- Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
- / ISBN・EAN: 9784883030835
作品紹介・あらすじ
いつから時計が気になるようになったのか。明治6年1月1日をもって、日本は太陽暦、定時法の社会へと転換した。鉄道、工場、学校における時間規律の導入はいかにして行なわれ、そして、人々の生活をどのように変えていったのか。現在に至るまでの、時間意識の変遷をたどる。
感想・レビュー・書評
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日本人は時間に正確だと言われる。よく例に上がるのが、電車のスケジュール。
よほどのことがない限り時間通りに来る。
そんな日本は昔からそうだったのか、イヤそうではなかった。
文部科学省、経団連の人たちにとっては知りたくもないだろうが、時間にルーズだった「ラテン系」の時代がむしろ当たり前だった。
幕末に「不都合な」記録が残っている。
1857年から2年間、長崎海軍伝習所に滞在して、西洋式の操縦技術と科学技術を日本人に教えたウィレム・カッテンディーケは、『滞在日記抄』に「日本人の性癖」という一節を書いている。
「日本人の悠長さといったら呆れるくらいだ」とチクリ。
さらに「日本人は無茶に丁寧で、謙譲ではあるが、色々の点で失望させられ、この分では自分の望みの半分も成し遂げられないで、此処(このところ)を去ってしまうのじゃないかとさえ思う」と、おそらくため息交じりで書いていたのが想像できる。
カッテンディーケが今の日本の姿を見たら、「目がビッグ~♪」になって頭の中がフリーズするだろう。
そうなってしまうのにも理由があった。
明治5年まで、日本人は「不定時法」で時間を測り暮らしていた。
不定時法とは、昼と夜の時間をそれぞれ等分して時間を測る方法で、時間の進み方に合わせて1日の時間を一様に等分した。
時間の長さが季節によって変わるので、時間に対する概念が今と違うのも無理はない。
時間に正確になった要因として上げているのが鉄道網の整備により、時間でスケジュールを管理する必要があり、利用者も時間を意識しなくてはいけなくなった。
鉄道運行も試行錯誤の末、軌道に乗っていった。
運行する側も利用者も時間に対する感覚をアップデートしないといけなかったので、大変だったのは想像できる。
以前、他の本を読んでいたときに著者がこの本を引用していて気になった。
運良く神保町の古本まつりで見かけて「いつ買うか、今でしょ」ということで即購入。
遅刻をテーマにして300ページ以上の本が書けるのはすごいなあ。 -
歴史総合づくり本格的に始めます
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人文学概論レポートにて使用。
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[private]R25で紹介。[/private]
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HT1a
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2016/9/11読了。
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編著:橋本毅彦、栗山茂久
【内容紹介】
いつから時計が気になるようになったのか。
明治6年1月1日をもって、日本は太陽暦、定時法の社会へと転換した。鉄道、工場、学校における時間規律の導入はいかにして行なわれ、そして、人々の生活をどのように変えていったのか。現在に至るまでの、時間意識の変遷をたどる。
<http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/083.htm>
【目次】
序文 3
第1部 定刻志向──鉄道がもたらしたもの 15
第1章 近代日本における鉄道と時間意識(中村尚史) 17
第2章 一九二〇年代における鉄道の時間革命──自動連結器取替に関連して(竹村民郎) 47
第2部 時間厳守と効率性──新労働管理の発展 77
第3章 近世の地域社会における時間(森下徹) 79
第4章 二つの時刻、三つの労働時間(鈴木淳) 99
第5章 蒲鉾から羊羹へ──科学的管理法導入と日本人の時間規律(橋本毅彦) 123
第3部 時間の無駄のない生活──子供の教育と主婦の修養 155
第6章 子供に時間厳守を教える──小学校の内と外(西本郁子) 157
第7章 家庭領域への規律時間思想の浸透 羽仁もと子を事例として(伊藤美登里) 189
第4部 新暦と時計の普及──近代的タイム・フレームの形成 211
第8章 明治改暦と時間の近代化(川和田晶子) 213
第9章 歳時記の時間(長谷川櫂) 241
第10章 明治時代における時計の普及(内田星美) 267
第5部 時間のゆくえ 289
第11章 農村の時間と空間──時間地理学的考察(荒井良雄) 291
第12章 「時は金なり」のなぞ(栗山茂久) 321
文献解題 時間を考えるための五〇の文献(橋本毅彦) 345