- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784884970734
作品紹介・あらすじ
著者たちは前著『フォーカス-あなたの会社の未来はフォーカスにかかっている』の中で、企業が収益性を高め、よりパワフルになるためにどのように自らをフォーカス(焦点を絞る)すればいいか、その方法を記述した。本書はそうしたフォーカスのコンセプトをマーケティング・プロセスそのものに適用したものである。マーケティング・プロセスの最も重要な目標、広範囲に及ぶマーケティング機能を結合させる接着剤は、ブランディング(ブランド構築)のプロセスである。
感想・レビュー・書評
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法則という響きとは異なり、理論書ではなく、超一流実務家のビジネス書による「ブランディングの注意点」まとめ。ただし、超一流によるチャーミングな記述ゆえに、十二分かつ古びない学びが得られるのは確か。
反論したくなる主張もあるものの、その反論を考える過程で、自分の考えが深まるという経験もひっくるめて、よい本といえる。
ちなみに、22の章があるものの、実際示されている法則は3−5ぐらいにまとめられそう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一般的な定説では説明できないことを「ブランディング」の概念が解明していくことを示した1冊でした。
一方で、様々な事象を「ブランディング」の一言で片付けてしまうことで視野狭窄になってしまうこともあると思います。幅広い視点も持ち合わせていきたいです。
<主な学び>
最も品質の良い商品が最も売れる商品とは限らない
商品の売上を増やすには競合の参入を歓迎すべきである
総花的ではないシンプルな名前がブランド名としては優れている
優れたブランドは他にない特異的な特徴を持っている(自社内ブランド、競合ブランド問わず) -
消費者の脳内で自社商品と他者商品を区別するためには、消費者の脳内にブランドを築くこと。ブランドは、焦点の広がりに反比例し、消費者は短い一言で区別できるブランドを期待している。
コカ・コーラは。、コーラというカテゴリーを作り出し、グーグルは検索というカテゴリーを作り出した。そこに競合が現れても歓迎すべきで、消費者はそのカテゴリーに選択肢があることによって、そのカテゴリー自体を信用する。ペプシの登場により、1人当たりのコーラ消費量は増え、コカ・コーラの業績は伸びた。
<Memo>
●拡張の法則:ブランドの力は広がりに反比例する
製品ラインの拡充は端的的な収益増には繋がるが、長期的にはブランドを毀損。
シンボレー:小型から大型までフルラインナップ
●収縮の法則:上記と逆。スタバー、サブウェイなど商品の絞り込み特定のカテゴリーの代名詞として消費者のマインドを席巻。
●パブリシティの法則:ブランドを築くのは広告ではなく、バブリシティ
ブランドは”作る”ものではなく”生まれる”もの。スタバ、ウォルマートなどは
ほぼ広告費用をかけない。パブリシティを得るには当該領域の一番手になること。
●ブランドの維持としての広告
パブリシティを集めたリーディング企業もやがて広告へシフト。
広告=国防費に近い。競合他社への参入障壁(コスト)を高めるもの。
●言葉の法則:消費者の頭の中の言葉(1つでいいので)を所有する。
プレゴ:「濃厚な」パスタソース。
●ブランド=高品質ではない。
ロレックスは他社以上に”正確”な時を刻むわけではない。
ユニークな外見のバンドにより”より大きく・より重く”した。
キャラウェイ:ドライバーをより大きく / モンブラン:万年筆をより太く
●ブランドではなくカテゴリーを取りに行く
リーディング企業は自社のブランドではなくカテゴリーでパブリシティを取る。
競合他社ではなく競合カテゴリーを見る。
●兄弟ブランドのマネジメント。経営が主導して独立性を担保させる。
放っておくと短期的収益のために互いが類似してブランドを毀損。
●色調へのこだわり。競合とは反対に(コーラ:赤、ペプシ:青)
赤:近づいて見え、青は網膜の手前で像を結ぶので遠ざかって見える。
赤は興奮、エネルギーの色、青は落ち着きを表す。国旗の45%が赤を基調、
20%が青を基調。
●音へのこだわり:大文字小文字は音に現れない。気遣うべきは良いやすさ、
かつGeneralになりすぎないこと。 -
「マーケティング22の法則」の続編。似たような本なのですが、両方読んだ方が良いと思います。アルライズはこの2冊を押さえておけば、まあOKです。他にも「フォーカス」「ポジショニング」などを読みましたが、この2冊ほどのインパクトは感じませんでした。
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ブランドマネージャー必読書と思う。
ブランド育成・ブランドマネジメントにおいて守るべき法則を、
22項目挙げ、それぞれについて、事例を交えて説明している。
「星野リゾートの教科書」の中で挙げられていたので読んでみた。
監訳者があとがきで言及している通り、
確かにダブりもあるし、抜け漏れもあるのかもしれないが、
どれも納得感が高いものばかり。
特にメーカー勤務の方は、
自社品を思い浮かべて読むと、より理解しやすいであろうし、
いかに本書でいう法則を破っている場合が多いかも、分かるのではないだろうか。
拡張の法則、ライン延長の法則、サブブランドの法則は、
言っていることはどれも似ているが、
まさにこの法則をやぶっているのが自社品だった・・・ -
ブランドを育てるには、ラインナップを増やしていくことのように思われるが、実際はそのラインナップの拡大がブランドイメージを曖昧なものにしてしまうことで結果的にブランドを毀損してしまっている。
ブランドを作る最良のやり方は、特定の領域で一番になること。〇〇といえば△△。このようになればブランド化は目の前。
良い製品がブランド化になっていくことは間違いないが、良い製品であればブランド化するわけではない。
そうした人々が陥りがちな誤りについて簡潔に整理されている名著。 -
かなりわかりやすい
一番であること、焦点を絞ることの大切さを、豊富な事例で説得してくれる。この本はスタートアップのベンチャーはもちろん、成長著しい大企業で働くマーケターにもかなり耳痛い教訓があるとおもう
人に借りて詠んだが何度でも読みたいと思ったので購入予定 -
平易な言葉で分かりやすい。論理的なバックグラウンドがあるわけではないが、自分の経験上は納得感がある内容。この本を読んで常に思っていたのは売り上げ達成を目指しすぎるとブランディングはできないなということ。売上目標を達成するためにロジックで考えるとライン拡張したくなるし、寿命が切れたブランドに広告投資をしてしまう。
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第1章 拡張の法則
ブランドの力はその広がりに反比例する。
ラインの延長は短期的には売上げを増やすかもしれないが、これはブランディング思想とは相反している。もしあなたが消費者の頭の中に強力なブランドを築くことを望むなら、ご自分のブランドを拡張するのではなく収縮させる必要がある。長期的にはブランドを拡張するとあなたのパワーは減り、イメージが弱まるのである。
第2章 収縮の法則
フォーカス(焦点を絞り込む)する時、ブランドは強力になる。
いい結果はビジネスを拡張するよりも収縮させる時に生まれる。小売業界のほとんどのカテゴリーキラーは、一様に次の五段階のパターンに従っている。
1 焦点を絞り込む。強力なブランディング・プログラムは常にカテゴリーを拡張することではなく、収縮させることから始まる。
2 製品を豊富にストックする。大型百貨店ですら玩具の在庫が三千点なのに対し、トイザラスは一万点の玩具を揃えている。
3 安く仕入れる。トイザラスは玩具の販売ではなく、仕入れて利益を上げている。
4 安く売る。安く仕入れておけば安く売ってもなおかついい利幅を維持できる。
5 当該カテゴリーを支配する。ブランディング・プログラムの究極の目的は、カテゴリーを支配することである。
第3章 パブリシティの法則
ブランドが誕生するのは広告ではなく、パブリシティによってである。
ほとんどの会社が広告こそ主要なコミュニケーション手段であるとの前提に立ってブランディング戦略を開発している。これは間違いだ。戦略は何よりもパブリシティの視点から開発されるべきである。
第4章 広告の法則
いったん誕生したブランドは、その健康を維持するために広告を必要とする。
広告は強力なツールであるが、それは生まれたてのブランドにリーダーシップを築くためではなく、いったん確立したリーダーシップを維持するためのツールなのである。安定したブランドを守りたいと願う企業は、競合企業を押さえ込むための大規模広告プログラムの実施を躊躇すべきでない。
第5章 言葉の法則
ブランドは消費者の頭の中に自分の言葉を所有する努力をすべきである。
まとめるとこうなる。リーダー・ブランドに追い着くだけでは、ゼロックスのよう総称的ブランドになることはできない。ペプシはたとえ売上げてコークを抜いても、コーラ・カテゴリーの総称的ブランドにはなれない(実際のところペプシはスーパーマーケット・チャネルでコークを抜いたことがある)。カテゴリーを総称する名前になるためには一番手のブランドとしてカテゴリーを築く必要があるのだ。
「市場のサイズはどのくらいだろうか。そしてわれわれはそこでその何%を獲得できるだろうか」という発想が誤りの始まりである。あなたがブランドの成長を考えているのなら、「ブランドの焦点を絞り消費者の頭の中に一つの言葉を所有することによってどれだけの市場を創造することができるだろうか」と問い掛けるのが正解になる。
第6章 信用力の法則
あらゆるブランドの成功の鍵を握る要素は本物訴求である。
私たちは世界中で仕事を依頼された数百社のほぼすべてのクライアントのために、利用可能な何らかの信用力を見つけ出してきた。それができない場合は新しいカテゴリーを見つけることによって信用力を創造した。
信用力の威力は毎日の生活の中にも見うけられる。新しいレストランがほとんど空席であるためにその店を立ち去った経験を何度お持ちだろうか。ほとんどの人が空っぼの店で食事するよりも混んだレストランで席を待とうとする。その店が本当によいと思えるなら、ドアの外にまで行列ができるだろう。
これが信用力の威力である。
第7章 品質の法則
品質は重要だけれど、ブランドは品質だけで築かれるものではない。
品質が悪いというのではない。私たちはクライアントに経済的に可能な限り高品質のブランドを作るよういつも提言している(そうすれば後日サービス費用の節減にもつながるだろう)。しかし、ブランドを築くに当たって品質のみに頼ってはならない。高品質ブランドを構築するためには、焦点を絞り、その絞った焦点と優れた名前、高い価格とを組み合わせる必要があるのだ。
第8章 カテゴリーの法則
リーディング・ブランドはブランドではなく、カテゴリーを売り込むべきだ。
ブランディングの最も効果的で、実り多く、役に立つ側面とは新しいカテゴリーを創造することである。言い換えると焦点をゼロにまで絞り、まったく新しい何かを始めることである。
そうすることにより急成長する新しい市場でリーディング・ブランドとして輝やくことができる。
存在しないカテゴリーの中にブランドを築く、つまり無から有を生み出すためには二つのことを同時にやらなくてはならない。
・ブランドの立ち上げはそのブランドが一番手であり、リーダーであり、パイオニアであり、オリジナルなものであるとの認識の下で行わなくてはならない。ブランドを説明する時にはこうした言葉のどれか一つを使用すべきである。
・新しいカテゴリー自体を売り込まなくてはならない。
第9章 名前の法則
結局のところブランドとは名前のことである。
あなたが行う最も重要なブランディング上の決定は、自分の商品やサービスへの命名である。というのは、ブランドとは結局のところ名前だからである。
第10章 ライン延長の法則
ブランドを破壊する最も簡単な方法は、あらゆる商品にそのブランド名をつけることである。
眠っているブランドは起こさないのがよい。ライン延長を行う前に、現行のブランドの顧客がライン延長ブランドを見てどう思うかを自分に問いかけてみるべきである。
もし市場があなたの足もとから流出しそうな場合には、いまの場所に留まって第二のブランドを打ち上げることだ。そうでない場合にはいまいる場所に留まってブランドの構築を続けるのがよい。
第11章 協調の法則
カテゴリーを築くには既存ブランドが他の競合ブランドの参入を歓迎する必要がある。
…拡張の法則はこれと反対のことを説いている。ブランドを拡張すればブランドは弱体化するのである。マクドナルドがアーチデラックス・サンドウィッチでアダルト市場に訴求範囲を広げようとした時、どんな事態が生じただろうか。市場シェアが落ちこみ、結局この商品を打ち切るはめになったのだ。
というわけで次に「協調の法則」を考えてみる。支配的ブランドは競合ブランドを単に許容するだけでなく、進んで迎え入れるべきである。コカコーラにとって一番よかったのはペプシコーラの存在だった(この点、「コーラ」の名前の使用をめぐってコカコーラ社がペプシコーラ社と法廷で争ったのは皮肉である。コークにとって幸いなことに同社は裁判で敗れ、以来すさまじい成長を遂げるカテゴリーを誕生させた)。
第12章 ジェネリックの法則
失敗に至る一番の近道はブランドに総称的な名前をつけることである。
ラインの延長が市場ではかばかしい成果を上げられないのは、ブランド名と総称名を組み合わせることが多いせいである。力のないジェネリック・ネームはブランド構築の本来の目的である個別のアイデンティティ(個性)を創造することができない。
第13章 企業の法則
ブランドはブランドであり、企業は企業である。
両者の間には大きな違いがある。
あなたはブランドそのものに関心を集中させるべきである。企業名を使う必要があるというなら使ってもいい。しかしながらそうするときにはあくまでも脇役として使うということを心がけるべきである。
第14章 サブブランドの法則
ブランディングによって構築されたものがサブブランドの導入によって破壊される場合がある。
ブランドとは何かを突き詰めてゆくと、それは顧客の頭の中に刻まれたアイデアであり、特徴であり、典型的顧客像であるということになる。サブブランディングは当該ブランドをその正反対の方向に導く考え方である。サブブランディングはブランディングが築いたものを破壊してしまう。
第15章 兄弟の法則
第二のブランドを発進させるには時と場所を選ばなくてはならない。
兄弟ブランドはすべての企業に妥当な戦略ではない。しかし然るべき企業にあっては、あるカテゴリーを長期にわたって支配するために有効な戦略になりうる。
第16章 形状の法則
ブランドのロゴタイプは目にフィットするようにデザインすべきである。両眼にである。
効果的な商標となる単純なシンボルは数えるほどしか存在しない(メルセデスの三ツ星はその一つである)。もしあなたが今日までそのような単純なシンボルを受け継いでいないなら、自分でそれを創造するのはもはや手遅れである。
第17章 色調の法則
ブランドは競合とは反対の色を使うべきである。
長期にわたる色の一貫性はブランドを人々の頭の中に焼き付けるのに役立つ。
第18章 国境の法則
グローバルなブランド構築に障壁はない。
ブランドに国境があってはならない。
第19章 一貫性の法則
ブランドは一夜では築かれない。
成功は何年単位ではなく、何十年単位で測定される。
第20章 変更の法則
ブランドは、ごく希に、そして細心の注意を払えば変更できることがある。
第21章 寿命の法則
どんなブランドにも永遠の生命はない。
多くの場合、安楽死がベストな答えである。
第22章 特異性の法則
ブランドの最も重要な側面は一つのものを追い求めるひたむきさである。
ブランドが社会で重要な機能を果たすのを助けるのはその特異性である。
ブランドとは何だろう。それは普通名詞に代わって使うことのできる固有名詞である。