弁護側の証人 (ミステリ名作館)

著者 :
  • 出版芸術社
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本棚登録 : 27
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882930709

感想・レビュー・書評

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  • 昔ながらの推理小説っぽい話の流れが逆に新鮮。

    第一章で犯人が分かってしまったよ。トリックに気づけば犯人の特定は簡単。犯人が分かった後は、答え合わせを楽しむ感じ(笑)

    おまけの短編「深い水」も同様。

    新聞の広告だったか記事だったかでタイトルを見かかて手にした一冊だったが、何と50年以上前の昭和38年に刊行されているではないか!?懐かしくも新しい一冊だった。

  • 古典名作ミステリとの噂を聞いてやっとこさ読了。
    財閥の一人息子と結婚して玉の輿に乗った元ストリッパーのミミイ・ローイ=漣子。しかし結婚後しばらくして義父が殺害される。だがまさか犯人が愛する夫だったとは。鉄格子の内と外に分かたれた夫婦。死刑判決の出た冤罪をひっくり返すために漣子は奮闘するが果たして弁護側の証人は見つかるのか。
    という内容。
    出版が昭和30年代ってのにビックリ。
    他一編「深い水」を収録。こちらは水泳大好き夫が、妻のおかしな様子に疑念を抱いて…という内容。
    読み進めるのに時間がかかったが、怒涛の展開と隠されたテーマに唸らされながら読みました。

  • 朝日新聞に載っていたので再読

  • 驚嘆すべき仕掛けに膝を打った。なるほど、名作と呼ばれるに値する作品である。
    両親を失い、生活に窮してストリッパーになった女性が主人公だ。彼女はさる財閥の御曹司に見初められ、旧家に嫁すものの、周囲の理解は得られない。そこで一件の殺人が起きて……という、「ゴシック小説とは、若い娘が屋敷を手に入れる話である」という定義(トム・サヴェージ著「見つめる家」のエピグラフにあるアビー・アダムズ・ウェストレイクの言葉)の範疇にある物語だ。作中には、ゴシック・ロマンの代表作「レベッカ」に触れた記述もある。つまり、設定も実にクラッシックだということだ。
    仕掛けについて言及せずに、本作を褒めることは難しい。しかし、少しでも触れたら勘のいい人ならば全てを見通してしまうだろう。だから言えない。若干ややこしい部分もあるが(私は「ん?」と思って何度かページをめくり直した)、腑に落ちると「そーゆーことか!」と激しく合点がいく。作者によるトリックが、犯罪のトリックを上回る点で少し辛目に★一つ減。
    タイトルは言わずと知れたアガサ・クリスティの「検察側の証人」のもじり。関係ないじゃん、と思っていたが、読み終えて振り返る今、さほど無関係ともいえぬような気もしてくる。後を引く味わい深い作品であった。

著者プロフィール

1934 - 1985。推理作家、翻訳家。1963年に『弁護側の証人』でデビュー後、多くの作品や翻訳を手がけたほか、ミステリーに関するエッセイなども。歌舞伎好きとしても知られ、論考を残している。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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