞれで一概に言えず、していることも各々。難しい職業です…。
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『東京大学の』教授という仕事、であってあまり普遍性はないなあ・・・という気がしました。
つまりそれだけ、研究より教育に比重を置かざるをえない大学教授が増えているということ。大学進学率がこれだけ上がっているからにはそれもまたむべなるかな。
でも「東京大学の教授という仕事」の話として読めば非常に面白い本です。