ミンケパットさんと小鳥たち

  • らんか社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784883301300

感想・レビュー・書評

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  • 優しい色合いの表紙にご注目下さい。
    挿絵画家のヨゼフ・ウィルコンさんは、日本で紹介されているだけでも100冊を越える絵本を発表しています。
    水彩画の淡く柔らかいタッチは、ミンケパットさんの世界へ誘うのにぴったり。

    主人公は、ちょっと風変わりでいつも一人きりの男の人、ミンケパットさん。
    色々な仕事をしてきましたが、最後は「森のえさばこがかり」をします。
    冬が来ると、小鳥たちのえさばこをいっぱいにし、春になると巣作りを手伝います。
    小鳥たちといつも一緒にいたので、その言葉が分かるようになったミンケパットさん。
    年を取って仕事を辞める日が来ると、古いピアノを一台買いました。
    小鳥たちのさえずるメロディーを弾いてみたいと思ったのです。
    いつしか集まってくるたくさんの小鳥たち。しかし、ピアノと一緒に開かれるその音楽会は、隣近所のひとにとってはただうるさいだけでした。
    ある時、ミンケパットさんと同じ建物に住んでいるお菓子屋さんの奥さんが、可愛がっているカナリアが逃げてしまったと言うのです。
    そしてミンケパットさんのしたこととは。。。

    小さな奇跡が起き、それがやがて小鳥たちとミンケパットさんと、町中のひとも幸せにしていくという、優しい優しいお話。
    最後まで読んで、小さな涙がじわっと出ました。
    「いわさきちひろさん」がこよなく愛した本としても有名で、彼女の息子さんである「安曇野ちひろ美術館」の館長さんが、短文を寄稿しています。

    最大の魅力は、やはりこの挿絵でしょう。
    ポーランド生まれのヨゼフ・ウィルコンさんは、大の親日家だそうです。
    そのせいか、絵が墨絵のような深い味わいを出しています。
    北欧の冬の町景色や、ミンケパットさんの部屋の雰囲気など抑えた色調が素晴らしく、文章以上に語りかけてくるものがあります。

    さえずりを譜面におこした場面が特に好き。
    小鳥さんもこれを観ながらさえずっているというのが楽しいですね。
    美しい音楽がいつまでも胸の中で鳴りやまないように、読んだ後もずうっと心に残る名作です。
    誕生日に友だちから贈られた本。嬉しかったなぁ。。

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